マレーシア移住の条件と費用【2026年】|インター校の学費・生活費・住む場所の選び方

マレーシア移住に「移住ビザ」という単独の制度はありません。どの在留資格(パス)で入るかによって、必要な資金も、家族を連れて行けるかも、子どもが学校に通えるかも変わります。2026年は制度の変更が続いた年で、6月1日に雇用パスの最低給与が全区分で引き上げられ(カテゴリーIは月給1万リンギから2万リンギへ)、同時にカテゴリーIIIの家族帯同が解禁されました。一方で、ガソリン補助・交通定期・不動産の印紙税・学費のサービス税では外国人と自国民の扱いが分かれ、外国人の負担は重くなっています。本記事では、子どもを連れて移住する家庭を想定し、ビザの選び方/インターナショナルスクールの学費/クアラルンプール・ペナン・ジョホールバルの住み比べ/生活費/医療/税金を、政府と学校の公表情報にもとづいて整理します。

※本記事は2026年9月20日時点の公表情報(マレーシア移民局、ESD、観光芸術文化省、内国歳入庁、マレーシア国立銀行、統計局、各校公式サイト、国税庁、日本年金機構、外務省)をもとにした一般的な解説です。制度・学費・為替は変動します。円換算は1ドル=156.32円、1リンギ=38.31円(いずれも2026年9月18日時点。リンギは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのドル円仲値を、マレーシア国立銀行のドル・リンギ仲値で割って算出)。個別の申請可否や税務判断は、行動の前に専門家および各機関へご確認ください。

目次

  1. 結論:マレーシア移住の条件は「どのパスで入るか」でほぼ決まる
  2. 移住ルートの選び方:2026年6月に雇用パスの基準が変わった
  3. インターナショナルスクール:同じ学年でも学校によって3倍違う
  4. 住む場所:クアラルンプール・ペナン・ジョホールバルの比較
  5. 生活費:外国人は補助の対象外という前提で見積もる
  6. 医療:私立病院は日本語が通じるが、保険が固定費になる
  7. 税金:国外源泉所得の免除は2036年まで延長されている
  8. うまくいかなかった家庭に共通すること
  9. よくある質問
  10. まとめ

結論:マレーシア移住の条件は「どのパスで入るか」でほぼ決まる

家族で長く住むための主軸になるルートは3つです。働いて住むなら雇用パス、働かずに住むならMM2H、子どもの学校を目的に住むなら学生パス+保護者パス。これに、短期の試住向けとしてノマドパスが加わります。資金要件も、子どもの手続きも、期間もそれぞれ違います。

家族で移住する場合の主な選択肢(2026年9月20日時点)
ルート主な条件期間子どもの学校の手続き向いている家庭
雇用パス(カテゴリーI・II)+扶養家族パス月給10,000リンギ(約38.3万円)以上(カテゴリーI は20,000リンギ(約76.6万円)以上)。2026年6月1日申請分から1回の発給で最長60か月不要。扶養家族パスに就学許可(Permission to Study)の裏書マレーシア現地法人に雇用される・転籍する家庭
雇用パス(カテゴリーIII)+扶養家族パス月給5,000リンギ(約19.2万円)〜9,999。製造関連サービス分野は7,000リンギ(約26.8万円)〜9,9991回の発給で最長60か月不要2026年6月以降に新規取得する家庭
MM2H(シルバー)定期預金150,000ドル(約2,345万円)+不動産600,000リンギ(約2,299万円)以上の購入(KL・ジョホールは州の下限1,000,000リンギ(約3,831万円))5年(更新可)不要。MM2Hパスのまま就学許可就労しない・資産で住む家庭
学生パス+保護者パス学校の代理人または親が所轄の移民局へ申請。保護者パスは原則1名(通常は母親)原則1年ごとの更新子は学生パス、親は保護者パス(長期社会訪問パス=LTSVP)母子留学。手続きは最も重い
(参考)DE Rantau ノマドパス技術職は年収24,000ドル(約375万円)、非技術職は60,000ドル(約938万円)。職種リストで区分される3〜12か月+12か月更新(最長24か月)必要。子は別途学生パス短期の試住向け。義務教育の期間はカバーできない

見落とされやすいのは、親のパスに子どもが紐づくかどうかです。雇用パス(扶養家族パス)・MM2H・永住権・RP-T(Residence Pass-Talent。マレーシアで3年以上就労した高度人材向けの10年パス)は紐づくため、子どもは学生パスを取らずに就学許可の裏書だけで通学できます。一方、DE Rantauノマドパスは紐づかず、子どもは別に学生パスが必要です(クアラルンプールのAlice Smith Schoolが公式に明記しています)。

費用の総額は、住む都市と学校で大きく変わります。Year 3 と Year 7(日本の小3・中1前後)の子を上位校に入れ、3ベッドルームを借りる前提でそろえると、次のようになります。クアラルンプール(The Alice Smith School/モントキアラの家賃 月6,500リンギ)なら、学費と家賃だけで年約1,105万円。同じ構成をペナン(Uplands International School/タンジュン・トコンの家賃 月3,200リンギ)で組むと年約598万円(授業料は税抜。6%のサービス税を加えると、それぞれ約1,153万円と約625万円)。マレーシア国内で費用を左右する最大の変数は、この都市選びです(学校ごとの金額は後掲の表のとおり)。円に直したときの変数は別にあり、それは後述する為替です。

各国の永住権・長期滞在ビザの費用を横並びで見たい場合は、世界各国の永住権・長期滞在ビザの費用まとめを参照してください。永住権・市民権・ビザ・税務居住地の違いも整理しています。東南アジアで比較検討する場合はタイ移住の条件と費用【2026年】もあわせてご覧ください。

移住ルートの選び方:2026年6月に雇用パスの基準が変わった

雇用パス:最低給与が全区分で引き上げられ、カテゴリーIIIの家族帯同が解禁された

マレーシアで働いて住む場合の基本は雇用パス(Employment Pass)です。移民局の駐在員サービス部門(ESD)は、2026年6月1日以降に受け付ける申請から最低給与を引き上げました。日本語の解説サイトには旧基準がまだ多く残っているため、数字を取り違えないでください。

雇用パスの最低給与の新旧比較(ESD公式FAQ)
区分旧基準(2026年5月31日までの申請)新基準(2026年6月1日以降の申請)家族帯同1回の発給期間承継計画
カテゴリーI月給10,000リンギ(約38.3万円)以上月給20,000リンギ(約76.6万円)以上可最長60か月不要
カテゴリーII月給5,000リンギ(約19.2万円)〜9,999月給10,000リンギ(約38.3万円)〜19,999可最長60か月必須
カテゴリーIII月給3,000リンギ(約11.5万円)〜4,999月給5,000リンギ(約19.2万円)〜9,999(製造関連サービス分野は7,000リンギ(約26.8万円)〜9,999)2026年6月1日以降に発給される分は可最長60か月必須
申請できない給与水準月給3,000リンギ(約11.5万円)未満月給5,000リンギ(約19.2万円)未満(製造関連サービス分野は7,000リンギ(約26.8万円)未満)———

重要なのはカテゴリーIIIの家族帯同です。ESDの公式FAQは「2026年6月1日より前に発給されたカテゴリーIIIのパス保持者は、扶養家族の帯同を認めない従来の運用が適用される」と明記しており、遡及救済はありません。すでにカテゴリーIIIで滞在している人と、これから取得する人とで扱いが分かれます。なお給与基準のほうは「2026年6月1日以降に受け付けた申請」が対象で、帯同の可否は発給日、給与基準は申請日と基準がずれています(一部の専門家サイトは帯同についても申請日基準と説明しているため、実際の申請前に代理人へご確認ください)。

同時に、カテゴリーIIIについては内務省の事前承認が不要になり、更新回数の上限とクーリングオフ期間も撤廃されました。最低給与の免除措置は廃止されています。なお承継計画とは、雇用主がマレーシア人の後継者を育成する計画のことで、カテゴリーIIとIIIでは提出が必須です。ESDの公式FAQは発給期間について「改定ポリシーの実施後、企業は最長60か月の雇用期間で申請できる」としています。なお雇用パスはマレー半島部でのみ有効で、サバ州・サラワク州で働く場合は州の別許可が必要です。転職にはパスの取り直しが要ります。

扶養家族パス(Dependent Pass)の対象は配偶者と18歳未満の子で、扶養家族パスでは働けません。配偶者が働く場合は自分で雇用パスを取る必要があります。

日本の会社にリモート勤務のまま移住する場合

日本の会社に雇われたまま、勤務地だけマレーシアに移す——という形を正面から受け止めるマレーシアの在留資格は、DE Rantauノマドパスだけです。ただし次の3点で、家族の長期移住の主軸にはなりません。

  • 最長24か月で打ち切られる(3〜12か月の発給+12か月の更新1回)。小中学校に通わせる期間をカバーできません
  • 配偶者は就労できません
  • 子どもは別に学生パスが必要です。雇用パスやMM2Hと違い、親のパスに紐づきません

要件はMDECの公式FAQ(2026年8月28日版)で、技術職は年収24,000ドル(約375万円)、非技術職は60,000ドル(約938万円)。この2つは金額の大小ではなく、FAQに列挙された職種リストで分かれます。技術職にはソフトウェアエンジニア、バックエンドエンジニア、UX/UIデザイナー、クラウド、サイバーセキュリティ、ブロックチェーン開発、AI・機械学習、データ専門職などが挙げられ、非技術職にはCEO・COO・CFO、事業開発・マーケティング・財務・営業・人事の各マネージャー、法務、コンサルタント、テクニカルライターなどが並びます。リストは随時更新されるため、自分の職種が対象かどうかはMDECの最新版FAQで確認してください。どちらのリストにも当てはまらない職種は対象外と読むのが安全です。

会社員(リモートの被雇用者)でもフリーランスでも申請できます。被雇用者は署名済みの雇用契約、直近3か月の給与明細、銀行取引明細が必要で、雇用契約が申請の3か月以上前に始まっていることが条件です。英語以外の書類は認証翻訳が要ります。処理は6〜8週間。申請料は主申請者1,080リンギ、扶養家族1名あたり540リンギです。

「ビザなしで出入りを繰り返す」という運用は成り立ちません。日本国籍者は観光・商用・社会訪問の目的でビザなし90日の滞在が認められますが(パスポートの残存有効期間は6か月以上が必要)、無査証で入国した場合は延長できません。居住の実体を伴う滞在を続ける前提には使えないと考えてください。

現実には「母と子は学生パス+保護者パス、父は勤務先の都合に合わせて短期で往復する」という組み方を検討することになります。ただし保護者パスは原則1名(通常は母親)で、学校によっては高い収入証明を求められます(詳しくは後述の「学生パスと保護者パス」の節)。父が何のパスも持たない場合に保護者パスが通るかどうかは、学校と所轄の移民局への事前確認が必要です。学校の公開情報では、父が雇用パスを持つ場合の扱いしか示されていません。

税務上の論点もあります。マレーシアの所得税は属地主義で、後述のとおり居住者個人の「国外源泉所得」は2036年まで免除されています。ただし、労務の提供地がマレーシアであれば、支払元が日本の会社であっても国内源泉所得として扱われる可能性があります。この場合は免除の対象外です。リモート勤務で移住する場合、ここは移住の可否そのものより大きな論点になり得るため、渡航前に日本とマレーシア双方の税務専門家に確認してください。本記事では断定しません。

MM2H:働かない家庭の選択肢。定期預金と住宅購入が要る

MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)は永住権ではなく長期滞在ビザです。2024年の改定で、シルバー・ゴールド・プラチナ・SEZ/SFZの区分に整理されました。シルバーの場合、定期預金150,000ドル(約2,345万円)と600,000リンギ(約2,299万円)以上の住宅購入(10年間は売却不可)が条件です。ただし州が定める外国人の最低購入価格が上回る場合はそちらが下限になり、クアラルンプールとジョホールでは1,000,000リンギ(約3,831万円)以上になります。観光芸術文化省の公式ガイドラインは最低滞在について「50歳未満の参加者は年90日(累計)の滞在が必要」と定めています。医療保険(保障額80,000リンギ以上)への加入と、承認後の健康診断も必須です。申請は認可代理店経由のみです。

条件・費用の内訳、サラワク州とサバ州の独自プログラム、永住権との違いはマレーシアMM2Hの条件と費用【2026年】で詳しく整理しています。教育移住の観点では、MM2Hを持っていれば子どもは学生パスが不要という点が実務上いちばん効きます。

注意点として、クアラルンプールの一部の学校はサバ州・サラワク州で発給されたMM2Hや扶養家族パスを受け付けていません(Alice Smith Schoolが公式に明記)。州版のMM2Hは州内での居住が前提のため、半島側の学校に通わせる計画とは両立しません。

学生パスと保護者パス:母子留学はいちばん手続きが重い

親が就労も投資もせず、子どもの学校だけを目的に住む場合は、子が学生パス、親が保護者パス(実体は長期社会訪問パス)を取ります。移民局は学生パスについて、大学等は EMGS(Education Malaysia Global Services=留学生受け入れの窓口機関)経由、小中高(インターナショナルスクールを含む)は学校の代理人または親が所轄の移民局へ提出と区分しています。政府に払う手数料自体は学生パス60リンギ、扶養家族・保護者向け社会訪問パス90リンギと安価です。

実務上の負担は別のところにあります。学校が公表している条件を並べると、次のようになります。

  • 保護者パスは原則1名のみ。Sri KDUは「両親のうち1人のみ、通常は母親」、Alice Smithは「クアラルンプール移民局は保護者ビザを母親にしか発給しない」と明記しています
  • 父親が雇用パスを持ったままでは、母親の保護者パスに進めません(Alice Smith。父の雇用パスの短縮・取消が必要)
  • マレーシア人の身元保証人(Personal Bond)が必要。2017年11月以降の運用で、内国歳入庁のスタンプが要ります。学校は「この件には一切関与しない」としています(Sri KDU)
  • 収入の証明を求められることがある。Alice Smithはスポンサーとなる親に「月収およそ25,000リンギ(約95.8万円)以上」の証明を求め、かつ子どもの人数が増えると必要額も増えるとしています。収入が国外源泉であることの証明も必要です
  • 順番が固定されている。子の学生パスが承認されてからでないと保護者パスを申請できません(Sri KDU)
  • 処理期間が長い。Alice Smithは学生パス7営業日に対し、保護者パスは「最低2か月」としています

学校が代行する場合の実費は、Sri KDUの公表資料で学生パス新規1,100リンギ、保護者パス新規1,800リンギ。Mont'Kiara International Schoolはビザ処理手数料を生徒500リンギ/保護者1,000リンギと公表しています。学校の代行手数料を含めた初年度の実費は、子1人+母1人でおよそ1,700〜3,000リンギ(Sri KDUなら学生パス1,100+保護者パス1,800=2,900リンギ、Mont'Kiara なら学校のビザ処理手数料1,500+政府手数料150=1,650リンギ)。これとは別に、返金される保証金が日本国籍で1,000リンギかかります。

なお日本人学校は、保護者が長期滞在ビザを持っていることが入学の条件です。母子留学のルートで入れるかどうかは事前確認が必要で、詳しくは後述の「日本人学校」の節で扱います。

プレミアムビザと永住権:資金のハードルが別格か、基準が公開されていないか

プレミアムビザ(PVIP)は20年で就労・就学とも可能ですが、移民局の公式FAQによると月収40,000リンギ(約153万円)、定期預金1,000,000リンギ(約3,831万円)、参加費200,000リンギ(約766万円)(扶養家族1名100,000リンギ(約383万円))と、資金のハードルが別格です。2026年9月時点で廃止の発表はなく、移民局と政府ポータルに掲載が続いています。

永住権(Entry Permit)については、移民局の公式ページが掲げているのは「マレーシア国民の妻」「同 夫」「同 18歳未満の子」「完全外国籍者」の4区分です。日本語で広く流通している「投資家・専門家・配偶者・点数制・高技能者の5カテゴリー」という分類と、その具体的な基準(投資額や合格点)は、移民局の公開ページ上では確認できません。点数計算機の存在は公式に確認できますが、採点項目は公開されていません。2024年6月には観光相が「新しいMM2Hの参加者は永住権の対象にならない」と明言しています。

インターナショナルスクール:同じ学年でも学校によって3倍違う

マレーシアが教育移住で選ばれるのは、英語で学ぶ環境が欧米より安く手に入るためです。ただし「安い」の幅が非常に大きく、中1相当の学年で比べると、いちばん高い学校(ジョホールのMarlborough College Malaysia、141,300リンギ)といちばん安い学校(同じジョホールのTenby、42,150リンギ)で3.4倍開きます。まず同一ブランドの3都市で比べると、純粋な地域差が見えます。

同じ系列校で3都市を比べると、ペナンとジョホールはKLの8割前後

Tenby International School の年間授業料(2026/27年度、授業料のみ)
学年KL圏(Setia Eco Park)ペナンジョホール(Setia Eco Gardens)
Year 127,750リンギ(約106万円)22,881リンギ(約87.7万円)23,280リンギ(約89.2万円)
Year 339,210リンギ(約150万円)31,440リンギ(約120万円)31,200リンギ(約120万円)
Year 756,460リンギ(約216万円)46,917リンギ(約180万円)42,150リンギ(約161万円)
Year 964,200リンギ(約246万円)54,384リンギ(約208万円)49,680リンギ(約190万円)

英国式のYearは8月31日を区切りにするため、日本の学年とは最大1学年ずれます。目安として Year 3 は小2〜小3、Year 7 は小6〜中1、Year 9 は中2〜中3、Year 12 は高2にあたります。

同じ系列なら、ペナンもジョホールもKL圏の8割前後です。ただし傾向は違います。ペナンはYear 1で82.5%、Year 9で84.7%とほぼ一定なのに対し、ジョホールはYear 1の84%からYear 9の77%へ、学年が上がるほど差が開きます。なお、ペナン校とジョホール校には Year 12・13(Sixth Form=英国式の高校最終2年)がありません。高校まで同じ学校で通す前提なら、入学の時点で進学先を確認しておく必要があります。

主な学校を学年別に並べる:ペナンはKL上位の6割前後

次に、主な学校を学年別に並べます。自分の子の学年で見てください。低学年と高学年では金額が大きく違います。表の「ジョホール」は、いずれもジョホールバル周辺(イスカンダル・プテリなど)の学校です。

主な学校の年間授業料(2026/27年度、授業料のみ・税抜。学年は英国式のYear/米国式のGrade)
都市学校(カリキュラム)Year 3Year 7Year 12
クアラルンプールMont'Kiara International School(米国式)106,204リンギ(約407万円)118,674リンギ(約455万円)130,540リンギ(約500万円)
クアラルンプールGarden International School(英国式)97,830リンギ(約375万円)118,170リンギ(約453万円)126,870リンギ(約486万円)
クアラルンプールThe Alice Smith School(英国式)97,410リンギ(約373万円)112,950リンギ(約433万円)122,370リンギ(約469万円)
クアラルンプールIGB International School(IB一貫)86,500リンギ(約331万円)102,400リンギ(約392万円)118,200リンギ(約453万円)
ペナンUplands International School(英国式+IB)46,400リンギ(約178万円)71,400リンギ(約274万円)74,400リンギ(約285万円)
ペナンStonyhurst International School(英国式・非マレーシア人料金)44,550リンギ(約171万円)66,150リンギ(約253万円)71,250リンギ(約273万円)
ペナンPrince of Wales Island International School(英国式)32,760リンギ(約126万円)49,500リンギ(約190万円)64,230リンギ(約246万円)
ペナンTenby International School Penang(英国式)31,440リンギ(約120万円)46,917リンギ(約180万円)設置なし(Year 11まで)
ジョホールMarlborough College Malaysia(英国式+IB)119,400リンギ(約457万円)141,300リンギ(約541万円)166,800リンギ(約639万円)
ジョホールRaffles American School(米国式+IB)74,500リンギ(約285万円)98,500リンギ(約377万円)106,500リンギ(約408万円)
ジョホールTenby International School(Setia Eco Gardens・英国式)31,200リンギ(約120万円)42,150リンギ(約161万円)設置なし(Year 11まで)

ペナンは上位校でもKL上位の6割前後です。中1相当で比べると Uplands 71,400リンギに対し Alice Smith 112,950リンギで1.58倍。KL上位とペナンのPOWIIS(49,500リンギ)なら2.3倍です。一方ジョホールは二極化していて、英国の名門校の分校である Marlborough College Malaysia はKL上位よりも高く、同じジョホールの Tenby は3都市で最も安い部類に入ります。

注意したいのは、学校によって外国籍だと授業料そのものが変わることです。ペナンの Stonyhurst International School は、Year 7〜9でマレーシア人56,400リンギ、非マレーシア人66,150リンギと料金表を分けています。日本人には後者が適用されます。なお上表はいずれも授業料のみ・税抜で、実際の請求にはサービス税と、次に述べる入学時の費用が加わります。

授業料以外に、入学初日にまとまった金額がかかる

日本人がいちばん見落とすのがここです。年間授業料だけを見て予算を組むと、入学時に数百万円の想定外が出ます。

入学時にかかる授業料以外の費用(2026/27年度)
費目KL上位校ペナン性質
出願料・アセスメント料1,000リンギ(約38,310円)〜2,000800リンギ(約30,648円)〜2,000返金なし
入学金(Enrolment/Registration)20,000リンギ(約76.6万円)〜28,0005,000リンギ(約19.2万円)〜9,500返金なし
預り金(Deposit)20,000リンギ(約76.6万円)〜42,2905,000リンギ(約19.2万円)〜18,000入学金とは別建て。退学時に返金
英語補助(EAL/ESOL)学期あたり2,000リンギ(約7.7万円)〜5,000(英国式は年3学期、米国式は年2学期)年2,500リンギ(約9.6万円)前後必要な場合は毎年かかる

具体例を挙げると、Alice Smith School は出願料1,500リンギ、入学金20,000リンギ(返金なし)、保護者預り金24,000リンギ(Year 1〜13、返金あり)。Mont'Kiara International School は入学金が第1子28,000リンギ+税1,680リンギ=29,680リンギ(約114万円)、第2子は18,000リンギ+税1,080リンギ=19,080リンギ(約73.1万円)です。KL上位校では、入学時に授業料とは別におよそ40,000〜70,000リンギ(約153万円〜約268万円)、ペナンなら11,000〜30,000リンギ(約42.1万円〜約115万円)を用意する必要があります。これは子ども1人あたりの金額です。兄弟割引を設ける学校もありますが(Mont'Kiara は入学金を第2子で下げ、Uplands は授業料を第2子10%・第3子以降20%割引)、出願料と預り金は人数分かかります。

さらに2025年7月1日から、私立・インターナショナルスクールのサービスに6%のサービス税(SST)が課されています。課税されるのは「年間授業料が生徒1人あたり60,000リンギを超えるプログラム」と「外国人学生に提供されるサービス」です。つまり、60,000リンギ以下の学校でも、外国籍というだけで課税対象になり得ます。日本人の家庭は、学費水準にかかわらず上乗せがかかる前提で見積もってください。税率は同じなので都市間の「比率」は変わりませんが、金額の差は6%分だけ広がります。(税率については6%とする資料と、標準税率8%への引き上げに含めるとする資料があり、最終的には学校の請求書で確認してください。)

英語力の要件は学校でまったく違う。EALは年間の追加費用になる

「インターに入れれば英語ができるようになる」という前提は、学校によっては通りません。Marlborough College Malaysia は Senior 以降の入学に Oxford English Placement Test で B2 以上を要求しています(英検準1級に近い水準)。一方で Prince of Wales Island International School は「子どもの英語力はさまざま」として厳格な最低基準を設けていません。

英語補助が必要な場合の費用も確認が要ります。Alice Smith の英語補助プログラム(MLL)は Year 7〜13で学期あたり4,500リンギ(約17.2万円)、Mont'Kiara の EAL は集中コースが学期あたり5,000リンギ(約19.2万円)、IGB International School の ESOL・学習支援は学期あたり5,000リンギ(約19.2万円)です。Garden International School は学費表に EAL 込みの上位レートを設けており、Year 7〜9で年間最大140,670リンギ(約539万円)になります。

英語補助がいつまで受けられるかも確認してください。Mont'Kiara の料金表に載っている EAL は Elementary(Grade 1〜5)と Middle・High(Grade 6〜10)までで、Grade 11・12 の記載がありません。高校の最終学年まで英語補助が続く前提で計画すると、外れる可能性があります。Alice Smith は「学習支援チームが必要水準に達したと判断する前に有料の支援プログラムをやめた場合、在籍を取り消す」と明記しています。

学年によっては募集していない。中学以降は1年以上前から動く

Alice Smith School は学年ごとの空席状況を公開しており、2026/27年度は Year 10・Year 11・Year 13 が「Closed」、Year 7〜9 は「ウェイトプールのみ」です。IGCSE と A-Level はいずれも2年課程のため、その2年目にあたる Year 11・13 は原則として編入できません。Year 10 が閉じているのは定員の問題です。

Garden International School は、定員を超えた場合の選考基準として「他校の選択肢、英語力、学力、在籍者の国籍バランス」を挙げています。日本人の枠が埋まっている学年では不利になり得るということです。小学校低学年は比較的入りやすく、中学以降は難しいというのが3都市に共通する傾向で、中学からの教育移住は1年以上前から動く前提で考えてください。

学年の区切りと入学時期が日本とずれる

学年の割り当てにも落とし穴があります。Alice Smith も Garden International School も、英国式にならって8月31日時点の年齢で学年を決めます。日本の4月2日〜翌年4月1日区切りとずれるため、4〜8月生まれの子は学年が1つ変わることがあります。入学時期も、大半の学校が8月始まりである一方、Sunway International School(ジョホール)は1月始まりです。

日本人学校:学費はインター校の3.5〜5分の1だが、ビザが前提

3都市すべてに日本人学校があります。学費はインターナショナルスクールと桁が違います。

日本人学校の学費(2026年度)
学校入学時授業料(月額)その他(月額)年間の目安(小学部)
クアラルンプール日本人学校入学金4,000リンギ(約15.3万円)+施設設備拡充負担金5,000リンギ(約19.2万円)小学部1,670リンギ(約63,978円)/中学部1,890リンギ(約72,406円)学校維持負担金370リンギ(約14,175円)、PTA会費8リンギ24,576リンギ(約94.2万円)
ジョホール日本人学校入学金4,000リンギ(約15.3万円)+施設費3,000リンギ(約11.5万円)+日本人会寄付金4,000リンギ(約15.3万円)小学部920リンギ(約35,245円)/中学部1,050リンギ(約40,226円)施設費50リンギ(約1,916円)11,640リンギ(約44.6万円)
ペナン日本人学校入学金4,500リンギ(2024年時点の二次情報)1,070リンギ(同上)施設設備拡充費100リンギ(同上)月額から試算すると年14,040リンギ(二次情報のため要確認)

クアラルンプール日本人学校の小学部は年間およそ24,576リンギ(約94.2万円)。前掲のインター校学費表にあるKL上位校のYear 3(86,500〜106,204リンギ)と比べると3.5〜4.3分の1、Year 7(102,400〜118,674リンギ)と比べると4.2〜4.8分の1です。ジョホール日本人学校はさらに安く、年間11,640リンギ(約44.6万円)程度。ただし通学バス代が別途かかります(クアラルンプールで月409.50リンギ、ジョホールで約400リンギ)。

一方で、日本人学校は学生ビザのスポンサーになりません。入学には日本国籍に加えて、保護者と子が長期滞在ビザを持っていることが条件です。クアラルンプール日本人学校が認めるのは雇用パス等の長期滞在ビザ・扶養家族パス・MM2Hで、短期のソーシャルビジットパスは対象外です。保護者パスの実体である長期社会訪問パス(LTSVP)は短期のソーシャルビジットパスとは別物ですが、これが同校のいう「長期滞在ビザ」に該当するかは公開情報では確認できませんでした。母子留学で日本人学校を検討する場合は、出願前に学校へ直接ご確認ください。編入は随時受け付けていますが、中学3年は5月31日までに手続きを完了し6月1日までに入学することが条件です。ジョホール日本人学校は「原則として新年度からの入学・編入学」としています。

※ペナン日本人学校は公式サイトに金額の掲載がなく、上表の数値は2024年時点の二次情報です。実際の金額は学校に直接ご確認ください。

帰国後の進路と、日本語をどう保つか

「行く話」だけで決めると、中学生を連れていく家庭はあとで詰まります。中1で渡れば、中学の3年間をまるごと海外で過ごすことになります。日本の高校を受けるのか、現地で高校まで続けるのか、海外大学を目指すのかで、選ぶ学校もカリキュラムも変わります。英国式(IGCSE→A-Level)と米国式・IB では、日本の帰国生入試での扱いも、海外大学への出願の仕方も違います。

日本語の維持も、出発前に決めておく項目です。インターナショナルスクールに入れる場合、日本語に触れる時間は家庭と補習校だけになります。マレーシアにはペナン補習授業校やイポーのペラ補習授業校など、土曜に開かれる補習授業校があります(在ペナン日本国総領事館が案内しています)。日本人学校に入れる場合は逆に、英語環境をどこで確保するかが課題になります。

日本の学校の学籍をどう扱うか(在籍のまま留学するか、退学するか)は、日本側の学校と教育委員会に確認が必要です。この点は自治体と学校によって運用が違うため、本記事では一般論を書けません。

住む場所:クアラルンプール・ペナン・ジョホールバルの比較

3都市は、学費だけでなく家賃・渋滞・治安・気候のすべてで性格が違います。先に全体像を示します。

3都市の比較(2026年9月時点)
項目クアラルンプールペナンジョホールバル
家賃(3ベッドルームの中心帯)モントキアラ 5,000リンギ(約19.2万円)〜9,000タンジュン・トコン 2,500リンギ(約9.6万円)〜4,000イスカンダル・プテリ 3,300リンギ(約12.6万円)〜3,700
インター校(Year 7・主な学校の幅)102,400リンギ(約392万円)〜118,67446,917リンギ(約180万円)〜71,40042,150リンギ(約161万円)〜141,300(二極化)
日本人学校あり(幼〜中)あり(小〜中)あり(小〜中)
渋滞(混雑率・2025年 TomTom)43.4%/年84時間56.7%/年100時間(3都市で最悪)39.5%/年65時間
都市鉄道LRT・MRT・モノレールありなしなし
犯罪(直近の傾向)※指標・期間が揃っておらず順位づけはできません市:2025年の届出犯罪 前年比 約−50%州:2025年1〜9月の指数犯罪 −28.7%州:2025年1月1日〜12月1日の指数犯罪 +2.32%
降水年2,845mm。最多は11月の355mm4〜11月が月180mm前後、1〜2月は月70mm前後(年間値は未確認)年2,355mm。最多は12月の245mm
乾季明確でない1〜2月(はっきりある)2月・6月
日本語対応の私立病院多い(日本語カウンター複数)あり(日本人スタッフ)限定的
シンガポールへのアクセス空路で約1時間空路で約1時間20分陸路で国境を越えて隣接

家賃:ペナン・ジョホールはKLの主要エリアの半分前後

クアラルンプールはエリアによる差が3〜4倍あります。日本人が集まるモントキアラ、バンサー、デサパークシティの3ベッドルームは5,000リンギ(約19.2万円)〜9,000が中心帯で、ほぼ全件が家具付きです。同じ3ベッドルームでも、ブキジャリルなら1,500リンギ(約5.7万円)〜2,500から見つかります。

ペナンは、外国人が多いタンジュン・トコンで3ベッドルームが2,500リンギ(約9.6万円)〜4,000、ガーニー周辺で2,000リンギ(約7.7万円)〜3,000(高級棟は7,000リンギ超)。ジョホールのイスカンダル・プテリ/メディニは3,300リンギ(約12.6万円)〜3,700が中心で、こちらも家具付きが標準です。ブキ・インダやマウント・オースティンは戸建てが中心で、家具なしの物件も多くなります。

※家賃は物件ポータル(iProperty・PropertyGuru)の2026年8〜9月の掲載データにもとづく実勢です。政府統計(NAPIC)には賃料相場の公表がありません。

渋滞・治安・ヘイズ・生活習慣:思い込みと実データが食い違う項目

「クアラルンプールがいちばん渋滞する」は、指標上は誤りです。TomTom の2025年データでは、混雑率も年間の損失時間もペナン(ジョージタウン)が3都市で最悪で、混雑率56.7%、ラッシュ時の年間損失100時間。クアラルンプールは43.4%・84時間、ジョホールバルは39.5%・65時間です。島という地形の制約が効いています。ただし前年からの変化は、ペナン−0.5ポイント、クアラルンプール+0.9ポイントに対し、ジョホールバルは+2.6ポイントと悪化幅が最大です。

治安は、3都市で傾向が逆向きです。以下の「指数犯罪(index crime)」とは、マレーシア警察が殺人・強盗・傷害などの暴力犯と、窃盗・車両盗などの財産犯に絞って集計している指標です。クアラルンプールは2025年の届出犯罪が前年比約50%減(市当局はAI搭載CCTV1万台の配備を理由に挙げています)、ペナンは2025年1〜9月の指数犯罪が28.7%減。一方ジョホール州は2025年(1月1日〜12月1日)の指数犯罪が5,021件で前年同期比+2.32%と、増えています(検挙率は63.3%→66.02%に改善)。ただしこの3つは集計指標も期間も、市と州の別も揃っておらず、順位づけはできません。増減の方向だけを見てください。全国では2024年の指数犯罪が58,255件で前年比+11.1%です。ペナンは商業犯罪(詐欺)が悪化しており、2025年上半期の届出は13,777件、被害総額1億7,460万リンギでした。

ヘイズ(煙害)は3都市とも避けられません。2026年9月17日時点で全国30地点が「不健康」域(API 101〜200)に入り、クアラルンプール(チェラス155)、ペナン(ミンデン153)、ジョホール(バトゥパハ155)のいずれも該当しています。主要な発生期は南西モンスーンの5〜9月で、7〜9月がピークです。3都市に明確な優劣はありません。

イスラム圏であることの実務的な影響は、日常生活では限定的です。金曜の昼休みが長くなる、政府機関や宗教施設では控えめな服装が望ましい、といった点が中心で、非ムスリムが戒律に従うことは求められません。アルコールは2025年11月1日にビールの物品税が10%引き上げられ、缶ビールは半島部で1缶8〜10リンギ程度です。飲酒可能年齢は21歳です。

生活費:外国人は補助の対象外という前提で見積もる

2025〜2026年のいちばん大きな変化は、補助の線引きが国籍で引かれたこと

「マレーシアはガソリンも交通費も安い」という説明は、2026年の外国人には当てはまりません。

自国民と外国人で価格が分かれるもの(2026年9月時点)
項目マレーシア国民外国人(MM2H・雇用パスを含む)差
RON95ガソリン1.99リンギ(約76円)/L(BUDI95)4.02リンギ(約154円)/L(無補助・市場価格)約2.0倍
クアラルンプールの交通定期(30日乗り放題)My50 50リンギ(約1,916円)(報道ではMyKadでの本人確認が必要とされる)Rapid Bulanan 150リンギ(約5,747円)(全乗客が対象と公式に明記)3倍
インターナショナルスクールのサービス税年間授業料6万リンギ以下なら非課税外国人学生というだけで課税対象—

このほか、住宅用不動産の印紙税と不動産譲渡益税(RPGT)でも外国人の税率が分かれます。これらは後述の税金の章にまとめました。

BUDI95の補助(1.99リンギ/L)は、有効な運転免許とMyKadを持つマレーシア国民に限られます。財務省の発表は「2025年9月30日以降、非国民および大企業は補助の対象外となる」と明記しており、MM2H参加者も対象外です。下の生活費モデルと同じ月150Lを使う家庭なら、年間でおよそ3,654リンギ(約14.0万円)の差になります(2026年9月10〜16日の週の価格で計算)。

クアラルンプールの交通定期も、LRT・MRT・モノレール・バスが30日乗り放題という内容は同じでも、My50 が50リンギ、Rapid Bulanan が150リンギです。Rapid KLは Rapid Bulanan を「非マレーシア人を含むすべての乗客が対象」と案内しており、My50 についてはマレーシア人向けと報じられています(Rapid Penang版の公式ページには「すべてのマレーシア人向け」と明記があります)。外国人が確実に使えるのは150リンギのほうだと考えてください。

4人家族の月額モデル(学費を除く)

上記を踏まえた、4人家族・車1台・自炊中心の月額の目安です。学費は別途。家賃は各都市の中心帯の中央付近を採り、クアラルンプールのみ5,000〜9,000リンギのうち下寄りの6,500リンギにしています。モントキアラで9,000リンギの物件に住めば、合計は月17,300〜18,500リンギになります。

4人家族の生活費(学費を除く、月額)
費目クアラルンプール(モントキアラ)ペナン(タンジュン・トコン)ジョホール(イスカンダル・プテリ)
家賃(3ベッドルーム・家具付き)6,500リンギ(約24.9万円)3,200リンギ(約12.3万円)3,500リンギ(約13.4万円)
食費(自炊中心+週数回の外食)2,500リンギ(約9.6万円)〜3,5002,200リンギ(約8.4万円)〜3,0002,200リンギ(約8.4万円)〜3,000
光熱費・水道(エアコン常用)300リンギ(約11,493円)〜450280リンギ(約10,727円)〜420320リンギ(約12,259円)〜470
通信(光回線+携帯2回線)200リンギ(約7,662円)〜250200リンギ(約7,662円)〜250200リンギ(約7,662円)〜250
ガソリン(月150L・無補助)603リンギ(約23,101円)603リンギ(約23,101円)603リンギ(約23,101円)
医療保険(家族・国際プラン)4,679リンギ(約17.9万円)4,679リンギ(約17.9万円)4,679リンギ(約17.9万円)
合計(保険を含む)14,800リンギ(約56.7万円)〜16,00011,200リンギ(約42.9万円)〜12,20011,500リンギ(約44.1万円)〜12,500

円にすると、クアラルンプールで月約56.7万円〜約61.3万円、ペナンとジョホールで月約42.9万円〜約47.9万円です。この差の大半は家賃で、医療保険を自分で手配する前提にするかどうかでも月4,000リンギ以上動きます。

食費はどこまで日本のものを食べるかで変わります。ローカルの屋台なら1食4.50〜11.50リンギ(ペナンの2026年6月の定点調査)。クアラルンプールの輸入系スーパーでは、米5kgが34.50リンギ、牛乳1Lが7.49リンギ、バター227gが13.80リンギ、シュレッドチーズ200gが17.50リンギといった水準で、乳製品や加工品など輸入に頼る品目ほど割高になります。なお、マレーシアの食品価格は10年余りで大きく上がっており、統計局によると2011年から2024年でナシレマは2.03→3.68リンギ(+81%)、ロティチャナイは0.90→1.54リンギ(+71%)になっています。

家事使用人を雇うかどうかも、この国ならではの変数です。パートタイムなら週1回で月480リンギ(約18,389円)前後、住み込みのフルタイムは月2,500リンギ(約9.6万円)〜4,500(給与・住居・食費・年次費用の合計)が相場とされます。MM2Hではプラチナ区分に限りメイドの帯同が認められていますが、それ以外の区分や雇用パス保持者が住み込みの家事使用人を雇えるかどうかは、移民局の公表情報で確認できませんでした。雇用を前提に資金計画を立てる場合は、事前に確認してください。

医療:私立病院は日本語が通じるが、保険が固定費になる

外国人でも公立病院を使えますが、非国民料金が適用されます。保健省傘下の病院が公表している外国人料金は、一般外来40リンギ(約1,532円)、専門外来120リンギ(約4,597円)、救急100リンギ(約3,831円)、3等病棟160リンギ(約6,130円)/日。金額自体は高くありませんが、入院時の預託金が1等で7,000〜11,000リンギ必要です(全国一律かどうかは保健省の統一料金表で確認できませんでした)。

実際には、日本人の多くは私立病院を使います。相場は一般開業医の診察が30リンギ(約1,149円)〜80、専門医の初診が250リンギ(約9,578円)〜400、MRIが1,000リンギ(約3.8万円)〜2,500、正常分娩のパッケージが8,000リンギ(約30.6万円)〜14,000、帝王切開で15,000リンギ(約57.5万円)〜22,000。個室は1泊300リンギ(約11,493円)〜600です。

日本語対応はクアラルンプールが突出しています。クアラルンプール日本人会が案内している範囲でも、Gleneagles Kuala Lumpur、Prince Court Medical Centre、Pantai Hospital、Parkcity Medical Centre、Subang Jaya Medical Centre、Sunway Medical Centre に日本語スタッフまたは日本語カウンターがあり、日本語通訳のつくクリニックも複数あります。ペナンは Island Hospital、Loh Guan Lye、Penang Adventist Hospital に日本人スタッフがいるとされます。ジョホールバルは3都市で最も限定的で、KPJ Johor Specialist Hospital などに限られます。

固定費として効いてくるのが医療保険です。国際医療保険の家族プランは年およそ13,889ドル(約217万円、月およそ4,679リンギ(約17.9万円))が相場とされ、家賃に次ぐ支出になります。前述したMM2Hの参加要件「保障額80,000リンギ以上の医療保険」は年1,200リンギ程度で満たせますが、実際の入院・手術をまかなう水準とは桁が違う点に注意してください。13,889ドルという金額は加入年齢や家族構成で変わるため、見積もりは個別に取ってください。

マレーシアの医療インフレは高水準です。Aon の調査では2024年15%、2025年15%、2026年は16%の見込みで、アジア太平洋平均(11%台)を5ポイント近く上回ります。マレーシア国立銀行は2024年12月に医療保険料の年間引き上げを10%までとし、値上げを最低3年に分散させる措置を導入しました。なお民間病院団体は「15%という数字は実際のコストを過大に表している」と反論しており、数字には幅があります。

税金:国外源泉所得の免除は2036年まで延長されている

マレーシア側:182日で居住者、国外からの所得は当面非課税

マレーシアの個人所得税は属地主義です。居住者かどうかは内国歳入庁の公開裁定(Public Ruling 11/2017)に基づき、主に次の基準で判定されます。

  • その年に182日以上マレーシアに滞在した
  • その年の滞在が182日未満でも、前年または翌年の連続182日以上の滞在期間と連結している
  • その年に90日以上滞在し、かつ直前4年のうち3年で居住者だったか90日以上滞在していた
  • その年に1日も滞在していなくても、翌年が居住者で、かつ直前3年連続で居住者だった

一時的な不在のうち、職務に関連する出張、本人や近親者の病気、合計14日以内の社交目的の訪問は滞在日数に算入できます。

居住者の税率は課税所得に応じた累進です。2026賦課年度で税率区分の変更はありません。非居住者は一律30%で、人的控除は使えません。

居住者個人の所得税率(内国歳入庁。2026賦課年度で区分の変更なし)
課税所得(リンギ)税率課税所得の円換算の目安
0〜5,0000%〜約19.2万円
5,001〜20,0001%〜約76.6万円
20,001〜35,0003%〜約134万円
35,001〜50,0006%〜約192万円
50,001〜70,00011%〜約268万円
70,001〜100,00019%〜約383万円
100,001〜400,00025%〜約1,532万円
400,001〜600,00026%〜約2,299万円
600,001〜2,000,00028%〜約7,662万円
2,000,001〜30%—

ここが本記事でいちばん訂正しておきたい点です。「マレーシアの国外源泉所得の非課税は2026年末で終わる」という説明がいまも多く出回っていますが、2024年12月24日に官報告示された P.U.(A) 451/2024 により、居住者個人に対する国外源泉所得の免除は2036年12月31日まで10年延長されています(延長分の適用開始は2027年1月1日)。免除には「源泉地国で課税されていること」などの条件が付き、マレーシア国内のパートナーシップ事業を通じて受領した所得は対象外です。

マレーシア側:資産の出入りには外国人向けの上乗せがある

所得には軽い一方で、資産まわりの税は外国人に重く設定されています。

マレーシアの資産関連の税(2026年9月時点)
税目内容
相続税・遺産税なし(1991年11月1日に遺産税を廃止)。再導入の議論は繰り返し浮上している
贈与税課税する規定は確認できない
キャピタルゲイン税(2024年導入)会社・LLP・信託等が対象。個人には適用されない
不動産譲渡益税(RPGT)外国人は取得後5年目まで30%、6年目以降も10%(国民・永住者は6年目以降0%)
住宅用不動産の印紙税2026年1月1日以降に作成する譲渡証書から、外国人は一律8%(2025年までは4%)
外国人の住宅購入の最低価格州ごとに設定。クアラルンプールとジョホールは1,000,000リンギ(約3,831万円)、ペナン島は区分所有1,000,000リンギ(約3,831万円)・土地付き3,000,000リンギ(約1.15億円)、ペナン本土は500,000リンギ(約1,916万円)から(2026年2月時点の集計)

なお、州が定める外国人の最低購入価格と、MM2Hの区分ごとの購入義務額は別建てで、高いほうが実質的な下限になります。州の基準は変更されることがあるため、購入前に州政府と経済企画院で確認してください。

日本側:転出届・年金・住民税・出国税

日本を離れる側の手続きは、順番を間違えると余計な負担が出ます。

出国前後にやること
項目内容時期
海外転出届おおむね1年以上の海外滞在が見込まれる場合に提出。遡っての受付は不可出国のおおむね14日前から出国日当日まで
国民健康保険転出届により資格を喪失。窓口での喪失届が必要。転出届を出さないと保険料が発生し続ける転出届と同時
国民年金在外任意加入を選べる(日本国籍・20歳以上65歳未満)。令和8年度の保険料は月17,920円。任意加入しない期間は「合算対象期間」となり、受給資格期間には入るが年金額には反映されない出国前が手続きしやすい
住民税賦課期日は1月1日。年の途中で出国してもその年度分は全額納付義務がある。納税管理人の届出は出国の10日前まで出国前
所得税非居住者は国内源泉所得のみ課税。国内不動産の賃料は支払時に20.42%が源泉徴収される。確定申告が必要なら納税管理人を選任する出国前
出国税(国外転出時課税)有価証券等が1億円以上で、かつ出国前10年以内に国内に住所・居所を有していた期間が5年超の場合に、譲渡したものとみなして課税。納税猶予は5年(延長で最長10年)出国前の届出

上の表は、自営業や退職者のように国民健康保険・国民年金に加入している人を前提にしています。会社員のまま海外に住む場合、健康保険は勤務先の健康保険組合(または協会けんぽ)、年金は厚生年金のままになることがあり、上の説明はそのままは当てはまりません。どの制度に残るのか、海外居住を会社がどう扱うのかは、必ず勤務先に確認してください。なお、日本とマレーシアのあいだに社会保障協定が結ばれているかどうかは、本記事の調査では確認できませんでした。

日本とマレーシアの租税条約(1999年署名・同年発効、2010年に改正議定書が発効)は、双方の居住者に該当する場合の振り分けを、恒久的住居 → 人的・経済的関係がより密接な国 → 常用の住居 → 国籍 → 両国当局の合意、の順で定めています。給与所得については、滞在が暦年で183日を超えず、報酬が滞在地国の居住者でない雇用者から支払われ、かつ滞在地国の恒久的施設が負担しない場合に、居住地国でのみ課税されます。日本側は外国税額控除方式です。

マレーシア国内法の182日判定と、租税条約15条の「暦年183日」は目的が違います。混同しないでください。海外移住にともなう日本側の税務上の落とし穴は海外移住の税金と住民票の手続きにまとめています。

うまくいかなかった家庭に共通すること

「マレーシア移住 悲惨」「後悔」といった言葉で検索されることが多いテーマですが、体験談を並べても判断材料にはなりません。制度と数字で裏の取れる要因に絞ると、次の4つに集約されます。

① いちばん大きいのは為替。マレーシアの物価ではなく円の価値が変わった

マレーシア国立銀行の公表レートで、リンギは2021年の年平均26.505円から2026年9月18日の38.31円へ、5年で約45%上がりました。一方、マレーシア統計局の公表によると2025年の消費者物価指数の上昇率は1.4%(食品2.1%、教育2.3%、保健1.2%)と、極めて低い水準です。

生活費の章で見たとおり、マレーシアの食品価格は長期では上がっています。ただし直近の上昇率と為替の動きは桁が違います。

本記事の生活費モデル(クアラルンプール・4人家族で月14,800リンギ)を円に直すと、2021年の平均レートでは392,274円、2026年9月では566,988円。マレーシア側の物価が1リンギも上がらなくても、円では月17万円・年210万円の負担増です。円収入で移住する家庭にとって、これが最大のリスク要因になります。

本記事の金額はすべて1リンギ=38.31円の一点で計算しています。なお2026年9月18日は日本銀行が政策金利を1.25%に引き上げた日で、円は一時158円台まで売られました。レートは短期間でも大きく動きます。為替が動けば全部が動くので、自分の許容範囲は次の幅で見てください。

為替が動いたときの生活費(クアラルンプール・4人家族・月14,800リンギ、学費を除く)
1リンギ=月額年額本記事の前提との差(年)
30円(2022年ごろの水準)444,000円532.8万円−147.6万円
35円518,000円621.6万円−58.8万円
38.31円(本記事の前提)566,988円680.4万円—
42円621,600円745.9万円+65.5万円
45円666,000円799.2万円+118.8万円

医療の章で見たとおり、マレーシアの医療インフレは2026年に16%の見込みです。家族の医療保険が年13,889ドル規模の固定費であることを踏まえると、長期の資金計画では為替と医療費を別々に織り込む必要があります。

② 制度が変わり、既存の参加者にも新条件が適用された前例がある

MM2Hは2021年に条件が大幅に引き上げられました。月額の海外収入が10,000リンギ(約38.3万円)から40,000リンギ(約153万円)へ4倍、定期預金が15万〜30万リンギから1,000,000リンギ(約3,831万円)へ、流動資産の証明も3〜4倍。ビザの有効期間は10年から5年に半減し、滞在義務(現行制度では50歳未満に年90日)が新設されました。

問題は既存参加者の扱いでした。内務省は当時、「既存参加者も、参加継続を希望する場合は新条件に従うことを条件として延長を申請できる」と説明しています。つまり既存参加者は自動的には守られず、更新時に新条件が適用されました。結果として、2021年改定後の制度(eMM2H)が始まってからの最初の10か月で新規申請は267件にとどまり、同じ期間に1,461人が離脱しています。承認件数はピークの2017年に年6,195件だったものが、2021年11月〜2023年9月の約2年で計1,905件まで落ち込みました。

2024年の再編後は回復しており、2025年の承認は3,172件(参加者9,038人)。うち83.5%がシルバーです。ただし2021年の前例は、「いま出ている条件が10年続く保証はない」という意味で読んでおくべきです。なお2021年以前の旧制度参加者が、2024年改定後にどう更新されるかについては公式の規定を確認できませんでした。

③ 外国人と自国民の線引きが、2025〜2026年に相次いで引かれた

2025年から2026年にかけて、外国人の負担を上げる変更が集中しました。いずれも移住の収支計算に直接効きます。

  • 2025年7月1日:私立・インターナショナルスクールに6%のサービス税(外国人学生に提供されるサービスが課税対象)
  • 2025年9月30日:ガソリン補助 BUDI95 が開始。RON95は国民が1.99リンギ/L、外国人は無補助の市場価格(2026年9月時点で4.02リンギ/L)
  • 2026年1月1日:住宅用不動産の譲渡証書に対する外国人の印紙税が4%から8%へ
  • 2026年1月1日:クアラルンプールの交通定期が改定され、My50 は50リンギに据え置かれた一方、非マレーシア人を含む全乗客が対象の Rapid Bulanan は150リンギ
  • 2026年6月1日:雇用パスの最低給与が全区分で引き上げ(カテゴリーIは月給1万→2万リンギ)

いずれも前章までに触れたとおりですが、1年分をまとめると重さが変わります。子ども2人をKL上位校に入れて車1台を持つ家庭なら、学費へのサービス税でおよそ12,622リンギ(約48.4万円)、ガソリンの補助対象外で3,654リンギ(約14.0万円)、交通定期で1人あたり年1,200リンギ(約4.6万円)。「東南アジアだから安い」という前提で組んだ予算は、この3つだけで年60万円以上ずれます。

④ 全体は戻っているのに、日本人だけ減っている

外務省の海外在留邦人数調査統計によると、マレーシアの在留邦人は2025年10月1日時点で19,690人(長期滞在者17,923人、永住者1,767人)で、前年の20,025人から1.7%減。2022年の24,545人から3年連続の減少です。世界14位。永住者も2,093人から1,767人へ減っています。

対照的に、MM2H全体の承認数は2025年に3,172件と回復しています。2024年1月31日時点の有効なMM2Hパス保有者56,066人のうち、中国が24,765人で44%を占め、日本は4,733人で3位です。ただしこの2つは母集団が違います(在留邦人数は日本人の人数、MM2H承認数は全国籍の年間件数)。日本人のMM2H保有者数の推移は公表資料で確認できませんでした。それでも、片方が回復し片方が減り続けているという方向の違いは、ここまで見てきた為替と、定期預金15万ドル(約2,345万円)というドル建ての要件が円安で重くなっていることで説明がつきます。

よくある質問

マレーシア移住に最低いくら必要ですか?

ルートによって桁が変わります。雇用パスなら勤務先が決まっていることが条件で、資金要件そのものはありません(給与要件が実質の基準)。MM2Hシルバーは定期預金150,000ドル(約2,345万円)と600,000リンギ(約2,299万円)以上の住宅購入で、拘束される資金は4,600万円台。ただし州が定める外国人の最低購入価格が上回る場合はそちらが下限になるため、クアラルンプールやジョホールに住むなら住宅は1,000,000リンギ(約3,831万円)以上で、拘束される資金は6,200万円規模になります。学生パス+保護者パスなら、ビザの実費は初年度1,700〜3,000リンギ程度(別途、返金される保証金1,000リンギ)ですが、Alice Smith Schoolのようにスポンサーとなる親に月収およそ25,000リンギの証明を求める学校があります。これとは別に、インター校の入学時費用(KL上位校で40,000〜70,000リンギ)と当面の生活費が要ります。

子どもを連れて行くなら、どのビザがいちばん現実的ですか?

働く予定があるなら雇用パスのカテゴリーIまたはII+扶養家族パスが最も確実です。子どもは学生パスが不要になり、就学許可の裏書だけで通学できます。働かないならMM2Hで、同じく学生パスが不要です。母子留学(学生パス+保護者パス)はビザの実費こそ安いものの、保護者パスが原則1名、マレーシア人の身元保証人が必要、処理に最低2か月、さらに学校によってはスポンサーとなる親に月収25,000リンギの証明を求められます。実費は安いのに、求められる収入は雇用パスより高いというねじれた構造です。

クアラルンプール・ペナン・ジョホールバルのどれがいいですか?

子どもの学校と、日本語が通じる医療を最優先するならクアラルンプール。費用を抑えつつ教育の質を確保したいならペナン(上位校でもKL最上位の6割前後、家賃も半分前後)。シンガポールとの往来が目的ならジョホールバルです。ただし、ジョホール州は3都市で唯一2025年の犯罪が増加しており、ペナンは渋滞が3都市で最悪(混雑率56.7%)です。「ペナンはのんびりしている」という印象と、渋滞の実データは食い違います。

マレーシアは税金が安いというのは本当ですか?

国外源泉所得については、居住者個人の免除が2036年12月31日まで延長されています(2024年12月24日官報告示のP.U.(A) 451/2024)。相続税・贈与税はなく、2024年導入のキャピタルゲイン税は個人に適用されません。一方で、外国人には不動産譲渡益税が6年目以降も10%かかり、住宅用不動産の印紙税は2026年1月から一律8%です。「所得には軽く、資産の出入りには重い」という設計だと理解してください。

インターナショナルスクールの学費は年いくら見ておけばいいですか?

学年と都市で大きく変わります。Year 7 を基準にすると、クアラルンプールの上位校で年102,400リンギ(約392万円)〜118,674、ペナンの上位校で49,500リンギ(約190万円)〜71,400、ジョホールは98,500リンギ(約377万円)〜141,300(Marlborough College Malaysia)と42,150リンギ(約161万円)(Tenby)に二極化しています。これに入学時の一時金と、必要なら英語補助の費用が加わります。

英語ができない子でも入れますか?

学校によります。Prince of Wales Island International Schoolのように厳格な最低基準を設けていない学校がある一方、Marlborough College Malaysia は Senior 以降の入学に Oxford English Placement Test で B2 以上を求めています。英語補助(EAL/ESOL)は学期あたり2,000〜5,000リンギの追加費用です。Mont'Kiara International School の料金表にある EAL は Grade 10 までで、Grade 11・12 の記載がありません。高校からの入学を考えるなら、英語力は先に作っておく必要があります。

日本の年金や健康保険はどうなりますか?

海外転出届を出すと国民健康保険の資格を失います。国民年金は在外任意加入を選べ、令和8年度の保険料は月17,920円です。任意加入しない期間は「合算対象期間」となり、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)にはカウントされますが、年金額には反映されません。住民税は1月1日が賦課期日で、年の途中に出国してもその年度分は全額納める必要があります。

MM2Hの条件はまた変わりますか?

断定はできませんが、本文で見たとおり2021年には既存参加者にも更新時に新条件が適用されました。いま出ている条件が更新時にも維持される保証はないという前提で、資金計画に余裕を持たせてください。

まとめ

マレーシア移住の条件は、どの在留資格で入るかでほぼ決まります。働いて住むなら雇用パス(2026年6月1日以降の申請はカテゴリーIが月給2万リンギ、カテゴリーIIが1万リンギから。カテゴリーIIIでも家族帯同が可能になりました)。働かずに住むならMM2H(シルバーで定期預金15万ドル+住宅60万リンギ以上)。子どもの学校が目的なら学生パス+保護者パスですが、保護者パスは原則1名で、マレーシア人の身元保証人が必要です。

費用は都市で大きく変わります。Year 3 と Year 7 の子を上位校に入れて3ベッドルームを借りる前提なら、クアラルンプール(The Alice Smith School/モントキアラ 月6,500リンギ)で学費と家賃だけで年約1,105万円、ペナン(Uplands International School/タンジュン・トコン 月3,200リンギ)で年約598万円。いずれも授業料は税抜で、6%のサービス税を加えるとそれぞれ約1,153万円、約625万円になります。生活費(学費を除く)は4人家族でクアラルンプール月約56.7万円〜約61.3万円、ペナン・ジョホールで月約42.9万円〜約47.9万円が目安になります。

税制面では、居住者個人の国外源泉所得の免除が2036年まで延長され、相続税・贈与税もありません。一方で、2025年から2026年にかけてガソリン補助・交通定期・不動産の印紙税・学費のサービス税で外国人と自国民の線引きが相次いで引かれました。そして最大の変数は為替で、リンギは5年で円に対して約45%上がっています。マレーシアの物価上昇は年1.4%でも、円で見た生活費はまったく別の動きをするという前提で計画してください。

最後に、動き出す順番だけ整理しておきます。

  • 1. 在留資格を決める。勤務先との関係(現地雇用か、日本の会社のリモートか)、資金、滞在したい年数の3つで、取れるルートはほぼ絞られます
  • 2. 学校を先に決める。中学以降は学年によって募集が閉じています。渡航の1年以上前に空席状況を確認し、出願とアセスメントの日程を押さえてください
  • 3. 学校の合格を得てからビザを動かす。母子留学の場合、子の学生パスが承認されないと保護者パスを申請できません
  • 4. 日本側の手続きは出国の直前。転出届は出国のおおむね14日前から。納税管理人の届出は出国の10日前までです
  • 5. 為替の幅を決めておく。1リンギ何円までなら続けられるかを先に決めておくと、判断がぶれません

当事務所は海外移住・市民権取得のご相談を承っています。マレーシアについては、どのルートが自分の家族に合うかの整理、必要書類の洗い出し、日本側の手続きの順序についてご相談いただけます(ビザ申請そのものの代行は行っておらず、MM2Hは認可代理店経由の申請となります)。戸籍謄本の英訳・アポスティーユ・公証などの認証手続き、海外からの戸籍謄本の取り寄せは当事務所で対応しています。

参考(一次情報・出典)

本記事の条件・費用は2026年9月20日時点の公表情報にもとづきます。円換算は1ドル=156.32円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2026年9月18日 仲値)、1リンギ=38.31円(同レートを、マレーシア国立銀行が同日公表した1ドル=4.0808リンギで割って算出)。

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