海外口座の作り方【2026年】日本に住んだまま開設できる海外の銀行と、税金・報告の注意点

日本に住んだまま海外の銀行口座を作れる国は、2026年時点でかなり限られます。現実的な候補は香港で、HSBCなどの支店に本人が行けば、香港に住んでいなくても開設できる場合があります。ただし、2026年1月以降にHSBCで開設した香港IDのない人は、残高が1万香港ドル(約20.1万円)を下回ると月100香港ドルの手数料がかかります。シンガポールは、現地の就労パスなどを持っていない人には、20万ドルや35万シンガポールドル以上の資産を預ける富裕層向けの口座が中心です。アメリカは、原則として米国の住所と社会保障番号が必要です。手軽に外貨を持ちたいだけなら、銀行ではないWiseやRevolutのような送金サービスも選択肢になります。どの方法でも、海外口座の情報はCRSという仕組みで国税庁に届き、利息は原則として日本で確定申告が必要です。

※制度と金額は2026年10月9日時点の公表情報です。円換算は1香港ドル=20.13円、1シンガポールドル=123.45円、1ドル=157.95円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)で計算しています。口座開設の可否は銀行の審査で決まり、本記事の内容で開設を保証するものではありません。

目次

  1. 結論:日本に住んだまま作れる海外口座は限られる
  2. 国・地域別:日本に住んだまま開設できるか
  3. 香港:支店で本人が開設。2026年から少額の口座に手数料
  4. シンガポール:就労パスか、富裕層向けの資産が必要
  5. アメリカ・タイなど:現地の住所や長期ビザが前提
  6. 銀行以外の選択肢:WiseとRevolut
  7. 税金と報告:CRS・国外送金等調書・国外財産調書
  8. 開設後の注意点:休眠・相続・代行業者の詐欺
  9. よくある質問
  10. まとめ

結論:日本に住んだまま作れる海外口座は限られる

海外口座を作る目的は、資産の分散、外貨での運用、海外移住の準備などさまざまですが、どの国の銀行も、マネーロンダリング対策の強化で非居住者の口座開設に慎重になっています。日本に住んだまま作れるかどうかを、国・地域ごとにまとめると次のとおりです。

国・地域 日本に住んだままの開設 主な条件
香港 本人が現地の支店に行けば可能な場合がある パスポート、住所の証明、口座を作る理由の説明。英語か広東語・北京語での面談
シンガポール 一般の口座はほぼ不可 就労パスなどの在留資格、または20万ドル・35万シンガポールドル以上の資産(富裕層向け)
アメリカ 原則不可 米国の住所と社会保障番号
タイ 原則不可(2025年5月から厳格化) 長期ビザ、タイ人との婚姻、タイの不動産の所有など
Wise・Revolut(銀行ではない) 日本の住所で利用可能 日本の資金移動業者などとして登録。サービス内の残高は預金保険の対象外で利息もない

海外口座で注意したいのは、作れるかどうかより、作った後の維持と税金です。少額の口座には手数料がかかり、使わない口座は休眠になります。口座の情報は国税庁に自動的に届き、利息の申告漏れは後から指摘されます。

国・地域別:日本に住んだまま開設できるか

海外の銀行が非居住者の口座開設に慎重なのは、本人確認と資金の出どころの確認(KYC)が厳しくなっているためです。香港では2026年5月に、香港金融管理局が中国本土の投資家の投資口座について、資金の出どころの申告や残高ゼロの休眠口座の解約を求める通知を出しました。預金口座や日本人を対象にしたものではありませんが、本人確認を重視する流れのひとつです。

開設を考える前に、次の3点を確認してください。

  • 現地に行けるか:香港の大手銀行でも、日本のパスポートではアプリでの開設の対象外で、支店に行く必要があります
  • 口座を作る理由を説明できるか:「資産を分散したい」だけでは足りず、香港での事業や取引、居住の予定など、現地とのつながりを聞かれることがあります
  • 最低残高を維持できるか:残高が基準を下回ると、毎月の手数料がかかる口座が増えています

香港:支店で本人が開設。2026年から少額の口座に手数料

日本人が海外口座を作る先としてよく選ばれるのが香港です。主な銀行の条件は次のとおりです。

銀行 香港IDのない人の開設 残高と手数料
HSBC(HSBC One) 香港の支店(旺角支店または本店)で申請。日本のパスポートはアプリでの開設の対象外 2026年1月1日以降に開設した場合、3か月平均の総残高が10,000香港ドル(約20.1万円)未満なら月100香港ドル(約2,013円)
HSBC(Premier) 支店で申請 総残高1,000,000香港ドル(約2,013万円)以上が条件
ハンセン銀行 香港の支店(または中国本土の指定支店)で申請。香港への入境記録のあるパスポートが必要 口座の種類による

HSBCの公式サイトでは、2025年までに開設した口座には、現時点でこの最低残高の条件と手数料はかかりません。支店へは、事前に電話などで予約してから行くよう案内されています。開設の当日は、パスポートの原本、住所を証明する書類、税務上の居住国の申告(日本のマイナンバーなどの納税者番号)を求められ、口座を作る理由や資金の出どころについて面談があります。香港で受信できる携帯電話の番号を求められることもあります。審査に通るかは銀行の判断で、非居住者は断られる例も少なくありません。

日本にいながらの準備から当日の流れ、主要5行の比較、開設後の維持までは、香港で銀行口座を開設する方法で詳しく解説しています。実際に開設した流れはHSBC香港の口座開設の体験談にまとめています。

シンガポール:就労パスか、富裕層向けの資産が必要

シンガポールの銀行は、一般の口座を、シンガポールの就労パスなどを持つ人に限っているのが一般的です。

銀行 日本に住む人の開設
UOB 外国人は支店で、パスポートの原本、住所の証明、就労パス(EP・Sパス)や家族パスが必要。理由を示さずに断ることがある
OCBC 外国人のオンライン開設は香港・マレーシア・インドネシア・中国本土の電子パスポートのみ。日本は対象外
DBS(Treasures) シンガポールで新規に開設するには、35万シンガポールドル(約4,321万円)以上の投資可能資産が必要。非居住者も遠隔で開設可
シティバンク(Citigold International) 20万ドル(約3,159万円)以上の投資可能資産。下回ると月50ドル(約7,898円)。居住国によっては受け付けないため、日本在住で申し込めるかは事前に確認が必要

つまり、日本に住んだままシンガポールに口座を持つには、数千万円単位の資産を預ける富裕層向けのサービスを使うことになります。シンガポールへの移住や永住権を考えている場合は、シンガポール移住と永住権の条件をご覧ください。

アメリカ・タイなど:現地の住所や長期ビザが前提

アメリカの銀行は、原則として米国の住所と社会保障番号(SSN)を求めます。米国に赴任する予定の人向けのプログラムや、ハワイの銀行の店頭での開設などの例外はありますが、日本に住んだまま一般的に作れる口座ではありません。

タイでは、2025年5月からバンコク銀行が、長期ビザ、タイ人との婚姻、タイの不動産の所有などを口座開設の条件にしました。観光ビザやDTV(長期滞在の観光・リモートワークのビザ)での開設は断られています。タイへの移住を考えている人はタイ移住の条件と費用を参考にしてください。

このほか、ブログやSNSで「簡単に作れる」と紹介される国の口座もありますが、制度や銀行の方針は頻繁に変わります。開設できたとしても、維持や送金、相続の手続きで困ることがあるため、使い道がはっきりしない口座は作らないほうが安全です。

銀行以外の選択肢:WiseとRevolut

「海外の銀行口座」ではなく、外貨を持って海外に送金したいだけなら、日本の住所で使える送金サービスがあります。

サービス 日本での登録 できること 注意点
Wise 資金移動業者(関東財務局) 40以上の通貨を保有でき、米ドル・ユーロ・香港ドル・シンガポールドルなど21通貨の受取用の口座情報を持てる。デビットカードあり 残高は合計100万円が上限(申請で2,000万円まで)。利息はつかない。銀行ではない
Revolut 資金移動業者・電子決済等代行業者・銀行代理業者 35以上の通貨を保有。円の預金はみんなの銀行が所属銀行 外貨の現地の口座番号は原則なし(SWIFTでの受取は可)。海外送金にマイナンバーが必要

どちらも銀行ではないため、サービス内の残高は預金保険の対象ではなく、利息もつきません。ただし、Revolutを通じて預ける円預金は、みんなの銀行の預金として扱われます。海外の銀行口座の代わりというより、外貨の受け取りや海外での支払いに便利な道具と考えてください。

税金と報告:CRS・国外送金等調書・国外財産調書

海外口座を持つと、日本の税務署に知られずに済むことはありません。主な仕組みは次の3つです。

仕組み 内容
CRS(共通報告基準) 海外の金融機関が、日本に住む人の口座情報(残高・利子など)を現地の税務当局に報告し、国税庁に届く。日本は2018年から交換を開始
国外送金等調書 日本の銀行が、100万円を超える海外送金・海外からの入金を税務署に報告する
国外財産調書 12月31日時点で海外の財産が合計5,000万円を超える居住者は、翌年6月30日までに税務署に提出する

国税庁は、2024年7月〜2025年6月にCRSで101の国・地域から日本の居住者の口座情報を約274.5万件受け取りました。個人の口座は約272万件、残高は約9.6兆円です。

海外の銀行の預金利息は、日本の預金のように源泉分離課税(20.315%)にはならず、利子所得として他の所得と合わせて確定申告します。外貨の利息は、受け取った日の仲値で円に換算します。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら確定申告が不要になる場合もありますが、住民税の申告は別に必要です。海外で源泉徴収された税は、外国税額控除の対象になることがあります。申告の方法は税理士に確認してください。

海外移住で日本の非居住者になる場合の税金と手続きは、海外移住の税金と住民票で解説しています。

開設後の注意点:休眠・相続・代行業者の詐欺

使わない口座は休眠になる

HSBC香港のよくある質問では、普通預金・当座預金は24か月、定期預金は12か月取引がないと休眠扱いになります。休眠になると、再開に本人確認や支店への来店が必要になることがあります。日本に住んでいると気づかないうちに休眠になりやすいため、年に1回は少額でも取引をしておくと安心です。

相続の手続きが重い

口座の名義人が亡くなった場合、香港の銀行は、香港の高等法院が出す遺産管理の許可(Grant of Representation)がないと、相続人に預金を払い戻しません。香港での遺産が5万香港ドル(約100.7万円)以下なら簡易な手続きもありますが、日本の相続手続きとは別に、香港の手続きが必要になります。共同名義の口座は、残った名義人に引き継がれます。家族に口座の存在を伝えておくことも大切です。

「海外口座の開設代行」に注意

金融庁は、日本に拠点のない海外の銀行の口座開設を、銀行ではない業者が手数料や開設資金を受け取って代行するのは「詐欺である可能性が極めて高い」と注意を呼びかけています(2015年の注意喚起)。日本国内で海外の銀行の口座開設を取り次げるのは、認可を受けた外国銀行代理銀行だけです。業者の登録は金融庁のサイトで確認できます。

よくある質問

日本に住んだまま海外口座を作れますか?

作れる国は限られます。香港は、本人が支店に行けば開設できる場合があります。シンガポールは就労パスなどがないと一般の口座は難しく、富裕層向けの口座なら数千万円以上の資産が必要です。アメリカは原則として米国の住所と社会保障番号が必要です。

海外口座はオンラインだけで作れますか?

香港の大手銀行では、日本のパスポートでのオンライン開設は対象外で、支店での申請が必要です。DBSの富裕層向けサービスのように遠隔で開設できるものもありますが、高額の資産が条件です。WiseやRevolutはオンラインで登録できますが、銀行ではありません。

海外口座を作ると税務署に知られますか?

知られます。CRSにより、海外の金融機関から日本に住む人の口座情報が国税庁に届きます。日本の銀行からの100万円を超える海外送金も、税務署に報告されます。

海外口座の利息に税金はかかりますか?

かかります。海外の銀行の預金利息は、日本で利子所得として原則確定申告が必要です。日本の預金のように源泉徴収で課税が終わるわけではありません。

海外口座を作るならどこがおすすめですか?

目的によって変わります。資産の一部を外貨で持ちたいだけなら、まず日本の銀行の外貨預金や、Wiseなどの送金サービスで足りないかを考えてください。香港での事業や移住の予定があり、現地に行ける人なら香港の銀行が候補になります。

まとめ

  • 日本に住んだまま作れる海外口座は限られる。現実的な候補は香港で、本人が支店に行く必要がある
  • HSBC香港は2026年1月以降の開設分から、香港IDのない人の総残高が1万香港ドル未満だと月100香港ドルの手数料がかかる
  • シンガポールは就労パスか数千万円以上の資産、アメリカは米国の住所と社会保障番号が必要
  • 外貨を持ちたいだけなら、WiseやRevolutも選択肢(銀行ではない)
  • 海外口座の情報はCRSで国税庁に届く。利息は原則として確定申告、海外の財産が5,000万円を超えたら国外財産調書を出す
  • 休眠と相続の手続き、口座開設代行の詐欺に注意する

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関連記事:香港で銀行口座を開設する方法/HSBC香港の口座開設の体験談/海外移住の税金と住民票

参考(一次情報・出典)

本記事の金額・制度は2026年10月9日時点の情報です。円換算は1香港ドル=20.13円、1シンガポールドル=123.45円、1ドル=157.95円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)。

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