海外移住したら日本の銀行口座はどうなる?【2026年】銀行・証券口座・NISA・クレジットカードの手続き

海外移住で住民票を抜き、日本の「非居住者」になると、日本の銀行口座や証券口座はそのまま使えるとは限りません。楽天銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行などのネット銀行は、非居住者になると原則として解約が必要です。三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行などは口座を残せますが、海外からネットバンキングを使うためのサービスは、主に海外赴任や留学など帰国予定のある人向けで、出国前の申込みが必要です。帰国予定のない移住では使えない場合があります。証券口座は、海外に住む間は売買ができないか、解約が必要になるのが一般的で、NISAを残せるのは、勤務先の命令による海外転勤(と同行する配偶者)で、届出から約5年の期限つきです。自分の意思での移住や留学では、NISAの口座は出国時に廃止されます。本記事では、主な銀行・証券会社の扱いと、出国前にやるべき手続きを整理します。

※本記事は2026年10月9日時点の各金融機関の公式サイトの公表情報にもとづく一般的な解説です。取扱いは金融機関ごとに異なり、変更されることがあります。手続きの前に、口座のある金融機関に必ず確認してください。

目次

  1. 結論:主な銀行の非居住者になったときの扱い
  2. 住民票を抜くと「非居住者」になり、届出が必要になる
  3. 銀行ごとの扱い:口座を残せる銀行と解約が必要な銀行
  4. 証券口座・NISA・iDeCo:海外転勤以外はNISAを残せない
  5. 利息の税金:非居住者の預金の利息は15.315%の源泉徴収のみ
  6. クレジットカード・マイナンバーカード・二段階認証
  7. 出国前にやることチェックリスト
  8. よくある質問
  9. まとめ

結論:主な銀行の非居住者になったときの扱い

銀行 非居住者になった後 海外からの利用
三菱UFJ銀行 口座は残せる 帰国予定のある人(海外赴任・留学など)は出国前に「グローバルダイレクト」(月300円)を申し込む
三井住友銀行 口座は残せる 海外勤務者・留学生は出国の3週間前までに「SMBCダイレクト・グローバルサービス」を申し込む
みずほ銀行 支店で非居住者の届出をして残せる みずほダイレクトは海外から使えない場合がある。海外勤務者向けの国内送金サービスあり
りそな銀行 非居住者向けの円預金で残せる キャッシュカードは使えない。入出金は口座のある支店で、国内の振込も外国送金の扱い
ゆうちょ銀行 可能な限り解約を求められる 必要な場合は届出のうえ、代理人などが取引
ソニー銀行 国外への住所変更の届出で残せる 国内の連絡先の登録が必要。投資信託の売買や外貨送金などは制限
楽天銀行 非居住者は利用できない(解約) —
住信SBIネット銀行 1年以上海外に住む場合は解約 —
PayPay銀行 国内に住所がないと口座を持てない(解約) —
SBI新生銀行 住民票を海外に移すと原則解約 満期前の商品がある場合などは手続きのうえ残せる

日本の年金の受け取りや、日本に残す家族とのお金のやりとりに使う口座は、出国前に「残せる銀行」で用意し、海外から使える方法を確認しておくのが基本です。帰国予定のない移住の場合は、メガバンクの海外向けサービスの対象になるかを、出国前に銀行に確認してください。

住民票を抜くと「非居住者」になり、届出が必要になる

1年以上海外に住む予定で出国すると、税法の上では原則として「非居住者」になります(外為法では、海外の事務所で働くために出国した人や、2年以上海外に滞在する予定で出国した人などが非居住者になり、基準が異なります)。金融機関の実務では、海外への転勤や留学の期間が1年以上(または期間が決まっていない)場合を非居住者として扱うところが多くあります。

非居住者になったら、口座のある金融機関に届け出る必要があります。主な届出は次の2つです。

  • 金融機関所定の届出:住所変更、非居住者になった旨の届出、国内の連絡先の登録など。ネット銀行では解約の手続きになります
  • CRS(共通報告基準)の届出:税務上の居住国が変わったときは、変わった日から3か月以内に金融機関に「異動届出書」を出す必要があります(三菱UFJ銀行の案内)

非居住者になったことを届け出ずに口座を使い続けると、金融機関が後から事情を知った時点で取引を制限されることがあります。住民票の手続きや税金の全体像は海外移住の税金と住民票で解説しています。

銀行ごとの扱い:口座を残せる銀行と解約が必要な銀行

メガバンク:残せるが、海外から使うには申込みが必要

  • 三菱UFJ銀行:海外から口座を使うには「グローバルダイレクト」(月300円)を使います。海外赴任・留学など帰国予定のある人とその家族が対象で、出国の10〜15営業日前までに支店で申し込みます。出国後は申し込めません。投資信託の取引などは海外ではできず、投資信託の口座は原則として出国前に解約します
  • 三井住友銀行:通常のSMBCダイレクトは長期の海外滞在中は使えません。海外勤務者・留学生向けの「SMBCダイレクト・グローバルサービス」を、出国の3週間前までに申し込みます。残高照会、国内の振込、海外の本人口座への送金などができます。対象は海外勤務者・留学生などで、帰国予定のない移住で使えるかは銀行に確認が必要です
  • みずほ銀行:日本に生活の拠点がなくなる場合は、予約のうえ支店で届出とCRSの書類を出します。キャッシュカードやネットバンキング(みずほダイレクト)が使えなくなる場合があります。日本に住んでいる間にネットバンキングの契約をして使っていた海外勤務者は、海外勤務者であることを届け出れば、「海外勤務者向け日本国内送金サービス」(円のみ、1日500万円まで、他行あては1件100円)を使えます

りそな銀行・ゆうちょ銀行:残せても使い方が大きく制限される

  • りそな銀行:非居住者は「非居住者円預金」に切り替わり、入出金は口座のある支店のみ、キャッシュカード・総合口座・カードローンは使えません。口座振替は公共料金・国民年金・iDeCoなどを除き原則できず、国内の振込も外国送金として手数料がかかります
  • ゆうちょ銀行:海外に通知を送れないため、可能な限り解約を求めています。給与の受取りなどで必要な場合は「非居住者の届け」を出して残し、取引は第三者への委任などで行います

ネット銀行:多くは解約が必要

  • 楽天銀行:口座規定で「非居住者は楽天銀行口座をご利用できません」とされ、非居住者になる前に届け出て解約します
  • 住信SBIネット銀行:日本に住む人向けの口座で、1年以上海外に住んで非居住者になる場合は解約が必要です
  • PayPay銀行:現住所が日本国内でない場合は、日本人でも普通預金口座を持てません
  • SBI新生銀行:住民票を海外に移すと原則解約です。満期前の商品がある場合などは、国内の代理人の住所を登録する手続きで残せます
  • ソニー銀行:既存の日本人の顧客は、国外への住所変更の届出と国内の連絡先の登録で口座を残せます。外貨預金や、デビットカードでの海外ATMでの引出しは使えますが、投資信託の売買、FX、外貨の海外送金などは制限されます

証券口座・NISA・iDeCo:海外転勤以外はNISAを残せない

証券口座

証券会社は、非居住者の取引を大きく制限しています。

証券会社 非居住者になった後
SBI証券 原則として取引不可。売却はコールセンター経由。帰国予定がないか6年以上の場合は解約
楽天証券 保有商品の預かりのみ。買付も売却もできず、積立は解約
マネックス証券 原則解約。売却できない商品がある場合のみ、出金だけできる口座として残せる
野村證券 NISAは転任命令などの場合に継続適用届出書で残せる(出国日の前営業日までに手続き)
三菱UFJeスマート証券 海外にいる間は取引を制限。海外の住所は登録できない

NISA

NISAを海外に住みながら残せるのは、勤務先からの転任命令など「やむを得ない事由」で出国する人(と同行する配偶者)に限られます。出国の前日まで(証券会社によっては前営業日まで)に「継続適用届出書」を出すと、提出日から5年を経過する日の属する年の年末まで、NISAの口座と保有商品を残せます。ただし、海外にいる間は新しく買うことはできません。

自分の意思での海外移住や留学は対象外で、「出国届出書」を出してNISAの口座は廃止されます。保有している商品は課税口座(一般口座)に移るため、出国前に売却するか、そのまま持つかを決めておく必要があります。

iDeCo

海外に住む人も、日本の国民年金に任意加入すれば、iDeCoに加入して掛金を出し続けられます(2022年5月から)。任意加入しない場合は、掛金を出せなくなり、運用の指図だけを続ける「運用指図者」になります。

利息の税金:非居住者の預金の利息は15.315%の源泉徴収のみ

非居住者が受け取る日本の預金の利息には、15.315%の所得税(復興特別所得税を含む)が源泉徴収されます。住民税の利子割(5%)はかかりません。移住先の国と日本の租税条約で軽減税率が定められている場合は、支払いの前日までに支払者を通じて「租税条約に関する届出書」を出すと条約の税率が使えます(金融機関によっては取り扱わない場合があります)。株式の配当などは、証券会社によって源泉徴収の扱いが異なるため、出国前に確認してください。

日本の不動産を貸しているなど、非居住者になった後も日本で確定申告が必要な人は、出国前に「納税管理人」を決めて税務署に届け出ます。

移住先の国でも、日本の口座の利息や配当が課税されることがあります。国ごとの扱いは移住先の税理士に確認してください。

クレジットカード・マイナンバーカード・二段階認証

クレジットカード

日本のクレジットカードは、住民票を日本に残していればそのまま使えることが多い一方、海外転出届を出すと使えなくなる可能性があります(JCBの案内)。三井住友カードは、海外に住む会員向けに、更新カードや明細を海外に転送する有料の「海外生活ヘルプデスク」(年4,950〜8,250円)を用意しています。いずれの場合も、日本国内の連絡先(家族の住所など)の登録を求められることが多く、引落し口座を解約するとカードも使えなくなります。

マイナンバーカード

2024年5月27日から、海外に転出してもマイナンバーカードを使い続けられるようになりました。転出届を出すときに、出国の前日までに継続利用の手続きをしないと、カードは失効します。署名用電子証明書は転出で失効するため、継続利用の手続きの際に改めて発行を受ける必要があります。

二段階認証とスマートフォン

日本の銀行のネットバンキングは、日本の携帯電話番号へのSMSや、日本でしか使えないアプリで本人確認をすることがあります。ソニー銀行の「Sony Bank CONNECT」は海外では使えず、みずほダイレクトも海外から使えない場合があります。三菱UFJ銀行は、海外の住所にワンタイムパスワードのカードを郵送しています。出国前に、海外からどの方法でログインできるかを確認してください。

出国前にやることチェックリスト

時期 やること
出国の1〜2か月前 口座を残す銀行を決め、ネット銀行など解約が必要な口座の残高を移す
出国の3週間前まで 三井住友銀行のグローバルサービス(出国の3週間前まで)、三菱UFJ銀行のグローバルダイレクト(10〜15営業日前まで)などに申し込む
証券会社が定める期限まで(マネックス証券は出国の11営業日前まで) 証券会社に非居住者になることを届け出る。NISAの継続(転勤の場合)か廃止かを決める。保有商品を売るか決める
出国の前日まで NISAの継続適用届出書または出国届出書を出す。マイナンバーカードの継続利用を手続きする
出国前 公共料金・税金・クレジットカードの引落し口座を整理する。日本国内の連絡先と納税管理人を決める
出国後3か月以内 CRSの異動届出書を、口座のある金融機関に出す

海外で使う口座を新しく作る場合は、海外口座の作り方をご覧ください。

よくある質問

海外移住しても日本の銀行口座はそのまま使えますか?

銀行によって違います。三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行などは口座を残せますが、海外向けのネットバンキングは主に帰国予定のある海外赴任・留学の人向けで、出国前の申込みが必要です。楽天銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行などのネット銀行は、非居住者になると原則として解約が必要です。

黙って口座を使い続けるとどうなりますか?

金融機関の規定で非居住者になったことを届け出る義務があり、届け出ないまま使い続けると、後から取引を制限されることがあります。税務上の居住国が変わったときは、CRSの異動届出書を3か月以内に出す必要もあります。

海外移住したらNISAはどうなりますか?

勤務先の転任命令などで出国する人(と同行する配偶者)だけが、継続適用届出書を出して、提出日から5年を経過する日の属する年の年末までNISAを残せます。その間も新しい買付はできません。自分の意思での移住や留学では、NISAの口座は廃止されます。

日本の年金はどの口座で受け取ればよいですか?

日本の年金は、日本の口座でも海外の口座でも受け取れます。日本の口座で受け取る場合は、非居住者になっても残せる銀行を選んでください。年金の受け取りと税金の扱いは年金で海外移住はできる?で解説しています。

ソニー銀行やSMBC信託銀行(プレスティア)は海外移住者に向いていますか?

ソニー銀行は、既存の日本人の顧客が海外転勤や留学で海外に住む場合、国外への住所変更の届出で口座を残せることを公式に案内しています。SMBC信託銀行(プレスティア)など、ほかの銀行の非居住者の取扱いや手数料は、事前に各銀行に確認してください。

まとめ

  • 住民票を抜いて非居住者になると、金融機関への届出が必要。CRSの異動届出書は3か月以内
  • メガバンクは口座を残せるが、海外向けのネットバンキングは主に帰国予定のある人向けで、出国前の申込みが必要。ネット銀行の多くは解約
  • 証券口座は海外にいる間ほぼ取引できない。NISAを残せるのは勤務先の転勤(と同行する配偶者)で、届出から約5年の期限つき
  • 非居住者の預金の利息は15.315%の源泉徴収のみで、住民税の利子割はかからない
  • 出国前に、残す口座・解約する口座・NISA・マイナンバーカード・引落し口座・国内の連絡先を整理する

当事務所では、海外移住の準備として、移住先のビザ・永住権の比較相談と、ビザの申請に必要な日本の書類(戸籍謄本・残高証明書・警察証明書など)の翻訳・アポスティーユ取得に対応しています。移住の手続きの順番を整理したい方は、無料相談をご利用ください。しつこい営業は一切いたしません。

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参考(一次情報・出典)

本記事の内容は2026年10月9日時点の各金融機関の公表情報にもとづいています。

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