バヌアツ移住の治安・物価・税金・ビザ【2026年】住む前に知っておきたい条件と注意点

バヌアツは南太平洋の島国で、所得税・相続税・キャピタルゲイン税がないことや、日本人が観光で最長120日滞在できることから、移住先として名前が挙がります。一方で、首都ポートビラでは空き巣やひったくりが増えていると外務省が注意を呼びかけており、2024年12月にはポートビラ近くでマグニチュード7.3の地震が起きて少なくとも14人が亡くなりました。医療の水準も高くなく、重い病気やけがでは国外への搬送が必要になります。日本からの直行便はなく、バヌアツに住む日本人は84人(2025年10月1日時点)です。本記事では、治安・災害・物価・税金・住むためのビザを、外務省やバヌアツ政府の公表情報をもとに整理します。

※制度と数字は2026年10月9日時点の公表情報です。円換算は1バツ=約1.35円(バヌアツ準備銀行が公表した2026年8月10日の相場、1円=0.7410バツから計算)の目安です。

バヌアツの全体像と記事一覧はバヌアツ市民権の費用と取得期間にまとめています。

目次

  1. 結論:バヌアツ移住のメリットと注意点
  2. バヌアツの基本:人口約30万人、首都はポートビラ
  3. 治安:ポートビラでは空き巣・ひったくりが増加
  4. 自然災害:地震・サイクロン・火山
  5. 物価と生活費:電気代は1kWhあたり約82円
  6. 税金:所得税・相続税はないが、日本の税金は残る
  7. ビザ:観光は120日まで、住むには居住ビザが必要
  8. 医療と交通:重い病気は国外へ搬送、日本からの直行便はない
  9. よくある質問
  10. まとめ

結論:バヌアツ移住のメリットと注意点

項目 内容
税金 個人の所得税・法人税(一部の不動産取引を除く)・キャピタルゲイン税・相続税・源泉税はない。付加価値税(VAT)は15%
観光での滞在 日本人はビザなしで入国でき、滞在は最長120日(延長不可・就労不可)
住むためのビザ 12か月を超えて住むには居住ビザが必要。自己資金で暮らす人向けの区分は、月250,000バツ(約33.7万円)以上の収入の証明が条件
治安 ポートビラ周辺で空き巣・ひったくり・性犯罪が増加傾向(外務省)。夜の一人歩きは避ける
自然災害 2024年12月17日にマグニチュード7.3の地震。サイクロンの季節は11月〜4月
医療 先進国より水準が低く、重い病気やけがは国外へ搬送。搬送費用を含む保険が必要
交通 日本からの直行便はない。フィジー(ナンディ)やオーストラリア(ブリスベン・シドニー)経由
日本人 84人(2025年10月1日時点、全員が長期滞在者で永住者は0人)

税金の少なさは大きな魅力ですが、日本に住民票や収入・財産が残る場合は日本の税金の対象になること、治安と災害、医療に備える必要があることを踏まえると、バヌアツは「暮らしの便利さより、税制や国籍・在留の選択肢を重視する人」向けの移住先です。

バヌアツの基本:人口約30万人、首都はポートビラ

バヌアツ共和国は、オーストラリアの東、フィジーの西にある83の島からなる国です。面積は12,190平方キロメートルで新潟県とほぼ同じ、人口は300,019人(2020年の国勢調査。世界銀行の2024年の推計では327,777人)です。首都はエファテ島のポートビラで、公用語はビスラマ語・英語・フランス語、通貨はバツ(VT)です。主な産業は農業と観光です。

外務省の統計では、バヌアツに住む日本人は84人で、前年より4.5%減りました(2025年10月1日時点)。全員が長期滞在者で、永住者は0人です。日本人のコミュニティは小さく、日本語が通じる病院や日本食の店に頼れる環境ではありません。

治安:ポートビラでは空き巣・ひったくりが増加

外務省の「安全対策基礎データ」(2026年2月9日更新)によると、ポートビラとその周辺では、空き巣、ひったくり、性的暴行が増加傾向にあります。外国人の住宅やホテル、商店を狙った侵入窃盗や強盗も起きています。夜の一人歩きは避けるよう呼びかけています。

このほか、次のような注意点が挙げられています。

  • 独立記念日(7月30日)やクリスマスの前後に、若者の集団どうしのけんかが起きることがある
  • ナイトクラブの周辺では、飲酒がからむ暴行が起きている
  • ナイトクラブや、カバを飲む店(ナカマル)で大麻が売られていることがある

在バヌアツ日本大使館の「安全の手引き」(2024年2月)も、若者による住居侵入や性犯罪が増えつつあり、犯罪の多くはポートビラやサント島、マレクラ島などで起きているとしています。オーストラリア政府の渡航情報(Smartraveller)は、最も低い「通常の安全対策をとる」としつつ、週末や祝日の前に強盗や暴行が起きやすいこと、飲み物に薬物を入れられる被害に注意することを挙げています。

日本の外務省はバヌアツに危険情報を出していません(2026年10月9日確認)が、住む場合は、警備のある住宅を選ぶ、夜は車で移動するなど、日本より一段高い防犯の意識が必要です。3か月以上住む場合は、在バヌアツ日本大使館に在留届を出してください。

自然災害:地震・サイクロン・火山

バヌアツは自然災害の多い国です。移住を考えるなら、治安以上に重視すべき点です。

災害 主な事例・注意点
地震 2024年12月17日、ポートビラの西約30km(外務省)を震源とするマグニチュード7.3の地震(世界保健機関。外務省は7.4)。少なくとも14人が死亡し、2,000人以上が避難(世界保健機関)。中央病院の検査室も被害を受けた
サイクロン 季節は11月〜4月。2015年3月のサイクロン・パムでは、ポートビラの建物の90%が被害を受けた。2023年のサイクロン・ケビンとジュディでは国民の8割が影響を受けた(外務省)
火山 タンナ島のヤスール火山では、1995年の噴火で日本人観光客と現地ガイドが亡くなった(外務省)。バヌアツ気象・地質災害局の公式サイトでは、ヤスール火山の警戒レベルは2(0〜5の6段階)と表示されている(2026年10月9日確認)
津波 近くで地震が起きると、数分で津波が来ることがある(Smartraveller)

2024年の地震の後、ポートビラでは一部のホテルや店が仮の場所で営業を続けており、ANZ銀行のポートビラ支店も一時閉鎖のまま、仮の窓口で営業しています(2026年10月9日確認)。住まいを選ぶときは、建物の耐震性と、高台への避難経路を確認してください。

物価と生活費:電気代は1kWhあたり約82円

バヌアツ統計局によると、2026年4〜6月期の消費者物価は前年同期比1.2%の上昇で、物価の上昇率そのものは落ち着いています。ただし、食料品や日用品の多くを輸入に頼る島国のため、日本の食品や家電は割高になりがちです。

電気代は、公益事業規制局(URA)が承認したポートビラの2026年1月の調整後の料金が、1kWhあたり60.49バツ(約82円)です。料金は毎月見直されます。

ポートビラの家賃について、政府が公表する統計はありません。外国人向けの住宅は数が限られ、防犯や耐震を重視すると選択肢がさらに絞られるため、現地で物件を見てから決めるのが現実的です。入国管理局の観光ビザの案内では、滞在費として1か月あたり60,000バツ(約8.1万円)の資金の証明が挙げられています。

税金:所得税・相続税はないが、日本の税金は残る

バヌアツ投資促進庁によると、バヌアツには次の税金がありません。

  • 個人の所得税
  • 法人税(一部の不動産取引を除く)
  • キャピタルゲイン税
  • 相続税(死亡にかかる税)
  • 源泉税

一方で、付加価値税(VAT)が15%かかります(年間の課税売上が400万バツ(約540万円)を超える事業者は登録が必要)。また、6か月で200,000バツ(約27万円)を超える家賃収入には15%の税がかかり、輸入品には関税、不動産の取引などには印紙税がかかります。

注意したい点が3つあります。

  1. 制度が変わる可能性:現地紙のVanuatu Daily Post(2025年8月27日)は、政府が所得税の導入を検討し、意見を聞く場を開いたと報じました。2026年10月9日時点で、導入が決まったという公表は確認できていませんが、今後の動きに注意が必要です
  2. EUの非協力的な国・地域のリスト:EU理事会は2026年2月17日、バヌアツを「税に関する非協力的な国・地域」のリストに載せたままにしました。実体のない海外の会社の仕組みを助けているという理由です。バヌアツの会社や口座を使う取引では、相手の国の金融機関の確認が厳しくなることがあります
  3. 日本の税金は残る:日本の住民票を抜いて非居住者になっても、日本の不動産の家賃など日本で生じた所得は日本で課税されます。また、日本の相続税は、相続人が日本国籍を持ち、亡くなった人か相続人が過去10年以内に日本に住所があった場合などは、海外の財産にもかかります

日本を出るときの税金と住民票の手続きは海外移住の税金と住民票、日本の銀行口座や証券口座の扱いは海外移住したら日本の銀行口座はどうなる?で解説しています。

ビザ:観光は120日まで、住むには居住ビザが必要

観光での滞在

日本人はビザの免除国で、入国時に観光の滞在許可を受けられます。滞在は最長120日で延長はできず、働くことも事業をすることもできません。残りの有効期間が6か月以上のパスポートと、出国の航空券が必要です(バヌアツ入国管理局・外務省)。

住むための居住ビザ

12か月を超えて住む場合は、居住ビザ(Residence Visa)が必要です。120日を超えて12か月以内の滞在も観光の許可では認められないため、入国管理局に確認してください。バヌアツ入国管理局は、次のような区分を案内しています(2026年10月9日確認)。

区分 主な条件
配偶者・子ども バヌアツ国民の配偶者(事実婚を含む)、または扶養されている子ども
被用者 12か月以上の雇用
自己資金で暮らす人(Self-funded Resident) 月250,000バツ(約33.7万円)以上の収入の証明(配偶者と一緒なら月500,000バツ(約67.5万円))。扶養家族は加えられない
外国人投資家 バヌアツ投資促進庁の承認証明書と、必要に応じて事業許可
借地権の保有者 1,000万バツ(約1,350万円)以上の借地権の不動産と、月250,000バツ以上の収入

居住ビザの期間は1年・3年・5年・10年などです。「退職者ビザ」という名前の区分はなく、年金や資産で暮らす人は「自己資金で暮らす人」の区分が近い位置づけです。条件や必要書類は変わることがあるため、申請前に入国管理局の最新の案内を確認してください。

永住権と市民権

バヌアツには永住権(Permanent Residency)の制度もあり、日本国籍のまま長く住む権利を持てます。詳しくはバヌアツ永住権とはをご覧ください。入国管理局は、12か月以上住んでいる人などが対象の区分と、投資家向けの区分を案内しています。詳しい条件は変わることがあるため、申請の前に最新の案内を確認してください。

政府への寄付で国籍を取る市民権の制度もありますが、日本人が取得すると日本国籍を失います。費用や流れはバヌアツ市民権の費用と取得期間で解説しています。

医療と交通:重い病気は国外へ搬送、日本からの直行便はない

医療

外務省は、バヌアツの医療水準は先進国に比べて低く、重い病気やけがでは国外への搬送が必要になるとして、緊急移送の費用を含む海外旅行保険への加入を勧めています。Smartravellerも、医療機関は限られ、治療の前に現金での支払いを求められることが多いとしています。

マラリアとデング熱にも注意が必要です。2026年6月には、エファテ島南部でデング熱の流行が宣言されました(Smartraveller)。水道水は、外務省は煮沸するか、ボトルの水を飲むよう勧めています。

持病がある人や、高齢で移住を考える人は、通院できる医療機関と、オーストラリアやニュージーランドへの搬送の手段を事前に確認しておく必要があります。

交通

日本からバヌアツへの直行便はありません。成田からはフィジー航空でナンディ(フィジー)へ行き、ナンディ〜ポートビラ便(毎日運航)に乗り継ぐのが代表的なルートです。成田〜ナンディ便は週数便のため、日程に注意してください。このほか、ブリスベン(カンタス航空・ヴァージン・オーストラリア航空)、シドニー(ジェットスター)、オークランド、ヌメア経由の便があります(バヌアツ観光局。運航スケジュールは変わります)。

国営のエア・バヌアツは、2024年5月に国際線を止めて清算の手続きに入り、2026年8月時点では国内線のみを運航しています。島と島の間の移動は飛行機と船に頼るため、天候や機材の都合で予定どおりに動けないことがあります。

よくある質問

日本人はバヌアツに住めますか?

住めます。観光の滞在は最長120日までのため、それを超えて住む場合は居住ビザを取ります。年金や資産で暮らす人は、月250,000バツ(約33.7万円)以上の収入を示す「自己資金で暮らす人」の区分が近い選択肢です。日本国籍のまま長く住む権利がほしい場合は永住権も選択肢になります。

バヌアツの治安は悪いですか?

日本の外務省は危険情報を出していませんが、ポートビラ周辺では空き巣・ひったくり・性的暴行が増加傾向にあるとしています(2026年2月9日更新の安全対策基礎データ)。夜の一人歩きを避け、防犯設備のある住宅を選ぶなどの対策が必要です。

バヌアツに住めば税金はかかりませんか?

バヌアツには個人の所得税や相続税はありませんが、付加価値税(15%)などはかかります。また、日本で生じた所得や、日本の相続税は、バヌアツに住んでいても日本で課税されることがあります。所得税の導入を検討しているとの報道もあるため、制度の変更に注意してください。

バヌアツの生活費は高いですか?

物価の上昇率は前年比1.2%(2026年4〜6月期)と落ち着いていますが、輸入品が多く、日本の食品や家電は割高です。電気代は1kWhあたり60.49バツ(約82円、2026年1月)です。家賃の公式な統計はないため、現地で確認する必要があります。

バヌアツの永住権と市民権はどう違いますか?

永住権は日本国籍のままバヌアツに住む権利で、市民権はバヌアツの国籍そのものです。日本人がバヌアツの市民権を取ると、日本の国籍法により日本国籍を失います。

まとめ

  • バヌアツには個人の所得税・相続税・キャピタルゲイン税がない。VATは15%。所得税の導入の検討が報じられており、EUの非協力的な国・地域のリストにも載っている
  • 日本人は観光で最長120日滞在でき、住むには居住ビザが必要。自己資金で暮らす人の区分は月250,000バツ以上の収入が条件
  • ポートビラでは空き巣・ひったくり・性的暴行が増加傾向。地震・サイクロン・火山などの自然災害も多い
  • 医療の水準は高くなく、国外への搬送の費用を含む保険が必要。日本からの直行便はない
  • 日本国籍のまま住むなら居住ビザか永住権、国籍を変えるなら市民権。日本の税金の扱いも出国前に確認する

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参考(一次情報・出典)

本記事の金額・制度は2026年10月9日時点の情報です。円換算は1バツ=約1.35円(バヌアツ準備銀行、2026年8月10日の相場から計算)の目安です。

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