タイ移住で後悔・悲惨になる理由とデメリット【2026年】円安・年金の税金・医療保険・大気汚染

タイ移住で「こんなはずではなかった」となる理由は、円安で生活費が上がったこと、日本の年金に日本とタイの両方で税金がかかり得ること、年齢が上がると医療保険に入りにくいことの3つに集まります。バーツは5年前と比べて円で約4割高くなり、2024年からはタイに住む人が2024年以降に得た国外の所得をタイへ送金すると課税されるようになりました。日タイの租税条約には一般の年金についての条項がないため、日本の公的年金は日本で源泉徴収され、届出で免除を受けることもできません。このほか、チェンマイの乾季の大気汚染、人口あたりで日本の約10倍にあたる交通事故の死者、毎年のビザ延長と90日ごとの届出も、暮らし始めてから負担に感じやすい点です。一方で、タイには7万人を超える日本人が住み、日本語の通じる病院や日本食に困らない環境があります。デメリットを数字で把握し、資金・保険・住む場所を先に決めておけば、後悔はかなり防げます。

※金額と制度は2026年10月9日時点の公表情報です。円換算は1バーツ=4.70円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)で計算しています。税務の判断は、移住前に税理士へ確認してください。

タイ移住の全体像と記事一覧はタイ移住の条件と費用にまとめています。

目次

  1. 結論:タイ移住で後悔しやすい理由とデメリット一覧
  2. 円安:バーツは5年で円に対して約4割高くなった
  3. 年金と税金:日本で源泉徴収され、タイへの送金にも課税される
  4. 医療保険:年齢が上がるほど入りにくく、保険料が高い
  5. ビザの手続き:毎年の延長と90日レポート、ビザ免除は30日に
  6. 大気汚染と交通事故:チェンマイの乾季とバイクの事故
  7. 詐欺・トラブル:日本人が狙われる手口と、持ち込めないもの
  8. 不動産と永住権:土地は持てず、永住権は1国籍100人まで
  9. よくある質問
  10. まとめ

結論:タイ移住で後悔しやすい理由とデメリット一覧

移住してから想定と違ったと感じやすい点を、数字と対策つきで一覧にします。

デメリット 数字で見る現状 事前にできる対策
円安で生活費が上がった 1バーツは2021年10月に約3.31円、2026年10月は約4.70円(約1.4倍) 生活費を円ではなくバーツで見積もり、為替が動いても払える余裕を持つ
年金に日本とタイで税金がかかり得る 日本で20.42%の源泉徴収。2024年以降に得た所得をタイへ送金すると、タイでも課税対象 送金の時期と金額を計画し、外国税額控除の使い方を税理士に確認する
医療保険に入りにくい 新規加入は60〜65歳前後までの保険会社が多い。75歳以上の保険料は年12万〜87万バーツ超の例も 加入できる年齢のうちに入る。持病の扱いを確認する
ビザの手続きが続く リタイアメントビザは毎年延長。90日ごとに住所の届出 手続きの時期を管理し、代行業者を使う場合は偽造に注意する
大気汚染 チェンマイは2026年3月30日に世界の大都市で大気汚染が最悪に 乾季(2〜4月)の過ごし方を決め、空気清浄機を用意する
交通事故 交通事故の死者は人口10万人あたり25.4人(2021年、WHO推計) バイクに乗らない。歩道や横断歩道でも車に注意する
不動産・永住権 外国人は土地を持てない。永住権は1国籍あたり年100人まで 賃貸を基本にし、「長く住めば永住権」と考えない

タイ移住で後悔するかどうかは、タイという国の良し悪しより、円安・税金・医療保険を予算と計画に入れていたかで決まります。ビザの種類と条件はタイ移住の条件と費用で比較しています。

円安:バーツは5年で円に対して約4割高くなった

「思ったより生活費がかかる」という後悔の大きな原因が円安です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの仲値で見ると、1バーツは2021年10月1日に約3.31円でしたが、2026年10月8日には約4.70円になりました。同じ1か月5万バーツの生活でも、円で見ると約16.6万円から約23.5万円に増えた計算です。

時点 1バーツの円相場(仲値) 月5万バーツを円にすると
2021年10月1日 約3.31円 約16.6万円
2026年10月8日 約4.70円 約23.5万円

日本の年金や円建ての資産で暮らす人は、為替が円安に動くと、何もしなくても生活費が上がります。「タイは物価が安い」という前提で、円の予算を固定して移住すると苦しくなります。生活費は家賃・食費などをバーツで積み上げ、円安がさらに進んでも払える余裕を持たせて計画してください。バンコクの生活費の目安はタイ移住の条件と費用の生活費の章にまとめています。

年金と税金:日本で源泉徴収され、タイへの送金にも課税される

タイの「送金課税」:2024年から国外の所得に課税

タイでは、1暦年に180日以上住むとタイの税務上の居住者になります。2024年1月1日からは、居住者が2024年以降に得た国外の所得をタイへ送金すると、送金した年がいつであっても課税されるようになりました(タイ歳入局の命令 Por.161/2566)。2023年までに得た所得は、送金しても課税されません(Por.162/2566)。ただし、実務上は2023年までの資金であることを、2023年12月31日時点の預金残高の記録などで示せるようにしておく必要があります。

税率は累進課税で、課税所得15万バーツまでは非課税、最高は500万バーツ超の35%です。2025年に「得た年か翌年に送金すれば非課税」とする緩和案が示されましたが、2026年10月時点で官報に公布されておらず、法律にはなっていません。

日本の年金は日本で源泉徴収、届出による免除はない

日本とタイの租税条約には、一般の年金についての条項がありません(公務員の年金を除く)。このため、日本年金機構は、タイを「租税条約があっても年金について適用にならない国」として扱っており、ほかの国のように届出(租税条約に関する届出書)で日本の所得税の免除を受けることができません。

日本の公的年金は、タイに住んで日本の非居住者になっても日本で源泉徴収されます。税率は20.42%で、年金の額から1か月あたり5万円(65歳以上は9万5,000円)を引いた残りにかかります(国税庁)。

段階 税金
日本 公的年金から20.42%を源泉徴収(月5万円、65歳以上は月9万5,000円を控除した残りに課税)。届出による免除はない
タイ タイの税務居住者が、2024年以降に受け取った年金をタイへ送金すると課税対象
二重課税の調整 日本で課された税をタイの税額から差し引ける場合がある(タイの税額が上限)

年金を受け取ったまま日本の口座に置いておけば、タイの課税は起きません。ただし、日本の口座からタイのATMで現金を引き出すと、タイへの持ち込みとして扱われます。一方で、生活費として毎月タイへ送金すると、その年金はタイでも申告の対象になります。送金の方法と外国税額控除の使い方は、移住前に税理士へ確認してください。出国前後の住民票や税金の手続きは海外移住の税金と住民票、国別の年金の扱いは年金で海外移住はできる?で解説しています。

医療保険:年齢が上がるほど入りにくく、保険料が高い

タイの私立病院は設備が整い、バンコクには日本語の通訳がいる病院もあります。ただし、費用は日本の公的医療保険の自己負担に比べて大きく、民間の医療保険が前提になります。

問題は、年齢が上がるほど保険に入りにくくなることです。現地紙 Pattaya Mail の2026年5月の報道では、タイの保険会社の多くは新規の加入を60〜65歳前後までに限っており、75歳まで受け付ける会社は一部です。保険料の例は次のとおりです。

年齢 年間保険料の例
60〜64歳 約28,000〜175,000バーツ(約13.2万〜82.3万円)
75歳以上 約120,000〜870,000バーツ以上(約56.4万〜408.9万円以上)

持病は補償の対象外になるか、12〜24か月の待機期間が設けられるのが一般的です。同じ報道では、人工膝関節の手術に30万〜45万バーツ(約141万〜211.5万円)かかる例が紹介されています。

リタイアメントビザのうちO-Aビザは、300万バーツ(約1,410万円)以上を補償する医療保険への加入が条件です。保険に入れるうちに移住を決めるか、保険に入れない場合の医療費の備え(預金など)を用意しておく必要があります。

ビザの手続き:毎年の延長と90日レポート、ビザ免除は30日に

タイに長く住むには、ビザの手続きを続ける必要があります。50歳以上が使うリタイアメントビザ(Non-O・O-A)は、次の手続きが毎年または定期的に必要です。

  • 1年ごとの延長:預金80万バーツ(約376万円)以上、月6万5,000バーツ(約30.6万円)以上の収入、またはその組み合わせを示す
  • 90日レポート:90日ごとに入国管理局へ住所を届け出る。怠ると2,000バーツ(摘発された場合は最大5,000バーツ)の罰金
  • 再入国許可:タイを出国する前に取らないと、出国時に滞在許可が失われる
  • 就労の禁止:リタイアメントビザではタイ国内で働けない

また、観光などのビザ免除による滞在は、2026年9月15日から60日から30日に短縮されました。陸路の国境からのビザ免除での入国は、原則として年2回までです。「ビザなしで入って、出入国を繰り返して長く住む」方法は現実的ではなくなっています。

外務省は、「VISA EXTENSION」をうたう業者にパスポートを預けたところ偽造の出入国スタンプを押され、出国時に不法入国として拘束された被害にも注意を促しています。代行業者を使う場合は、実績を確認してください。50歳未満の人が使えるDTVやLTRを含めた比較はタイ移住の条件と費用をご覧ください。

大気汚染と交通事故:チェンマイの乾季とバイクの事故

乾季の大気汚染

タイ北部では、毎年2〜4月の乾季に、野焼きや森林火災による煙で大気汚染が深刻になります。チェンマイは2026年3月30日、IQAirの世界の大都市の大気汚染ランキングで1位(AQI 205、「非常に健康に悪い」)になりました。2024年3月にも世界最悪になっています。IQAirによると、タイ全体のPM2.5の年平均は2025年に1㎥あたり17.8マイクログラムで、WHOの指針(5マイクログラム)の約3.6倍です。

チェンマイは物価が安く、日本人の移住先として人気がありますが、呼吸器や心臓に持病がある人には負担が大きくなります。乾季はバンコクや国外で過ごす、空気清浄機を用意するなどの対策を前提に考えてください。

交通事故

WHOの推計では、タイの交通事故の死者は2021年に約18,218人、人口10万人あたり25.4人でした。死者の83.8%はバイクの運転者・同乗者です。日本(2021年に人口10万人あたり2.6人、OECD国際交通フォーラム)の約10倍です。バイクタクシーやレンタルバイクの利用は避け、歩行中も車の動きに注意してください。

詐欺・トラブル:日本人が狙われる手口と、持ち込めないもの

外務省の海外安全ホームページ(タイ、2026年4月13日更新)は、日本人の被害として次のような例を挙げています。

  • スリや、「お金を見せて」と話しかけて気を取らせる手口の窃盗
  • タクシーやトゥクトゥクの運転手、声をかけてきた人による詐欺
  • 交際相手のタイ人に家・土地・車・お金を渡した後、連絡が取れなくなる
  • 歓楽街のカラオケ店などでの高額請求
  • 日本の特殊詐欺の「かけ子」や薬物の運び屋に誘い込む「闇バイト」

また、タイには日本の感覚では思いつきにくい規制があります。電子たばこと加熱式たばこは持ち込み・所持が禁止で、最長10年の拘禁刑や50万バーツの罰金の対象になります。娯楽目的の大麻も禁止されており、日本の法律でも処罰され得ます。王室への不敬罪は3〜15年の拘禁刑です。

安全面では、外務省がカンボジアとの国境から30km以内の7県の地域と、南部のナラティワート県・ヤラー県・パッタニー県などに「渡航は止めてください」(レベル3)を出しています(2026年7月2日)。バンコク、チェンマイ、プーケットなど主な移住先には危険情報は出ていません。

不動産と永住権:土地は持てず、永住権は1国籍100人まで

タイでは外国人は土地を所有できません。外国人が買えるのは、コンドミニアムの全戸の床面積の49%までという外国人枠の範囲の部屋です。賃借(リース)で登記できるのは最長30年で、外国人枠を75%に広げる案や、リースを99年にする案が2024年6月に示されましたが、2026年10月時点で法律にはなっていません。「家を買ってタイに住む」計画は、日本と同じようにはいきません。

永住権も簡単ではありません。タイの永住権は1国籍あたり年100人までで、リタイアメントビザを何年更新しても永住権の申請区分そのものがありません。永住権と国籍の条件はタイ移住の条件と費用の永住権の章で解説しています。

よくある質問

タイ移住が悲惨と言われるのはなぜですか?

円安で生活費が想定より上がる、医療保険に入れず医療費が重くなる、日本とタイの両方で税金がかかる、という3つが重なりやすいためです。どれも移住前に数字で確認できるもので、タイという国が特別に住みにくいわけではありません。

タイ移住にはいくら貯金が必要ですか?

リタイアメントビザの条件だけなら、タイの銀行に80万バーツ(約376万円)以上を預ける方法があります。ただし、これは審査の基準です。医療保険に入れない年齢なら医療費の備え、円安への余裕、一時帰国の費用を加えて考える必要があります。

日本の年金はタイでどうなりますか?

日本の年金はタイに住んでいても受け取れますが、日本で20.42%の源泉徴収がかかり、日タイの租税条約に一般の年金についての条項がないため届出による免除は受けられません。タイの税務居住者が2024年以降の年金をタイへ送金すると、タイでも課税対象になります。日本で払った税は、タイの税額から差し引ける場合があります。

50代でタイに移住するには?

50歳以上なら、預金80万バーツか月6万5,000バーツ以上の収入でリタイアメントビザが使えます。医療保険には、加入できる年齢のうちに入っておくのが安全です。50歳未満なら、DTVやLTRが選択肢になります。

チェンマイとバンコク、どちらに住むべきですか?

家賃や物価はチェンマイのほうが安い一方、2〜4月の大気汚染が深刻です。日本語の通じる病院や日本人の多さではバンコクが勝ります。タイに住む日本人72,113人のうち、51,297人がバンコクに住んでいます(外務省、2025年10月1日時点)。

まとめ

  • タイ移住の後悔は、円安(バーツは5年で約1.4倍)、年金への課税(日本で20.42%、タイへの送金にも課税)、医療保険(年齢が上がると入れない)に集まりやすい
  • 日タイの租税条約には一般の年金についての条項がなく、届出で日本の源泉徴収を免除できない
  • ビザ免除は2026年9月15日から30日に短縮。長く住むならリタイアメントビザなどの手続きを続ける必要がある
  • チェンマイの乾季の大気汚染と、バイクの交通事故には特に注意する
  • 日本人が7万人以上住み、生活の環境は整っている。資金・保険・住む場所を先に決めれば、後悔は防げる

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関連記事:タイ移住の条件と費用/年金で海外移住はできる?/ポルトガル移住のデメリットと後悔する理由

参考(一次情報・出典)

本記事の金額・制度は2026年10月9日時点の情報です。円換算は1バーツ=4.70円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)。

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