パナマ移住の治安と生活費【2026年】危険な地域・日本人が住むエリア・家賃と物価

パナマの治安は、日本と比べると明らかに悪く、2024年の殺人の件数は人口あたりで日本の約15倍、強盗は約114倍でした(外務省)。ただし、凶悪犯罪の多くはギャング同士の抗争で、パナマ市のエル・チョリージョやクルンドゥなどの特定の地区、サン・ミゲリート市、コロン県で多く起きています。日本人の被害は夜道や人通りの少ない場所での強盗が中心で、住む地区と行動を選ぶことで危険を減らせます。生活費は米ドル建てで、パナマ市の家賃は1LDKで月1,100〜1,900ドル(約17.4万〜30.0万円)が目安です。税金は、パナマが国外で得た所得に課税しない一方、日本とは租税条約がないため、日本の公的年金は日本で20.42%の源泉徴収を受けます。

※治安と金額は2026年10月9日時点の公表情報です。円換算は1ドル=157.95円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)で計算しています。最新の治安情報は外務省 海外安全ホームページで確認してください。

パナマ移住の全体像と記事一覧はパナマ永住権・市民権取得の完全ガイドにまとめています。

目次

  1. 結論:パナマ移住の治安と生活費のポイント
  2. パナマの治安:殺人は日本の約15倍、大半はギャングの抗争
  3. 危険な地域と、日本人が多く住むエリア
  4. 日本人の被害例と防犯対策
  5. 物価と生活費:米ドル建てで、家賃が最大の支出
  6. 医療:公的医療は専門医が不足、民間保険が前提
  7. 税金と年金:国外の所得は非課税、日本の年金は日本で源泉徴収
  8. 移住に使うビザ:年金・投資・フレンドリーネーション
  9. よくある質問
  10. まとめ

結論:パナマ移住の治安と生活費のポイント

項目 数字で見る現状 移住前に確認すること
治安 2024年の殺人537件、強盗5,636件(人口約420万人)。殺人は日本の約15.4倍 住む地区と、夜間の移動手段
危険な地域 ダリエン県の中部・南部などはレベル3(渡航中止勧告)。パナマ市・コロン市などはレベル1(十分注意) 外務省の危険情報と、大使館の「特別注意エリア」
家賃 パナマ市の1LDKで月1,100〜1,900ドル(約17.4万〜30.0万円) 警備員のいる集合住宅か
食費 食料の基本的な品目(59品目)の月額は365.88ドル(約5.8万円、2026年3月) 輸入品・日本食材は割高
医療 社会保険庁(CSS)で専門医の欠員が少なくとも71人(2026年3月、主に地方) 民間の医療保険と民間病院
税金 国外で得た所得には課税しない(属地主義) 日本の年金は日本で20.42%の源泉徴収(条約がないため)

パナマは米ドルが流通し、外国人の受け入れに積極的で、年金で暮らす人向けのビザ(ペンショナード)も使いやすい国です。移住で後悔しないためには、治安の悪い地区を避けて住む場所を選ぶことと、家賃・医療保険を含めた生活費を米ドルで見積もることの2点が要になります。

パナマの治安:殺人は日本の約15倍、大半はギャングの抗争

外務省の海外安全ホームページによると、パナマ(人口約420万人)では2024年に114,070件の犯罪が起きました。治安の目安になる殺人と強盗は次のとおりです。

犯罪 2024年 前年 人口あたりで日本と比べると
殺人 537件 541件 約15.4倍
強盗 5,636件 5,444件 約114.2倍

殺人は過去最多だった2009年(818件)からは減っていますが、依然として高い水準です。2026年も、5月19日までに230件の殺人が起き、前年の5月末までの229件をすでに上回りました(パナマ検察庁)。

パナマの凶悪犯罪の多くは、「パンディージャ」と呼ばれる若者のギャング同士の抗争です。殺人の約8割で銃が使われ、抗争とは無関係の人が流れ弾に巻き込まれるおそれがあります。パナマは麻薬の中継地点でもあり、日本人が多く住む地区でも麻薬取引をめぐる抗争が起きたことがあります。また、労働組合や学生による道路封鎖などの抗議活動が散発的に起き、生活に影響が出ることがあります。

危険な地域と、日本人が多く住むエリア

外務省は、パナマの一部地域に危険情報を出しています(2024年10月18日、継続)。

危険レベル 地域
レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告) ダリエン県とエンベラ自治区の中部・南部、クナ・ヤラ自治区の南部(コロンビア国境の密林地帯)
レベル1:十分注意してください パナマ県パナマ市、サン・ミゲリート市、コロン県コロン市、西パナマ県ラ・チョレーラ市・アライハン市、チリキ県ダビ市

パナマ市の中では、在パナマ日本国大使館が、ギャングの発砲事件や薬物関連の犯罪が多いエル・チョリージョ、サンタ・アナ、カリドニア、クルンドゥの4地区を「特別注意エリア」として、立ち入りを避けるよう呼びかけています。外務省は、長距離バスのアルブルック・ターミナルと観光地の旧市街(カスコ・アンティグオ)の間にある特別注意エリアで、日本人旅行者の被害が起きていると注意を促しています。

日本人が多く住んでいるのは、パナマ市のサン・フランシスコ地区やベジャ・ビスタ地区などです。マルベージャ地区には日本人学校があります。比較的安全な住宅地とされますが、外務省は、こうした日本人の多い地区でも夜間の強盗被害が起きていると注意を促しています。パナマに住む日本人は330人です(外務省 海外在留邦人数調査統計、2025年10月1日時点)。

日本人の被害例と防犯対策

外務省によると、パナマでの日本人の被害は近隣の中南米諸国と比べると少ないものの、強盗の被害が複数報告されています。

  • サン・フランシスコ地区の大通りを夜に1人で歩いていて2人組に鞄を奪われそうになり、抵抗して殴られた
  • マルベージャ地区を夜、携帯電話を見ながら歩いていて、銃と刃物を持った2人組に携帯電話を奪われた
  • アルブルック・バスターミナルから流しのタクシーに乗り、目的地と違う場所で運転手に刃物で脅されて所持品を奪われた
  • 夜のレストランに5人組が押し入り、客の所持金を奪った

被害の多くは、夜に1人で歩く、流しのタクシーに乗る、人通りの少ない場所に行くという場面で起きています。外務省と大使館が勧めている対策は次のとおりです。

  • 夜間の徒歩移動を避け、配車アプリや信頼できるタクシーを使う
  • 歩きながら携帯電話を見ない。高価な時計や鞄を持ち歩かない
  • 強盗に遭ったら抵抗せず、要求に従う
  • 車内に荷物を置いたまま駐車しない(短時間でも)
  • 発砲に遭遇したら、伏せて物陰に隠れ、安全が確認できるまで動かない

住まいは、警備員が常駐し、入口で出入りを管理している集合住宅を選ぶと安心です。

物価と生活費:米ドル建てで、家賃が最大の支出

パナマの通貨は事実上米ドルで、生活費も米ドルで考えます。円安の影響をそのまま受けるため、日本円の年金や資産で暮らす場合は為替の変動に注意が必要です。

項目 月額の目安 出典・時点
家賃(スタジオ) 800〜1,300ドル(約12.6万〜20.5万円) 現地不動産会社 Panama Home Realty、2026年
家賃(1LDK) 1,100〜1,900ドル(約17.4万〜30.0万円) 同上
家賃(2LDK) 1,500〜3,200ドル(約23.7万〜50.5万円) 同上
食料の基本品目(59品目) 365.88ドル(約5.8万円) パナマ経済財務省、2026年3月(パナマ市・サン・ミゲリート)

家賃はパナマ市の長期賃貸の目安で、海の見える高層マンションや、プンタ・パシフィカ、コスタ・デル・エステなどの人気地区ではこれより高くなります。日本食材などの輸入品は割高になります。高温多湿のため、エアコンの電気代もかかります。

安全な地区を選ぶほど家賃は上がります。「物価の安い国で暮らす」という前提で移住すると、想定より費用がかかったと感じやすくなります。

医療:公的医療は専門医が不足、民間保険が前提

パナマの公的医療は、社会保険庁(CSS)と保健省の病院が担っています。CSSは2025年に約280万人の加入者を抱える一方、2026年3月時点で消化器、神経、整形外科、小児科、心臓などの専門医に少なくとも71人の欠員があり、国外から医師を募集する準備を進めていました。薬の不足も報じられています。

パナマ市には設備の整った民間病院があり、移住者の多くは民間の医療保険に入り、民間病院を使います。年金で暮らす人向けのペンショナードビザでは、医療費の割引(診察料20%など)を受けられます。日本語で診察を受けられる医療機関はほぼないため、スペイン語か英語でのやりとりが必要です。

税金と年金:国外の所得は非課税、日本の年金は日本で源泉徴収

パナマは「属地主義」の税制で、パナマ国内で得た所得にだけ課税し、国外で得た所得には課税しません。日本の年金、日本の家賃収入、国外の配当などは、パナマでは原則として課税されません。2026年5月の法改正(法律第526号)で、2027年から多国籍企業グループの法人が国外から受ける受動的所得に課税する例外ができましたが、対象は法人で、年金や個人の収入は含まれていません。

一方、日本とパナマの間には二重課税を防ぐ租税条約がありません。両国の間にあるのは税務当局が情報を交換するための協定(2017年発効)です。また、パナマは各国の税務当局と金融口座の情報を自動的に交換する国際的な仕組み(CRS)にも参加しています。

このため、日本の公的年金は、パナマに住んで日本の非居住者になっても、日本で源泉徴収されます。税率は20.42%で、65歳以上なら年金の額から1か月あたり9万5,000円を引いた残りにかかります(国税庁)。租税条約のある国のように、届出で免除を受けることはできません。

出国前後の住民票や税金の手続きは海外移住の税金と住民票、年金での移住の全体像は年金で海外移住はできる?で解説しています。

移住に使うビザ:年金・投資・フレンドリーネーション

日本人がパナマ移住で使う主な在留資格は次のとおりです。観光なら査証なしで最大90日滞在できますが、住むには在留資格が必要です。

ビザ 主な条件 在留資格
ペンショナード(年金) 生涯受け取れる年金が月1,000ドル(約15.8万円)以上。10万ドル以上の不動産を持つ場合は月750ドル以上 最初から永住
適格投資家(投資) 新築・初回販売の不動産30万ドル(約4,739万円)、中古の不動産50万ドル、証券50万ドル、定期預金75万ドル(国営銀行なら50万ドル)。5年間維持 最初から永住
フレンドリーネーション(友好国) 日本は対象国。現地企業との雇用契約と労働許可、20万ドル以上の不動産、または20万ドルの定期預金(3年) 2年の一時居住の後、永住を申請
リモートワーカー(短期) 国外からの所得が年3万6,000ドル以上 最長18か月の短期滞在(居住権にはならない)

適格投資家の制度は、2026年9月8日の行政令第17号で改正され、新築・初回販売の不動産は30万ドルのまま、中古の不動産は50万ドルとされました。永住権を取った後、5年住めば帰化を申請できますが、帰化の際にはパナマ憲法第10条により元の国籍の放棄を宣言し、日本の国籍法(第11条)でも、自分の意思で外国籍を取った時点で日本国籍を失います。

ビザごとの手続きと市民権までの流れは、パナマ永住権・市民権取得の完全ガイドで解説しています。

よくある質問

パナマで日本人が住むならどの地区ですか?

日本人が多く住んでいるのは、パナマ市のサン・フランシスコ地区やベジャ・ビスタ地区などで、マルベージャ地区には日本人学校があります。警備員が常駐する集合住宅を選び、夜は歩かずに車で移動すると安心です。エル・チョリージョ、サンタ・アナ、カリドニア、クルンドゥの4地区は、大使館が立ち入りを避けるよう呼びかけています。

パナマで暮らすには月いくら必要ですか?

単身でパナマ市の1LDKに住む場合、家賃だけで月1,100〜1,900ドルが目安です。これに食費、電気代(エアコン)、通信費、民間の医療保険を足します。年金で暮らすペンショナードビザの条件は月1,000ドル以上ですが、これは審査の基準で、パナマ市で安全な地区に住むなら、それ以上の収入を見込んでください。

パナマはスペイン語ができないと暮らせませんか?

公用語はスペイン語です。パナマ市の民間病院や銀行、外国人の多い地区では英語が通じる場面もありますが、役所の手続きや日常の買い物ではスペイン語が必要になることが多くあります。移住の手続きは、現地の弁護士を通じて行うのが一般的です。

日本からパナマへの直行便はありますか?

日本とパナマを結ぶ直行便はなく、米国やメキシコなどで乗り継ぎます。時差は14時間です(パナマに夏時間はありません)。

日本の年金はパナマで受け取れますか?

受け取れます。日本年金機構に海外の口座を届け出れば、パナマに住んでいても日本の年金を受け取れます。日本とパナマには租税条約がないため、日本で20.42%の源泉徴収がかかりますが、パナマでは国外所得として課税されません。

まとめ

  • パナマの殺人は人口あたりで日本の約15倍、強盗は約114倍(2024年)。凶悪犯罪の多くはギャングの抗争で、パナマ市の特定の地区、サン・ミゲリート市、コロン県で多い
  • 大使館はエル・チョリージョ、サンタ・アナ、カリドニア、クルンドゥを特別注意エリアとしている。日本人はサン・フランシスコ、ベジャ・ビスタなどに多く住む
  • 家賃はパナマ市の1LDKで月1,100〜1,900ドル。米ドル建てで、家賃が最大の支出になる
  • 公的医療は専門医が不足しており、民間の医療保険が前提
  • 国外の所得には課税されないが、日本の年金は日本で20.42%の源泉徴収がかかる

当事務所では、パナマを含む各国の永住権・長期滞在ビザの比較相談と、申請に必要な日本の書類のアポスティーユ取得・翻訳に対応しています。パナマのビザが使えるか、年金や資産、家族構成をもとに整理したい方は、無料相談をご利用ください。しつこい営業は一切いたしません。

関連記事:パナマ永住権・市民権取得の完全ガイド/年金で海外移住はできる?/二重国籍を認めている国一覧

参考(一次情報・出典)

本記事の金額・制度は2026年10月9日時点の情報です。円換算は1ドル=157.95円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)。

おすすめの記事