ポルトガル移住のデメリットと後悔する理由【2026年】家賃・手続きの遅れ・税金・医療・国籍10年

ポルトガル移住で後悔が出やすいのは、家賃の高さ、現地収入の低さ、移民当局(AIMA)の手続きの遅れ、年金への課税、公的医療の待ち時間の5点です。リスボンの新規賃貸の家賃は1㎡あたり17.42ユーロで全国の約1.8倍あり、60㎡の部屋なら月約18.5万円かかります。2023年までの優遇税制(NHR)はすでに終わり、日本の年金はポルトガルで所得に応じて12.5〜48%(高所得者は連帯税を加算)の税率で課税されます。国籍取得までの年数も2026年5月に10年へ延びました。一方で、ポルトガルは世界平和度指数で7位と治安がよく、移住ビザ(D7)の収入基準も月920ユーロと欧州では低い水準です。デメリットを数字で把握し、家賃・税金・保険を事前に組み込めば、後悔はかなり避けられます。

※金額と制度は2026年10月9日時点の公表情報です。円換算は1ユーロ=176.87円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)で計算しています。個別の税務判断や申請の可否は、専門家に確認してください。

ポルトガル移住の全体像と記事一覧はポルトガル移住のビザの種類と条件にまとめています。

目次

  1. 結論:ポルトガル移住のデメリット一覧と対策
  2. 家賃が高い:リスボンは全国平均の約1.8倍
  3. 現地の給料が低く、移住後に稼ぐのは難しい
  4. 手続きが遅い:AIMAの予約と居住カード
  5. 税金:優遇税制NHRは終了、日本の年金も課税される
  6. 医療:公的医療は家庭医が不足、民間保険が前提
  7. 暮らし:冬の家が寒い、言葉、日本から遠い
  8. 制度変更:国籍は10年に延長、取得すれば日本国籍を失う
  9. よくある質問
  10. まとめ

結論:ポルトガル移住のデメリット一覧と対策

移住後に「想定と違った」となりやすい点を、数字と対策つきで一覧にします。

デメリット 数字で見る現状 事前にできる対策
家賃が高い リスボンの新規賃貸は1㎡17.42ユーロ(2026年1〜3月) 郊外や地方都市も候補にし、家賃を予算の中心に置く
現地の給料が低い 平均賃金は月1,694ユーロ(約30.0万円、2025年) 日本の年金・不労所得・リモート収入を持って移住する
手続きが遅い ビザの審査や居住カードの発行で、法定の期限を超えて数か月待つ例が多い 書類を最初から揃え、余裕のある日程を組む
年金に税金がかかる NHRは終了。年金は12.5〜48%の累進課税 日本側で租税条約の届出をし、手取りを試算する
公的医療の待ち時間 家庭医のいない登録者が約165万人(2026年4月) 民間の医療保険に入る
冬の家が寒い 家を十分に暖められない人の割合15.7%(EU平均9.2%、2024年) 断熱・暖房設備を内見で確認する
言葉と距離 公用語はポルトガル語。日本からの直行便はない 永住を目指すならA2程度のポルトガル語を準備する
国籍まで遠い 国籍の申請は居住10年から(2026年5月19日施行) 永住許可(5年)で止めるか、国籍まで取るかを先に決める

それでもポルトガルが移住先に選ばれるのは、治安と制度の使いやすさです。2026年の世界平和度指数で、ポルトガルは163か国中7位でした。年金や不労所得で暮らすD7ビザの収入基準は月920ユーロ(約16.3万円)で、欧州では低い水準です。ポルトガル移住で後悔するかどうかは、ポルトガルという国の良し悪しより、家賃・税金・医療の費用を事前に予算に入れていたかで決まります。

家賃が高い:リスボンは全国平均の約1.8倍

ポルトガル移住の費用で最も大きいのは家賃です。ポルトガル国立統計局(INE)によると、2026年1〜3月に結ばれた新しい賃貸契約の家賃の中央値は、全国で1㎡あたり9.46ユーロ、リスボン市で17.42ユーロでした。全国の家賃は前年同期より9.1%上がっています。

地域 1㎡あたりの家賃(中央値) 60㎡の部屋の場合(月額)
リスボン市 17.42ユーロ 約1,045ユーロ(約18.5万円)
リスボン都市圏(グランデ・リスボア) 14.38ユーロ 約863ユーロ(約15.3万円)
ポルト都市圏 10.13ユーロ 約608ユーロ(約10.8万円)
ポルトガル全国 9.46ユーロ 約568ユーロ(約10.0万円)

60㎡の場合の金額は、INEの1㎡あたりの中央値に60を掛けて計算した目安です。実際の募集家賃は、立地や家具の有無でこれより高くなることがあります。

ポルトガルの家計の支出は、年平均23,900ユーロ(約423万円)のうち39.3%が住居費です(INE 家計支出調査 2022/2023)。リスボン都市圏では住居費の割合が43.8%まで上がります。この住居費には持ち家の帰属家賃や光熱費も含まれますが、家計の4割近くを住まいに使う計算です。移住先の都市を決める前に、家賃相場を確認してください。

移住ビザの審査でも住居は条件になり、12か月以上の賃貸契約書を求められるのが一般的です。日本にいるうちに現地の物件を契約する必要があり、内見できないまま契約して後悔する例もあります。ビザの条件の詳細はポルトガル移住のビザの種類と条件で解説しています。

現地の給料が低く、移住後に稼ぐのは難しい

ポルトガルの賃金水準は、西欧の中では低めです。INEによると、2025年の平均賃金(税・社会保険料を引く前の月額)は1,694ユーロ(約30.0万円)でした。2026年の最低賃金は月920ユーロ(約16.3万円)です。

指標 金額 出典・時点
平均賃金(月額・税引前) 1,694ユーロ(約30.0万円) INE、2025年
最低賃金(月額) 920ユーロ(約16.3万円) ポルトガル政府、2026年
リスボン市の家賃(60㎡) 約1,045ユーロ(約18.5万円) INE、2026年1〜3月から計算

リスボンでは、平均賃金の6割前後が家賃に消える計算になります。そのうえ現地の求人の多くはポルトガル語が前提で、日本人が移住してから現地企業で仕事を見つけるのは簡単ではありません。

このため、日本人のポルトガル移住は、日本の年金や家賃収入、日本の会社からのリモートワーク収入など、ポルトガルの外から入る収入を持って移住する形が基本です。年金や不労所得ならD7ビザ、リモートワークならD8ビザ(月3,680ユーロ以上の収入が条件)が使えます。

手続きが遅い:AIMAの予約と居住カード

ポルトガルの移民当局AIMA(統合・移民・庇護庁)の手続きの遅れは、移住者の不満で最も多いものの一つです。日本の大使館でビザを取って入国した後、AIMAで生体情報を登録して居住許可カードを受け取りますが、この予約とカードの発行に時間がかかります。

  • 大使館でのビザ(D7・D8など)の法定の審査期限は60日ですが、実際は2〜4か月かかる例が多くあります。
  • AIMAは、期限切れの居住書類の有効期間を延長する措置を2026年4月15日で終了しました。
  • AIMAの説明では、2025年6月以降に受け付けた約10万件の更新のうち、約9万件で結論が出ています。
  • 移民支援団体からは、許可が出た後もカードが届かないという苦情が続いています。

更新の手続き中で居住カードが手元にない間は、AIMAのポータルで発行される証明書で合法的な滞在を示します。ただし、カードがないと銀行や不動産の手続きで説明を求められたり、シェンゲン圏内の移動に支障が出たりします。

対策は、書類の不備で差し戻されないよう、最初から完全な書類で申請することです。日本の警察証明書(犯罪経歴証明書)や戸籍謄本にはアポスティーユ(外務省の証明)が必要で、発行から3か月以内という期限もあります。書類の準備はアポスティーユ・翻訳・認証の取得代行でも承っています。

税金:優遇税制NHRは終了、日本の年金も課税される

かつてのポルトガル移住の大きな利点だった非常居住者制度(NHR)は、2023年末で新規の受付を原則終了しました(2024年は経過措置のみ)。外国の年金を10年間、非課税(2020年4月以降の適用者は10%)にできた制度で、これを前提にした移住の情報は古くなっています。

2024年1月から始まった後継の制度(IFICI、通称NHR 2.0)は、研究職や高度専門職などに対象が絞られ、年金生活者は対象外です。

項目 2026年の扱い
旧NHR 2023年末で新規の受付を原則終了。年金生活者向けの優遇はない
IFICI(NHR 2.0) 研究・高度専門職などが対象。ポルトガルでの対象業務の所得に20%の税率
外国の年金 他の所得と合算し、所得に応じて12.5〜48%の累進課税(高所得者には連帯税が加算)

日本とポルトガルの租税条約(2013年発効)では、年金は受け取る人が住んでいる国だけで課税されます(第17条)。ポルトガルに住めば、日本の老齢年金はポルトガルで課税されます。ただし、国や地方公共団体が公務の対価として支払う年金は、原則として日本で課税されます(第18条2項)。

日本年金機構は、海外に住む人の年金からも所得税を源泉徴収します。ポルトガルで課税される年金について日本での二重の課税を避けるには、「租税条約に関する届出書(様式9)」を日本年金機構に提出して、日本の所得税の免除を受けます。手続きをしないと、日本とポルトガルの両方で税金を引かれた状態が続きます。

出国前後の住民票や確定申告の手続きは海外移住の税金と住民票、年金での移住の全体像は年金で海外移住はできる?で解説しています。

医療:公的医療は家庭医が不足、民間保険が前提

ポルトガルには国民保健サービス(SNS)があり、居住者は登録すれば公的医療を受けられます。ただし、最初に診察を受ける家庭医が足りていません。

2026年4月時点で、保健所に登録している約1,079万人のうち、約165万人(約15%)に家庭医が割り当てられていません(SNS透明性ポータルのデータ)。専門医の予約や手術にも長い待ち時間があります。

移住ビザの申請では、入国から居住許可の取得までをカバーする医療保険への加入が求められます。居住許可を取った後も、民間の医療保険に入り、民間の病院を使うのが現実的です。高齢での移住では、保険料や加入できる年齢の上限、持病の扱いを事前に確認してください。日本語で診察を受けられる医療機関はほとんどありません。

暮らし:冬の家が寒い、言葉、日本から遠い

ポルトガルは温暖な国という印象がありますが、移住者が意外に感じるのが冬の家の寒さです。古い住宅は断熱が弱く、セントラルヒーティングのない家が多くあります。

  • 冬の寒さ:EU統計局によると、2024年に「家を十分に暖められない」と答えた人の割合は、ポルトガルで15.7%、EU平均で9.2%でした。物件を選ぶときは、断熱、二重窓、暖房設備を確認してください。
  • 言葉:公用語はポルトガル語です。リスボンやポルトの観光地では英語が通じますが、役所や病院、賃貸契約ではポルトガル語が必要な場面が多くあります。永住許可にはポルトガル語A2程度の要件があります。
  • 日本から遠い:日本からの直行便はなく、欧州や中東の都市で乗り継ぎます。時差は9時間(夏時間は8時間)です。
  • 日本人が少ない:ポルトガルに住む日本人は1,017人です(外務省 海外在留邦人数調査統計、2025年10月1日時点)。日本人向けの学校や病院はなく、日本食材は限られます。

家族を後から呼び寄せる場合にも注意が必要です。2025年10月施行の外国人法改正で、本人が居住許可を2年間持っていることが「家族再統合」の条件になりました(未成年の子などは例外)。家族で移住するなら、最初から全員分を同時に申請してください。

制度変更:国籍は10年に延長、取得すれば日本国籍を失う

ポルトガルは、ここ数年で移住に関わる制度を何度も変えています。古い情報をもとに計画を立てて後悔する例が多い分野です。

時期 変更内容
2023年10月 ゴールデンビザの不動産購入ルートを廃止
2023年末 非常居住者制度(NHR)の新規受付を原則終了
2025年10月23日 外国人法改正(Lei n.º 61/2025)。家族再統合に2年の居住が必要に
2026年5月19日 国籍法改正(Lei Orgânica n.º 1/2026)。国籍の申請に必要な居住年数が5年から10年に

国籍法の改正で、日本人を含むEU・ポルトガル語圏以外の国民は、合法的に10年住んだ後でなければ国籍を申請できなくなりました。数えるのは合法的に居住していた期間で、改正前のように居住許可の申請からAIMAの審査を待っていた期間を算入する規定は廃止されました。2026年5月18日までに提出済みの国籍申請は、改正前の5年で審査されます。永住許可は従来どおり5年で申請できます。

また、日本は二重国籍を認めていないため、ポルトガル国籍を取ると日本国籍を失います。「EUのパスポートが欲しい」という目的なら、日本国籍を失うことの影響を先に確認してください。詳しくは二重国籍を認めている国一覧で解説しています。

投資で居住許可を取るゴールデンビザは、ファンドへの50万ユーロ(約8,844万円)の投資などが条件です。投資ルートと費用はポルトガル・ゴールデンビザの条件と費用をご覧ください。

よくある質問

ポルトガル移住にはいくら必要ですか?

最低限の目安は、D7ビザの収入基準である月920ユーロ(約16.3万円)です。配偶者は50%、18歳未満の子は30%を加算するため、夫婦なら月1,380ユーロ(約24.4万円)以上の収入が必要です。ただし、これは審査の基準で、リスボンでは家賃だけで月1,000ユーロを超えることがあります。実際の生活費は、家賃、民間の医療保険、税金を足して計算してください。

日本の年金はどうなりますか?

日本の老齢年金は、ポルトガルに住んでいても日本年金機構から受け取れます。日本とポルトガルの租税条約により、年金はポルトガルで課税されます。日本年金機構に「租税条約に関する届出書(様式9)」を出すと、日本の所得税の源泉徴収が免除されます。公務に基づく年金は原則として日本で課税されます。

ポルトガル移住は難しいですか?

ビザの条件そのものは、欧州の中では満たしやすい部類です。難しいのは、日本から現地の銀行口座・納税者番号(NIF)・賃貸契約を用意すること、日本の書類にアポスティーユを付けること、AIMAの手続きを待つことです。準備を始めてから居住許可カードを受け取るまで、半年から1年を見込んでください。

どんなビザが必要ですか?

年金や不労所得で暮らすならD7、リモートワークならD8、現地で起業するならD2、投資で取るならゴールデンビザです。それぞれの条件はポルトガル移住のビザの種類と条件で比較しています。

ポルトガルの治安はどうですか?

2026年の世界平和度指数で163か国中7位で、欧州でも治安のよい国です。ただし、リスボンやポルトの観光地ではスリや置き引きが起きています。最新の注意情報は外務省の海外安全ホームページで確認してください。

まとめ

  • ポルトガル移住の主なデメリットは、家賃の高さ(リスボン1㎡17.42ユーロ)、現地収入の低さ(平均賃金月1,694ユーロ)、AIMAの手続きの遅れ、年金への課税、公的医療の待ち時間
  • 優遇税制NHRは2023年末で原則終了。日本の年金はポルトガルで12.5〜48%の累進課税(高所得者は連帯税を加算)になるため、日本年金機構に租税条約の届出を出す
  • 国籍は2026年5月から居住10年が必要。取得すれば日本国籍を失う
  • 治安は世界7位で、D7の収入基準は月920ユーロと低い。家賃・税金・医療保険を予算に入れておけば、後悔は避けやすい

当事務所では、ポルトガルを含む各国の永住権・長期滞在ビザの比較相談と、申請に必要な日本の書類のアポスティーユ取得・翻訳に対応しています。移住先の候補を、収入や家族構成、年金の受け取り方をもとに整理したい方は、無料相談をご利用ください。しつこい営業は一切いたしません。

関連記事:ポルトガル移住のビザの種類と条件/ポルトガル・ゴールデンビザの条件と費用/年金で海外移住はできる?

参考(一次情報・出典)

本記事の金額・制度は2026年10月9日時点の情報です。円換算は1ユーロ=176.87円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2026年10月8日の仲値)。

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