マレーシアMM2Hの条件と費用【2026年】|長期滞在ビザは定期預金15万ドルから、永住権との違いも解説

マレーシアのMM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)は永住権ではなく、5〜20年の長期滞在ビザです。2024年の制度改定で、条件は「定期預金」「不動産の購入」「年90日の滞在」の3本柱に整理されました。最も申請の多いシルバーの場合、日本人が単身で申請すると、拘束される資金は定期預金15万ドル(約2,305万円)と不動産60万リンギ(約2,256万円)の合計で約4,561万円、戻らない費用は代理店手数料や印紙税を含めて約363万円からが目安です。本記事では、シルバー・ゴールド・プラチナ・SEZの4区分の条件と費用、共通の義務、永住権(PR)との違い、サラワク州とサバ州の独自プログラム、日本からの申請手順までを、マレーシア観光芸術文化省(MOTAC)の公式情報をもとに整理します。マレーシアでの暮らし全般(ビザの選び方、生活費、インターナショナルスクールの学費、住む都市)はマレーシア移住の条件と費用で解説しています。

※本記事は2026年9月14日時点の公表情報(MOTAC MM2H公式サイト、サラワク州・サバ州政府、マレーシア移民局、現地報道)をもとにした一般的な解説です。制度・手数料・為替は変動します。円換算は1ドル=153.65円、1リンギ=37.6円(いずれも2026年9月14日)で計算しています。個別の申請可否や税務判断は、申請前に専門家へご確認ください。

目次

  1. 結論:MM2Hは永住権ではなく長期滞在ビザ。シルバーでも資金は約4,561万円
  2. 全区分に共通する条件:年齢・滞在日数・不動産購入・扶養家族
  3. シルバー・ゴールド・プラチナの違い:預金額・期間・更新料・就労可否
  4. SEZ/SFZ区分:ジョホール州フォレストシティ限定で預金は3万2,000ドルから
  5. MM2Hの費用の内訳:政府費用・代理店手数料・不動産の印紙税・維持費
  6. マレーシアの永住権(PR)はいくらで取れるか:MM2Hとの違い
  7. サラワク州・サバ州の独自プログラム:預金50万リンギ、滞在は州内で年30日
  8. 日本からの申請手順と必要書類
  9. よくある質問
  10. まとめ:MM2Hは「預金を担保に長く住む権利」。永住権とは分けて考える

結論:MM2Hは永住権ではなく長期滞在ビザ。シルバーでも資金は約4,561万円

MM2Hは、マレーシア政府が外国人向けに発行する「社会訪問パス(複数回入国ビザ付き)」の長期版です。2024年6月に発表された新制度では、定期預金の額に応じてシルバー・ゴールド・プラチナの3区分と、ジョホール州の経済特区に住む人向けのSEZ/SFZ区分の計4区分に分かれています。まず4区分の条件を一覧にします。

MM2Hの4区分の比較(2026年9月14日時点、1ドル=153.65円、1リンギ=37.6円)
区分定期預金パスの期間不動産の最低購入額参加費(1回)
シルバー150,000ドル(約2,305万円)5年(更新可)600,000リンギ(約2,256万円)1,000リンギ(約3.8万円)
ゴールド500,000ドル(約7,683万円)15年(更新可)1,000,000リンギ(約3,760万円)3,000リンギ(約11.3万円)
プラチナ1,000,000ドル(約1億5,365万円)20年(更新可)2,000,000リンギ(約7,520万円)200,000リンギ(約752万円)
SEZ/SFZ21〜49歳:65,000ドル(約999万円)/50歳以上:32,000ドル(約492万円)10年(更新可)ジョホール州フォレストシティ内の指定物件1,000リンギ(約3.8万円)

2025年の1年間に承認された主申請者は3,172人で、内訳はシルバー2,650人、SEZ 322人、ゴールド154人、プラチナ46人です(IMI Daily、2026年3月26日)。申請の8割以上がシルバーに集中しており、日本人が検討する場合も、まずシルバーの条件と費用を基準に考えると判断しやすくなります。

一方で、MM2Hは何年続けても永住権(PR)にはつながりません。2024年6月15日に観光芸術文化大臣が「新制度の参加者は3区分とも永住権を申請できない」と明言しています。「マレーシア 永住権 いくら」と調べている方は、MM2Hの費用と、後述する永住権(Entry Permit)の要件を分けて読んでください。

全区分に共通する条件:年齢・滞在日数・不動産購入・扶養家族

4区分の違いは主に定期預金の額とパスの期間で、次の条件はすべての区分に共通します。

MM2Hの共通条件(MOTAC公式ガイドライン)
項目条件
年齢シルバー・ゴールド・プラチナは25歳以上。SEZ/SFZは21歳以上(50歳以上は預金額が半額)
滞在義務50歳未満の参加者は年間90日(累計)の滞在が必要。主申請者と配偶者・扶養家族の滞在日数を合算できる。50歳以上は滞在義務なし(公式の区分比較表に明記)
不動産の購入承認後に区分ごとの最低額以上の住宅を購入することが義務。購入した住宅は10年間売却できない(より高額な住宅への買い替えを除く)
定期預金の引き出し承認後、元本の最大50%を住宅購入・教育・医療・国内観光の目的で引き出せる。残りは参加期間中拘束される
扶養家族配偶者、21歳未満の子、21〜34歳の未婚で無職の子、障害のある子(年齢制限なし)、本人と配偶者の両親。扶養家族の参加費は不要
就労・事業シルバー・ゴールドは不可。プラチナは事業・投資・就労が可能
健康診断政府指定の医療機関での受診が必須(マレーシア国内)
医療保険マレーシア国内で有効な医療保険への加入。更新時に加入証明が必要。認可代理店の案内では60歳未満は初年度から加入が求められる
申請ルートMOTACが認可したMM2H事業者(ツアーオペレーター免許)経由が必須。個人での直接申請は受け付けない

日本人にとって見落としやすいのは、不動産購入が「任意」ではなく「義務」になった点です。旧制度では賃貸でも参加できましたが、新制度では承認後に住宅を買い、10年間保有し続ける必要があります。さらに、州ごとに外国人が購入できる住宅の最低価格が別に定められており、たとえばクアラルンプールでは100万リンギ(約3,760万円)が下限です。シルバーの最低額60万リンギで買える物件があるのは、州の下限が低い地域に限られるため、住みたい州の外国人向け下限を先に確認してください。

滞在義務も注意が必要です。公式ガイドラインは「50歳未満の参加者は年間90日(累計)」と定め、区分比較表では50歳以上を「滞在義務なし」と明記しています。ただし、日数の条件がなくても、更新時には健康診断・保険・定期預金の維持が改めて審査されます。

シルバー・ゴールド・プラチナの違い:預金額・期間・更新料・就労可否

3区分の差は「いくら預けるか」と「何年のパスをもらえるか」、そして「働けるかどうか」です。更新料はパスの期間ごとにかかり、主申請者と扶養家族をまとめた額です。

シルバー・ゴールド・プラチナの比較
項目シルバーゴールドプラチナ
定期預金150,000ドル(約2,305万円)500,000ドル(約7,683万円)1,000,000ドル(約1億5,365万円)
パスの期間5年15年20年
不動産の最低購入額600,000リンギ(約2,256万円)1,000,000リンギ(約3,760万円)2,000,000リンギ(約7,520万円)
参加費(主申請者・1回)1,000リンギ(約3.8万円)3,000リンギ(約11.3万円)200,000リンギ(約752万円)
更新料(更新のたび)1,500リンギ(約5.6万円)3,000リンギ(約11.3万円)5,000リンギ(約18.8万円)
就労・事業・投資不可不可可
向いている人年3か月以上マレーシアで暮らしたい退職者・資産家。費用を最小にしたい人更新を15年に1回に減らしたい人。就労は不可のため、働く目的なら選ばないマレーシアで事業を持ち、就労もしたい経営者。参加費20万リンギが別途かかる

シルバーとゴールドの実務上の違いはパスの期間だけで、どちらも働けません。ゴールドの定期預金50万ドル(約7,683万円)はシルバーの3.3倍ですが、更新料はシルバーが5年ごとに1,500リンギ、ゴールドが15年ごとに3,000リンギと大差がないため、「更新の手間を減らすために3.3倍の資金を拘束する価値があるか」が判断の分かれ目です。

プラチナだけは就労と事業が認められますが、参加費が20万リンギ(約752万円)と別格で、定期預金100万ドル(約1億5,365万円)と不動産200万リンギ(約7,520万円)を合わせると、拘束される資金は2億円を超えます。マレーシアで会社を経営する目的であれば、雇用パス(Employment Pass)など就労系の在留資格と比較したうえで選ぶ必要があります。

SEZ/SFZ区分:ジョホール州フォレストシティ限定で預金は3万2,000ドルから

SEZ/SFZは、シンガポールに隣接するジョホール州の経済特区・金融特区(フォレストシティ)に住む人向けの区分です。定期預金の額が他の区分より大幅に低く、50歳以上なら3万2,000ドルで10年のパスが得られます。

SEZ/SFZ区分の条件
項目条件
定期預金21〜49歳:65,000ドル(約999万円)/50歳以上:32,000ドル(約492万円)
年齢21歳以上
パスの期間10年(更新可)
不動産承認後にフォレストシティ内の物件を購入することが義務。10年間売却不可
滞在義務年間90日(累計)。主申請者と扶養家族の滞在日数を合算できる。50歳以上は日数の規定なし
参加費・更新料参加費1,000リンギ(約3.8万円)、更新料300リンギ(約1.1万円)

費用面では最も入りやすい区分ですが、住む場所が特区内に固定され、購入できる物件も開発事業者が設定した価格の特区物件に限られます。クアラルンプールやペナンで暮らしたい人には向かず、「シンガポール勤務の家族と近くに住む」「特区の物件を投資として持つ」といった目的がはっきりしている人向けの区分です。

MM2Hの費用の内訳:政府費用・代理店手数料・不動産の印紙税・維持費

MM2Hの費用は、参加期間が終われば戻る「定期預金」と、戻らない「費用」に分けて考えます。戻らない費用の中心は、認可代理店の手数料と、不動産購入にかかる印紙税です。

戻らない費用の内訳(シルバーを基準、1リンギ=37.6円)
項目金額備考
参加費(MOTAC)1,000リンギ(約3.8万円)〜200,000リンギ(約752万円)主申請者1回。区分により異なる(シルバー1,000/ゴールド3,000/プラチナ20万リンギ)
申請手続料主申請者5,000リンギ(約18.8万円)+扶養家族1人2,500リンギ(約9.4万円)認可代理店を通じてワンストップセンターに支払う
パス発給料(移民局)年500リンギ(約1.9万円)/人パスの期間分をまとめて支払う(シルバーは5年分2,500リンギ/人)。別途ビザ料50リンギ以下
認可代理店の手数料シルバー・SEZ 40,000リンギ(約150万円)/ゴールド 55,000リンギ(約207万円)/プラチナ 70,000リンギ(約263万円)2024年6月の改定時にMOTACが定めたと報じられた主申請者分の基準額。預り金は総額の20%まで。扶養家族分は代理店により別料金
不動産の印紙税物件価格の8%2026年1月1日から外国人は一律8%(2025年までは4%)。60万リンギの物件なら4万8,000リンギ(約180万円)
健康診断・医療保険数万円〜指定機関での健診と、60歳未満は国内医療保険の加入。年齢と補償額で異なる
更新料1,500リンギ(約5.6万円)〜5,000リンギ(約18.8万円)シルバーは5年ごと、ゴールドは15年ごと、プラチナは20年ごと

代理店手数料は、2024年6月の制度改定時にMOTACが「シルバー4万リンギ、ゴールド5万5,000リンギ、プラチナ7万リンギ」と定めたと報じられ、認可代理店の多くがこの額で案内しています。ただし、この額に手続料やパス発給料、健診の手配などをどこまで含めるかは代理店ごとに違うため、見積書では「政府に払う費用」と「代理店の報酬」を分けて確認してください。

シルバーで単身が移住する場合の試算(住宅60万リンギの地域)

費用感をつかむために、シルバーで単身の日本人が、州の外国人下限が60万リンギ前後の地域に住宅を買う前提で試算します。

シルバー・単身の総額試算(1ドル=153.65円、1リンギ=37.6円)
区分金額性質
定期預金(15万ドル)約2,305万円参加終了時に戻る。承認後に最大50%を住宅購入などに充当可
住宅の購入(60万リンギ)約2,256万円資産として残る。10年間売却不可
拘束される資金の合計約4,561万円定期預金の50%を住宅代金に充てれば、実際に用意する現金は約3,408万円
代理店手数料(4万リンギ)約150万円戻らない
手続料・参加費・パス発給料5年分(8,500リンギ)約32万円戻らない
印紙税8%(4万8,000リンギ)約180万円戻らない
戻らない費用の合計約363万円このほか健康診断、医療保険、住宅売買の弁護士費用・登記費用、渡航費が別途かかる

費用比較でよく見る「MM2Hは2,300万円から」という数字は定期預金だけを指しています。実際には住宅購入が義務のため、用意する資金は最低でも3,400万円台、拘束される資産は4,500万円台と考えておく必要があります。夫婦で申請する場合は、定期預金と住宅は1件分で足りますが、手続料2,500リンギとパス発給料が1人分加わり、代理店手数料も扶養家族分が上乗せされるのが一般的です。

マレーシアの永住権(PR)はいくらで取れるか:MM2Hとの違い

「マレーシア 永住権 いくら」という質問に対する答えは、MM2Hでは永住権は取れず、永住権(Entry Permit)は移民局の別制度で、投資家枠なら定期預金200万ドルが条件です。マレーシアの永住権は、次の5つの枠のいずれかで申請します。

マレーシア永住権(Entry Permit)の主な申請枠
枠主な条件
投資家マレーシア国内の銀行に2,000,000ドル(約3億730万円)以上の定期預金を5年間据え置く。マレーシア国民の保証人が必要
専門家(Expert)医師・弁護士など特定分野の専門家。関係機関の推薦とマレーシア国民の保証人が必要
プロフェッショナルマレーシアの政府機関または企業で3年以上就労。関係機関の証明と推薦、保証人が必要
マレーシア国民の配偶者長期滞在パスで5年以上継続してマレーシアに居住
ポイント制年齢・学歴・滞在年数・収入・投資額・マレー語能力などを120点満点で評価し、65点以上。5年以上の継続居住が前提

投資家枠の200万ドル(約3億730万円)は、MM2Hプラチナの定期預金100万ドルの2倍です。しかも、いずれの枠でもマレーシア国民の保証人が求められ、審査には年単位の期間がかかると案内されています。日本人が現実的に永住権を狙えるのは、マレーシア国民との婚姻か、現地企業での長期就労を経たポイント制に限られます。

この違いは、他国の投資移民制度と比べると分かりやすくなります。ポルトガルのゴールデンビザは5年後に永住権・国籍の申請資格が生まれ、アメリカのEB-5は投資と引き換えに最初から永住権(条件付き)が付与されます。MM2Hは「投資で永住権を買う制度」ではなく、「預金を担保に長く滞在する権利を借りる制度」と理解するのが正確です。永住権・市民権・ビザの違いから整理したい方は、永住権・市民権・ビザ・税務居住地の違いをお読みください。

サラワク州・サバ州の独自プログラム:預金50万リンギ、滞在は州内で年30日

ボルネオ島のサラワク州とサバ州は、連邦のMM2Hとは別に州独自の長期滞在プログラムを運営しています。定期預金がリンギ建てで、連邦のシルバーより少ない額で申請できる一方、居住は原則その州内に限られます。

州独自プログラムの条件(2026年9月時点)
項目サラワク州 S-MM2Hサバ州 Sabah-MM2H(シルバー)
定期預金500,000リンギ(約1,880万円)(配偶者・扶養家族を含めて1件)500,000リンギ(約1,880万円)
年齢30歳以上25歳以上
パスの期間5年(さらに5年更新可)5年(5年更新可)
滞在義務主申請者がサラワク州内に年30日サバ州内に年30日(累計)
不動産購入は任意承認後に600,000リンギ(約2,256万円)以上の高層住宅の購入が必要
政府手数料5,000リンギ(約18.8万円)。パス発給料は年500〜550リンギ/人申請料3,000リンギ(約11.3万円)(更新時1,500リンギ(約5.6万円))
収入要件月収1万リンギ(単身)/1万5,000リンギ(扶養家族あり)、または流動資産10万/20万リンギのいずれか月収1万リンギ(単身)/1万5,000リンギ(扶養家族あり)
制度の時点2025年1月1日改定(2024年10月31日発表)2024年7月開始

サラワク州の制度は2025年1月に定期預金が15万リンギから50万リンギ(約1,880万円)に引き上げられましたが、連邦シルバーの15万ドル(約2,305万円)より低く、不動産の購入義務もありません。「クチンやコタキナバルで暮らす」ことに抵抗がなければ、費用は連邦MM2Hより明らかに軽くなります。ただし、半島側(クアラルンプールなど)に長期で住む目的には使えず、更新の可否も州が判断します。サバ州の制度は2024年7月に始まったばかりで、シルバーでも月収1万リンギ(単身)の収入要件が付くなど連邦の制度と条件の立て付けが違うため、申請時に州観光局の最新資料を確認してください。

日本からの申請手順と必要書類

MM2Hの申請は、MOTACが認可したMM2H事業者を通じて、プトラジャヤのワンストップセンターに提出します。日本にいながら書類を整え、条件付き承認が出てからマレーシアで手続きを完了する流れです。

申請から入国までの流れ
段階内容場所
1. 代理店の選定MOTAC公式サイトの認可代理店一覧で免許を確認し、見積書で「政府費用」と「代理店報酬」を分けて確認する日本
2. 書類の準備パスポートの認証コピー、経歴書、無犯罪証明書(18歳以上)、婚姻・出生の証明(扶養家族がいる場合)、資産の証明。日本語の書類は英訳を添付日本
3. 申請と審査代理店がワンストップセンターに提出。移民局の審査を経て条件付き承認が出る(数か月)マレーシア(代理店経由)
4. 承認後の手続き定期預金の預け入れ、指定機関での健康診断、医療保険の加入、参加費・パス発給料の支払い。期限内に完了するマレーシア
5. パスの発給パスポートにMM2Hパスを貼付。以後、承認条件どおりに住宅を購入し、10年間保有するマレーシア

日本側で用意する書類のうち、無犯罪証明書(警察証明書)は住所地の都道府県警察本部で無料で発行され、英文併記のため翻訳は不要です。戸籍謄本や預金残高証明書などの日本語の書類には、翻訳者の証明が付いた英訳を添付します。マレーシアの手続きでは外務省のアポスティーユは通常求められませんが、代理店やマレーシア側の担当者が認証コピーを求めることがあるため、原本とコピーの両方を手元に置いておくと手続きが止まりません。当事務所では戸籍謄本・残高証明書などの英訳と認証、海外からの戸籍謄本の取り寄せを扱っています。

税務面では、MM2Hを取得しても自動的に日本の非居住者になるわけではありません。年間の滞在日数や生活の本拠の置き方によって日本の課税が続くこと、一定額以上の有価証券を持つ人は出国時に出国税の対象になることは、申請前に確認が必要です。詳しくは海外移住の税金と住民票の手続きと出国税と6億円・30億円ラインの解説で整理しています。なお、日本のパスポートではビザなしで90日まで滞在できるため、年に3か月以内の滞在であればMM2Hを取らなくても暮らせます。MM2Hが必要になるのは「年90日を超えて滞在したい」「銀行口座や住宅を長期で持ちたい」場合です。

よくある質問

MM2Hのビザで働くことはできますか?

シルバーとゴールドでは就労・事業・投資活動は認められていません。プラチナのみ事業・投資・就労が可能です。マレーシアで働く目的なら、雇用パスなど就労系の在留資格を検討してください。

定期預金はいつ戻りますか?

参加を終了しパスを返納したときに全額戻ります。参加期間中は、承認後に元本の最大50%を住宅購入・教育・医療・国内観光の目的で引き出せますが、残りは拘束されます。利息はマレーシアの銀行の定期預金金利で付きます。

不動産は必ず買わなければなりませんか?

2024年の新制度では、承認後に区分ごとの最低額以上の住宅を購入することが義務で、購入後10年間は売却できません(より高額な住宅への買い替えは認められます)。加えて、州ごとに外国人の最低購入価格が定められているため、住みたい州の下限がシルバーの60万リンギより高い場合は、州の下限が優先されます。

50歳以上なら滞在義務はありませんか?

MOTACの公式ガイドラインは「50歳未満の参加者は年90日(累計)の滞在が必要」と定めており、50歳以上には日数の規定がありません。ただし更新時には、定期預金の維持、健康診断、医療保険の加入が改めて確認されます。

MM2Hから永住権や国籍は取れますか?

取れません。2024年6月に観光芸術文化大臣が、新制度の参加者は永住権を申請できないと明言しています。永住権は移民局の別制度(Entry Permit)で、投資家枠は定期預金200万ドル、その他の枠も5年以上の居住とマレーシア国民の保証人が前提です。

収入や年金の証明は必要ですか?

2024年の新制度の公式要件に月収の下限はなく、定期預金の額が中心的な条件です。旧制度にあった「月収4万リンギ以上」の要件は廃止されました。ただし、代理店や審査の過程で資金の出所を示す書類(預金残高証明、確定申告書など)の提出を求められます。

まとめ:MM2Hは「預金を担保に長く住む権利」。永住権とは分けて考える

マレーシアMM2Hの条件は、25歳以上、定期預金(シルバー15万ドル)、承認後の住宅購入(60万リンギ以上・10年保有)、50歳未満は年90日の滞在の4点に集約されます。費用は、拘束される資金が約4,561万円、戻らない費用が代理店手数料と印紙税を中心に約363万円からです。永住権は別制度で、投資家枠は定期預金200万ドル、他の枠は5年以上の居住が前提のため、「投資で永住権を買う」目的にはMM2Hは向きません。

他の国の長期滞在ビザ・永住権と比べてどうか

MM2Hの特徴は、投資額そのものは戻る一方で、住宅購入の義務と10年の保有制限があることです。ポルトガルは月920ユーロの収入で申請できるD7ビザなど、預金ではなく収入で判断する居住ビザが中心で、5年で永住権の申請資格が生まれます。アメリカのEB-5は80万ドルの投資が必要ですが、最初から永住権が付与されます。詳しくはポルトガル移住のビザの種類と条件とアメリカ永住権(グリーンカード)の金額で解説しています。各国の最低費用は海外の永住権はいくら?世界各国の投資額・申請手数料で一覧にしています。同じ東南アジアではタイも比較されますが、タイは滞在日数と年齢で使えるビザが変わり、永住権の申請区分にリタイアメントがありません。違いはタイ移住の条件と費用で整理しています。マレーシアでの暮らし・生活費・インターナショナルスクールの学費・住む都市の選び方は、マレーシア移住の条件と費用にまとめています。

当事務所では、マレーシアを含む各国の永住権・長期滞在ビザの比較相談と、申請に必要な日本の書類の英訳・認証・戸籍の取り寄せに対応しています。MM2Hが目的に合うか、サラワク州の制度や他国の居住ビザと比べて整理したい方は、無料相談をご利用ください。しつこい営業は一切いたしません。

参考(一次情報・出典)

本記事の条件・費用は2026年9月14日時点。円換算は1ドル=153.65円、1リンギ=37.6円。

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