在職証明書など私文書のアポスティーユ|公証役場→法務局→外務省の流れ・手数料・必要書類

在職証明書、推薦状、銀行の残高証明書、委任状、翻訳文のように、会社や個人が作成した書類を私文書といいます。私文書には外務省が確認できる公印がないため、外務省に直接出してもアポスティーユは付きません。まず公証役場で公証人の認証を受け、次に法務局長の公証人押印証明、最後に外務省のアポスティーユ(非締約国向けは公印確認+駐日大使館の領事認証)という3段階で手続きします。東京都・大阪府など8つの地域の公証役場では、この3段階をワンストップで一度に済ませられます。本記事では、日本公証人連合会と外務省の公表情報にもとづき、公文書との見分け方、公証役場での認証の方法、必要書類、手数料、提出国ごとの注意点までを整理します。

※本記事は、日本公証人連合会「私署証書の認証」「外国文認証」「手数料」の各ページ、外務省「公印確認・アポスティーユ」各ページ(2026年9月18日更新)などをもとにした2026年10月1日時点の一般的な解説です。提出先が求める認証の種類(署名の認証・宣誓認証・面前認証など)、書類の様式、翻訳の要否は国や機関ごとに異なるため、必ず提出先の指示を確認してください。

結論:私文書は「公証役場→法務局→外務省」の順で認証する

外務省がアポスティーユや公印確認で証明するのは、日本の官公署が発行した公文書の公印です。会社や個人が作成した私文書には公印がないため、公証人がまず「この署名(記名押印)は本人のものである」と認証し、その公証人の印を法務局長が、さらに法務局長の印を外務省が証明する、という順番で認証をつなげます。

私文書の認証ルート(提出先がハーグ条約の締約国かどうかで最後が変わる)
提出先手続きの順番一度に済ませられる地域
ハーグ条約の締約国公証役場で公証人の認証 → 法務局長の公証人押印証明 → 外務省のアポスティーユ北海道(札幌法務局管内)・宮城県・東京都・神奈川県・静岡県・愛知県・大阪府・福岡県の公証役場は、アポスティーユ付きの認証文書をその場で作成(法務局・外務省へ行く必要なし)
非締約国(UAE・カタールなど)公証役場で公証人の認証 → 法務局長の公証人押印証明 → 外務省の公印確認 → 駐日大使館・領事館の領事認証上記8地域の公証役場は、法務局長と外務省の証明まで付けた認証文書を作成。その後、大使館の領事認証だけ受ければよい(国交のない国・地域を除く)

提出先が締約国かどうかはハーグ条約加盟国一覧で確認できます。ベトナムは2026年9月11日から締約国です(ベトナム向け文書)。タイは2027年2月28日にアポスティーユへ切り替わるため、それまでは公印確認+領事認証です(タイ向け文書)。

公文書と私文書の見分け方

外務省が直接証明できるのは、発行日・発行機関名が記載され、公印が押された公文書だけです。会社・私立病院・銀行・個人など民間が作成した書類は私文書で、署名や個人の印鑑だけが押された書類も対象外です。さらに外務省は、学校や病院が発行する在職証明(国公立を含む)や、商工会議所の書類(原産地証明など)も直接の証明の対象外としています。これらは公証役場の認証を受ければ、外務省の証明に進めます。

海外提出でよく使う書類の区分(目安)
書類区分認証ルート
在職証明書・退職証明書(会社・私立病院など)私文書公証役場 → 法務局 → 外務省
在職証明書(学校・病院が発行。国公立を含む)外務省の直接証明の対象外公証役場 → 法務局 → 外務省
推薦状・紹介状・雇用契約書・給与証明書私文書公証役場 → 法務局 → 外務省
銀行の残高証明書・取引証明書私文書(銀行は民間)公証役場 → 法務局 → 外務省
会社の定款(会社保管の写し)・決算書・議事録・社内規程私文書代表者の宣言書を付けて公証役場 → 法務局 → 外務省
委任状(POA)・同意書(子の渡航同意書など)・宣誓供述書私文書公証役場 → 法務局 → 外務省(宣誓供述書は宣誓認証)
翻訳文(公文書の訳文を含む)私文書翻訳者の宣言書で公証役場 → 法務局 → 外務省
戸籍謄本・住民票・会社謄本・納税証明書など公文書外務省で直接。訳文を付ける場合は宣言書で公証ルート
卒業証明書・成績証明書学校の種類と提出先で異なる国公立大学法人・私立大学・私立高校はアポスティーユ不可(公印確認は可)、私立の専門学校は公印確認も不可 → 公証ルートが必要な場合あり

公文書の個別の扱いは、戸籍謄本、住民票・印鑑証明書、会社謄本、卒業証明書(国公立・私立別の可否一覧)の各記事で解説しています。卒業証明書は、外務省が直接アポスティーユを付けられない学校が多く、その場合は本記事と同じ公証ルートになります。

公証役場での認証の方法:署名の認証と宣言書

公証人の認証は、私文書の署名(署名押印・記名押印)が作成者本人のものであることを証明するもので、書類の内容が正しいことまで保証するものではありません。そのため、認証の対象になるのは作成者の署名か記名押印がある書類に限られます。私文書の認証の方法は、大きく次の2つです。

方法1:作成者が署名した書類そのものを認証する

在職証明書なら会社の代表者(または権限のある役職者)、推薦状なら推薦者、委任状なら委任者が署名・押印した書類に、公証人が認証文を付けます。署名の確認方法には、公証人の目の前で署名する目撃認証(面前認証)、すでにした署名を本人が公証人の前で自分のものと認める自認認証、委任状を受けた代理人が代わりに自認する代理認証があります。

日本の法律上は代理認証も有効ですが、提出先の国の機関によっては代理認証を認めず、署名者本人による面前認証を求めることがあります。「Affidavit」の表題や「swear」「take an oath」などの文言がある書類は、内容が真実であると公証人の前で宣誓する宣誓認証を求められていることが多く、宣誓認証は本人が公証役場に出向く必要があります。どの方法が必要かを提出先に確認し、公証人に正確に伝えることが大切です。

方法2:宣言書(Declaration)を付けて認証する

書類の作成者が署名できない場合や、書類の写しを提出する場合は、依頼者などが「添付の書類は原本の真正な写しであり、記載内容は事実である」といった内容の宣言書を作って署名し、宣言書に書類を添付して公証人の認証を受けます。日本公証人連合会も、会社の代表取締役など証明者にふさわしい役職の人が宣言書や証明書(Certificate)を作り認証を受ける方法を、実務上の方法として紹介しています。

訳文を付ける場合は、翻訳者が「日本語と外国語に堪能で、添付の書類を誠実に翻訳した」と宣言する翻訳者の宣言書に、訳文と原本(または写し)を添付して認証を受けます。宣言書は私文書なので、公文書の訳文にもこの方法が使えます。公証人の認証文は日本語で作られますが、ほとんどの公証役場は英語の訳文を添付してくれます。

公証役場に持っていくもの(必要書類)

公証役場では、署名者本人であることを確認するための書類が必要です。会社名義の書類と、代理人が手続きする場合は書類が増えます。

私文書の認証に必要な書類(日本公証人連合会の案内より)
署名者・手続きする人必要なもの
個人(本人が出向く)印鑑登録証明書+実印、または運転免許証・マイナンバーカード・パスポート・在留カードなど顔写真付きの身分証+認印
会社・法人(代表者が出向く)代表者の資格証明書または登記事項証明書、会社の代表者印と法人の印鑑証明書(いずれも発行後3か月以内)
代理人が出向く(代理認証)署名者本人が実印を押した委任状+本人の印鑑登録証明書(会社なら代表者印と法人の印鑑証明書)、代理人の身分証と印鑑
認証を受ける書類署名または記名押印済みの書類。署名を公証人の面前でする場合は未署名のまま持参

代表者以外の役職者(人事部長など)が会社名義の在職証明書に署名する場合は、その人の権限を示す書類を求められることがあります。持ち物は公証役場ごとに細かく違うため、事前に電話で確認してください。

公証人の手数料(2025年10月1日改定後)

公証人の手数料は公証人手数料令で決まっていて、全国どの公証役場でも同じです。2025年10月1日に改定され、私文書の認証は1通あたり次の額になりました。法務局長の公証人押印証明と外務省のアポスティーユ・公印確認は無料です。

私文書の認証にかかる公証人の手数料(1通あたり)
認証する書類日本語外国語(6,000円加算)
在職証明書・推薦状・宣言書など金額の記載がない書類6,500円12,500円
委任状4,000円10,000円
宣誓認証(宣誓供述書・Affidavit)11,000円17,000円
契約書など金額の記載がある書類最大11,000円(公正証書にした場合の手数料の半額が11,000円を下回るときはその額)左の額+6,000円
私署証書の謄本の認証5,000円(定額)公証役場に確認

改定前(2025年9月30日まで)は、外国文の私文書が11,500円、日本語の私文書が5,500円、外国文の委任状が9,500円、日本語の委任状が3,500円でした(手数料改定のお知らせ)。書類を認証してもらう単位は宣言書や書類1つにつき1通で、在職証明書と推薦状を別々に認証すれば2通分の手数料がかかります。

在職証明書を作るときの注意点

海外のビザ・就労許可・永住権・資格認定などでは、在職証明書(Certificate of Employment)に公証とアポスティーユを求められることがよくあります。会社に作ってもらう前に、次の点を確認しておくと手戻りを防げます。

  • 提出先の指定様式・記載事項:在籍期間、役職、職務内容、勤務時間(フルタイムか)、給与などを求められることが多い。指定がある場合はそれに合わせる
  • 会社の情報:会社名・所在地・電話番号を記載し、会社のレターヘッドを使う。発行日を必ず入れる
  • 署名者:代表者が署名・押印すると公証役場での確認が簡単(代表者の資格証明と法人の印鑑証明書で足りる)
  • 言語:最初から英文で作るか、日本語の在職証明書に翻訳者の宣言書で訳文を付けるか。提出先が「原本は英語」「公認翻訳者の訳」などを指定していないか確認する
  • 提出先が求める認証の方法:署名の認証で足りるか、宣誓認証・面前認証まで必要か
  • 有効期限:私文書に外務省の「発行3か月以内」の制限はないが、提出先が「発行後3か月以内」などと定めていることが多い

退職済みで会社に新しく証明書を出してもらえない場合や、会社が海外にある場合は、手元の書類の写しに本人の宣言書を付ける方法で受け付けてもらえるか、提出先に確認します。

提出国ごとの注意点

提出国ごとの私文書の扱い(2026年10月時点)
提出先認証注意点
中国アポスティーユ(2023年11月7日〜)就労許可・会社手続きで在職証明書・委任状を求められることが多い。中国語訳の要件(中国国内の翻訳会社指定など)を先に確認。中国向け委任状
韓国アポスティーユ不動産・相続・会社手続きの委任状が多い。韓国向け委任状
アメリカ・オーストラリア・イギリスなどアポスティーユAffidavit の形式を指定されることがある。宣誓認証・面前認証の要否を確認
ベトナムアポスティーユ(2026年9月11日〜)就労許可で在職証明書(経験証明)が求められる。ベトナム向け文書
タイ2027年2月27日まで公印確認+領事認証、2027年2月28日からアポスティーユ切り替え前後で必要な認証が変わる。タイ向け文書
UAE・カタールなど非締約国公印確認+駐日大使館の領事認証大使館の手数料と日数が別途かかる。国別の案内

当事務所の代行:宣言書の作成から公証・アポスティーユ・海外発送まで

当事務所(東京・麻布十番のロイヤルパートナーズ行政書士事務所)では、在職証明書・推薦状・残高証明書・委任状などの私文書のアポスティーユ・領事認証を、全国・海外からお受けしています。宣言書や委任状の作成、公証役場での認証、法務局の公証人押印証明、外務省のアポスティーユまでを当事務所が代わりに行うため、お客様が公証役場に出向く必要はありません(提出先が面前認証や宣誓認証を求める場合を除きます)。

料金(1件あたり)
サービス料金
アポスティーユ取得代行(私文書を含む)16,000円+税(税込17,600円)。宣言書・委任状の作成、公証役場での認証、法務局の公証人押印証明、アポスティーユの申請代行を含む
領事認証取得代行(公印確認+駐日大使館)26,000円+税(税込28,600円)
書類が2通以上の場合の加算2通目以降1通につき3,000円+税(税込3,300円)
翻訳(英語・中国語)A4サイズ1枚あたり3,500円+税(税込3,850円)〜
公証人の認証公証役場の手数料実費(外国語の宣言書12,500円)
PDFデータ化(スキャンデータのメール送付)900円+税(税込990円)
国内返送(レターパックライト)450円
海外発送(DHL、FedEx、EMS)3,000円+税+送料実費

納期の目安は、ご入金と原本が当事務所にそろった日から、訳文を付けない場合は公証役場でアポスティーユを取得して平日3営業日以内、訳文を付ける場合は翻訳3営業日程度(枚数によります)+公証役場でのアポスティーユ3営業日で合計平日5〜6営業日程度で発送します。領事認証は大使館の日数が加わります。翻訳は英語・中国語に対応しています。ほかの言語は、原本の認証のみをお受けし、訳文は提出先の国で付けていただくか、翻訳者の手配をご相談ください。詳しくはご利用料金をご覧ください。

提出先の国と機関、書類の種類(在職証明書・推薦状・委任状など)、提出先が指定する認証の方法をお知らせいただければ、必要な手続きと総額、納期をお見積りします。

よくある質問

会社の在職証明書をそのまま外務省に送ってもアポスティーユは付きませんか?

付きません。会社が発行した在職証明書は私文書で、外務省が確認できる公印がないためです。先に公証役場で公証人の認証を受け、法務局長の公証人押印証明を経てから外務省に申請します。東京都・大阪府などワンストップ対応の公証役場なら、公証人の認証と同時にアポスティーユまで付きます。

公証人は在職証明書の内容が正しいことを証明してくれるのですか?

いいえ。公証人の認証は、署名や記名押印が作成者本人のものであることを証明するもので、内容の正しさを保証するものではありません。内容が事実と違う書類を作ると、提出先での不許可や虚偽申請の問題になるため、記載内容は会社と本人で確認してください。

本人が公証役場に行かなければいけませんか?

日本の法律上は、署名者の委任状と印鑑登録証明書があれば代理人による代理認証ができ、当事務所が代わりに手続きします。ただし、提出先が面前認証(署名者本人が公証人の前で署名)や宣誓認証を求める場合は、本人が公証役場に出向く必要があります。

大学の卒業証明書も同じ手続きですか?

提出先と学校の種類によります。外務省は、国公立大学法人・私立大学・私立高校の証明書に公印確認はできてもアポスティーユは付けられず、私立の専門学校の証明書はどちらも対象外としています。アポスティーユが必要な場合は、多くの学校で公証役場の認証から手続きします。詳しくは卒業証明書のアポスティーユをご覧ください。

銀行の英文残高証明書にもアポスティーユが付きますか?

銀行は民間の会社なので、残高証明書は私文書です。公証役場の認証を経れば、法務局・外務省の手続きに進めます。銀行の署名者本人が公証役場に行くことは通常ないため、依頼者の宣言書に残高証明書を添付して認証を受ける方法がよく使われます。提出先がこの形を受け付けるか、事前に確認してください。

海外に住んでいますが、日本の会社の在職証明書の認証を依頼できますか?

できます。会社から当事務所に原本を送っていただくか、お客様経由で原本をお送りください。認証済みの書類はDHL・FedEx・EMSで海外へ発送します。外務省は海外からの郵送申請を受け付けないため、日本国内の代理人を通して手続きします。

在職証明書と推薦状をまとめて依頼すると料金はどうなりますか?

アポスティーユ取得代行16,000円+税に、2通目以降は1通につき3,000円+税の加算です。公証人の手数料は書類(宣言書)ごとにかかります。書類の種類と通数、提出先をお知らせいただければ総額をお見積りします。

まとめと依頼方法

  • 在職証明書・推薦状・残高証明書・委任状・翻訳文などの私文書は、外務省へ直接出してもアポスティーユは付かない
  • 手続きは公証役場の認証 → 法務局長の公証人押印証明 → 外務省のアポスティーユ(非締約国は公印確認+領事認証)。8地域の公証役場はワンストップ
  • 公証人が証明するのは署名が本人のものであることで、内容ではない。作成者の署名がない書類や写しは宣言書を付けて認証する
  • 公証人の手数料は外国語の私文書12,500円、外国語の委任状10,000円など(2025年10月1日改定後)。法務局・外務省は無料
  • 提出先が面前認証・宣誓認証・指定様式・翻訳者の要件を定めていないか、先に確認する

提出先の国と用途、書類の種類と通数、訳文の要否をお知らせいただければ、手続きと総額、納期をお見積りします。

参考(一次情報・出典)

本記事の手数料・手続きは2026年10月1日時点の公表情報にもとづきます。公証人の手数料は公証人手数料令の改定(2025年10月1日施行)後の額です。

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