海外に提出する日本の書類は、提出先の国が「外国公文書の認証を不要とする条約」(ハーグ条約、認証不要条約)の締約国であれば外務省のアポスティーユだけで使えます。締約国でない場合は、外務省の公印確認のあとに提出先の国の駐日大使館・総領事館で領事認証を受けます。

2026年9月時点の締約国は129か国で、外務省の一覧にはこれに香港・マカオを加えた131の国・地域が載っています。2026年にはアルジェリア(7月9日発効)とベトナム(9月11日発効)が新たに加わりました。タイは2026年6月30日に加入手続きを終え、2027年2月28日に発効する予定です(発効までは領事認証が必要です)。この記事では、締約国の50音順一覧、最近加盟した国と発効日、そしてご依頼の多い非加盟国での手続きをまとめます。

※本記事は、外務省「『外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)』の締約国(地域)」(2026年9月11日更新)と、ハーグ国際私法会議(HCCH)の締約国表(2026年6月30日更新)をもとにしています。加盟状況は変わるため、申請前に外務省の一覧で最新の状態をご確認ください。

ハーグ条約の締約国かどうかで手続きが変わる

日本の公文書を外国で使うには、その書類が本物であることを提出先の国に示す必要があります。ハーグ条約は、この確認を「アポスティーユ」という外務省の証明1つで済ませる仕組みです。

提出先の国 外務省で受ける証明 その後の手続き
ハーグ条約の締約国 アポスティーユ 不要。そのまま提出先で使える
締約国でない国 公印確認 提出先の国の駐日大使館・総領事館で領事認証

締約国かどうかは、下の一覧で確認できます。なお、締約国であっても提出先から領事認証を求められることがあります(後述)。提出先の指示が「アポスティーユ」か「領事認証」かを先に確認しておくと手戻りがありません。

「ハーグ条約」という名前の条約はほかにもあります(国際的な子の連れ去りに関する条約など)。この記事で扱うのは、書類の認証に関する1961年の条約です。

ハーグ条約の締約国(地域)一覧:50音順

外務省の一覧(2026年9月11日更新)に沿って、表記も外務省に合わせています。全131の国・地域です。

ア行(26) アイスランド・アイルランド・アゼルバイジャン・アメリカ合衆国・アルジェリア・アルゼンチン・アルバニア・アルメニア・アンティグア・バーブーダ・アンドラ・イギリス(英国)・イスラエル・イタリア・インド・インドネシア・ウクライナ・ウルグアイ・ウズベキスタン・エクアドル・エストニア・エスワティニ(旧スワジランド)・エルサルバドル・オーストラリア・オーストリア・オマーン・オランダ

カ行(15) カーボベルデ・ガイアナ・カザフスタン・カナダ・北マケドニア・キプロス・ギリシャ・キルギス・グアテマラ・クック諸島・グレナダ・クロアチア・コスタリカ・コソボ・コロンビア

サ行(19) サウジアラビア・サモア・サンマリノ・サントメ・プリンシペ・ジャマイカ・ジョージア・シンガポール・スイス・スウェーデン・スペイン・スリナム・スロバキア・スロベニア・セーシェル・セネガル・セルビア・セントクリストファー・ネービス・セントビンセント・セントルシア

タ行(13) 大韓民国・タジキスタン・チェコ・中華人民共和国・チュニジア・チリ・デンマーク・ドイツ・ドミニカ共和国・ドミニカ国・トリニダート・トバゴ・トルコ・トンガ

ナ行(6) ナミビア・ニウエ・ニカラグア・日本・ニュージーランド・ノルウェー

ハ行(31) バーレーン・パキスタン・パナマ・バヌアツ・バハマ・パラオ・パラグアイ・バルバドス・ハンガリー・バングラデシュ・フィジー・フィリピン・フィンランド・ブラジル・フランス・ブルガリア・ブルネイ・ブルンジ・ベトナム・ベネズエラ・ベラルーシ・ベリーズ・ペルー・ベルギー・ボスニア・ヘルツェゴビナ・ボツワナ・ポーランド・ボリビア・ポルトガル・香港特別行政区・ホンジュラス

マ行(12) マーシャル諸島・マカオ特別行政区・マラウイ・マルタ・南アフリカ共和国・メキシコ・モーリシャス・モナコ・モルドバ・モロッコ・モンゴル・モンテネグロ

ラ行(9) ラトビア・リトアニア・リヒテンシュタイン・リベリア・ルクセンブルク・ルーマニア・ルワンダ・レソト・ロシア

タ行の「大韓民国」は韓国、「中華人民共和国」は中国本土です。香港とマカオは中国の特別行政区ですが、外務省の一覧では別に載っています。いずれもアポスティーユで提出できます。

締約国の海外領土でも使える地域

外務省は、上の締約国のほかに次の海外領土(県)でもアポスティーユが使えるとしています。

本国 対象の海外領土
フランス グアドループ島、仏領ギアナ、マルチニーク島、レユニオン、ニューカレドニア、ワリス・フテュナ諸島、サンピエール島、ミクロン島、仏領ポリネシア
ポルトガル 全海外領土
オランダ アルバ島、キュラサオ島、シント・マールテン島
イギリス(英国) ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バーミューダ諸島、フォークランド諸島、ジブラルタル、モンセラット、セントヘレナ諸島、アンギラ、タークス・カイコス諸島、英領バージン諸島

最近加盟した国と発効日(2022年以降)

「以前は領事認証が必要だった」と記憶している国が、いまはアポスティーユで済むことがあります。2022年以降に条約が発効した国は次のとおりです(発効日はHCCHの締約国表による)。

国 発効日 補足
インドネシア 2022年6月4日
サウジアラビア 2022年12月7日
パキスタン 2023年3月9日
セネガル 2023年3月23日
中華人民共和国(中国本土) 2023年11月7日 香港・マカオは以前から対象
カナダ 2024年1月11日
ルワンダ 2024年6月5日
バングラデシュ 2025年3月30日
アルジェリア 2026年7月9日
ベトナム 2026年9月11日 外務省の一覧(2026年9月11日更新)に掲載済み

発効日より前に提出先へ届く書類は、従来どおり領事認証が求められる場合があります。発効日の前後に手続きをする場合は、提出先にどちらの方法でよいかを確認してください。

加入手続きは済んでいるが、まだ発効していない国:タイ

タイは2026年6月30日にHCCHへ加入書を寄託し、条約は2027年2月28日に発効する予定です(HCCH締約国表)。発効までは締約国ではないため、タイに提出する書類は従来どおり、外務省の公印確認のあとに駐日タイ大使館で領事認証を受けます。外務省の締約国一覧にも、2026年9月11日時点ではタイは載っていません。

発効日以降はアポスティーユで提出できる見込みです。切り替え直後は提出先の運用が定まっていないことがあるため、2027年2月前後に提出する場合は提出先の案内を確認するか、当事務所にご相談ください。

ご依頼が多い非加盟国:領事認証が必要な国

次の国・地域はハーグ条約の締約国ではないため、原則として外務省の公印確認(私文書は公証役場の認証を経てから)を受けたうえで、駐日大使館・総領事館などで領事認証を受けます。大使館ごとに受付方法・必要書類・手数料・所要日数が異なり、台湾のように外務省の公印確認を経ない例もあります。

国・地域 手続きの流れ 当事務所の案内ページ
タイ 公印確認 → 駐日タイ大使館で領事認証(2027年2月28日にアポスティーユへ移行予定) 無料相談フォーム
マレーシア 公印確認 → 駐日マレーシア大使館で領事認証 マレーシア向け文書の認証
ミャンマー 公印確認 → 駐日ミャンマー大使館で領事認証 ミャンマー向け文書の認証
カンボジア 公印確認 → 駐日カンボジア大使館で領事認証 ―
アラブ首長国連邦(UAE・ドバイ) 公印確認 → 駐日UAE大使館で領事認証 UAE向け文書の認証
カタール 公印確認 → 駐日カタール大使館で領事認証 カタール向け文書の認証
エジプト 公印確認 → 駐日エジプト大使館で領事認証 ―
キューバ 公印確認 → 駐日キューバ大使館で領事認証 キューバ向け文書の認証
台湾 公文書はそのまま、私文書は公証役場の認証を受けてから、台北駐日経済文化代表処で認証(外務省の公印確認は不要) ―

台湾は条約に加入していないため、駐日大使館の役割を担う台北駐日経済文化代表処で認証を受けます。ほかの非加盟国と異なり、外務省の公印確認は不要で、公文書(発行機関の公印があるもの)は発行された書類をそのまま、私文書や公印のない書類は公証役場で公証人の認証を受けたうえで代表処に申請します(台北駐日経済文化代表処「個人名義の認証」)。国ごとの詳細は国別:アポスティーユ・領事認証取得代行をご覧ください。

締約国でも注意が必要なケース

提出先から領事認証を求められる場合 締約国であっても、提出先の機関の内規で駐日大使館の領事認証を求められることがあります。外務省は、その場合は公印確認を受けられるとしています。提出先の指示に従ってください。

アポスティーユが付かない書類 私立大学や法人化した国公立大学の卒業証明書などは、締約国向けであっても外務省では公印確認しか受けられません。この場合は公証役場で公証人の認証と法務局長の押印証明を受けてからアポスティーユを取得します(ワンストップサービスの公証役場では一度に受けられます)。詳しくは卒業証明書のアポスティーユ|国公立・私立・専門学校別の可否一覧で解説しています。

発効日の前後 新たに加盟した国では、発効日より前は領事認証、発効日以降はアポスティーユと手続きが切り替わります。切り替わりの時期に提出する場合は、提出先にどちらで受け付けるかを確認してください。

よくある質問

ベトナムに提出する書類は、いまはアポスティーユでよいのですか?

はい。ベトナムについては2026年9月11日に条約が発効し、外務省の締約国一覧(2026年9月11日更新)にも載っています。それまで必要だった駐日ベトナム大使館の領事認証は、原則として不要になります。ただし、提出先の機関が独自に領事認証を求める場合は、その指示に従ってください。卒業証明書が私立大学や法人化した国公立大学のものであれば公証役場を経由する必要があり、犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)は開封せずに申請します。ベトナム語訳の要否は提出先に確認してください。詳しくはベトナム向け文書のアポスティーユ取得代行【2026年9月11日から領事認証は原則不要】をご覧ください。

タイに提出する書類はどうすればよいですか?

2026年9月時点では、タイはまだ締約国ではありません。外務省で公印確認を受けたあと、駐日タイ大使館で領事認証を受けます。条約は2027年2月28日に発効する予定で、発効日以降はアポスティーユで提出できる見込みです。切り替え直後は提出先の運用を確認してください。駐日タイ大使館の予約・料金・英訳の要件はタイ向け文書の領事認証・アポスティーユ取得代行で解説しています。

中国向けの書類にも、まだ領事認証が必要ですか?

中国本土については2023年11月7日に条約が発効しており、アポスティーユで提出できます。香港・マカオはそれ以前から対象です。ただし、中国の提出先によっては中国語の翻訳や、翻訳文の認証を求められることがあります。詳しくは中国向け書類のアポスティーユ・翻訳をご覧ください。

加盟国なのに、提出先から「大使館の認証を取ってください」と言われました

締約国でも、提出先の内規で領事認証を求められることがあります。この場合は、外務省でアポスティーユではなく公印確認を受け、駐日大使館で領事認証を受けます。外務省も、提出先から領事認証を求められている場合は公印確認を受けられるとしています。

締約国の数は何か国ですか?

HCCHの締約国表では2026年6月30日時点で130か国です。このうちタイはまだ発効していないため、効力のある締約国は129か国です。外務省の一覧は、これに香港・マカオを加えた131の国・地域を載せています。

まとめと依頼方法

  • 提出先が締約国ならアポスティーユだけで使える。締約国でなければ公印確認と駐日大使館の領事認証が必要
  • 2026年にアルジェリア(7月9日)とベトナム(9月11日)が加盟。タイは2027年2月28日に発効予定
  • マレーシア・ミャンマー・カンボジア・UAE・カタール・エジプト・キューバは非加盟で、公印確認と大使館の領事認証が必要。台湾は台北駐日経済文化代表処の認証(公印確認は不要)
  • 締約国でも提出先が領事認証を求めることがあるため、提出先の指示を先に確認する

アポスティーユ・領事認証のご依頼

ロイヤルパートナーズ行政書士事務所では、提出先の国に応じて次の手続きを代行しています。

  • 外務省の公印確認・アポスティーユの取得
  • 駐日大使館・総領事館の領事認証の取得(非加盟国向け)
  • 公証役場での認証(私文書、アポスティーユが付かない書類)
  • 書類の翻訳と海外への発送

提出先の国と書類の種類をお知らせいただければ、必要な手続きを判断してお見積りいたします。


参考(一次情報・出典)

※本記事の情報は2026年9月24日時点のものです。

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