定款の英訳(Articles of Incorporation)・議事録の英訳とアポスティーユ|公証役場の手続きと費用

海外での子会社の設立、現地の銀行口座の開設、外国の取引先との契約などで、日本の会社の定款や株主総会・取締役会の議事録を、英訳とアポスティーユを付けて出すよう求められることがあります。定款や議事録は会社が作った私文書なので、外務省に直接は出せません。一般的には、代表者が「添付の写しは原本と相違ない」と書いた宣言書に署名し、公証役場で認証を受けてから、法務局と外務省の証明を受けます。英訳を付けるときは、英訳も一緒に綴じて認証を受けます。このページでは、定款・議事録の写しの用意のしかた、公証役場で必要なもの、費用、英訳の注意点を整理します。

※本ページは、外務省「申請手続きガイド」「公印確認・アポスティーユとは」、日本公証人連合会「外国文認証」「必要書類」「手数料」、公証人手数料令、商業登記法、東京法務局・名古屋法務局の案内、ジェトロ「シンガポールの会社設立手続き」をもとに、2026年10月20日時点で作成しています。認証の方法や手数料の扱いは公証役場によって違うことがあるため、事前に公証役場と提出先に確認してください。

結論:会社の書類は「公文書」と「私文書」で取り方が違う

書類種類アポスティーユの取り方
履歴事項全部証明書(会社謄本)公文書(法務局が発行)日本語の原本(発行から3か月以内)なら外務省で直接。英訳を付けるなら公証役場から
法人の印鑑証明書公文書(法務局が発行)履歴事項全部証明書と同じ扱いが一般的(発行から3か月以内。事前に外務省に確認)
定款(原始定款・現行定款)私文書(会社が作成)代表者の宣言書を付けて公証役場 → 法務局 → 外務省
株主総会議事録・取締役会議事録私文書(会社が作成)定款と同じ
英訳(どの書類でも)私文書原本と英訳を綴じ、翻訳者か代表者の宣言書を付けて公証役場から

北海道(札幌法務局管区内)・宮城・東京・神奈川・静岡・愛知・大阪・福岡の公証役場では、公証人の認証・法務局の押印証明・外務省のアポスティーユを一度に受けられます(ワンストップサービス)。ハーグ条約に入っていない国に出す場合は、アポスティーユではなく外務省の公印確認と、その国の大使館・領事館の領事認証が必要です(公印確認・領事認証とアポスティーユの違い)。

会社謄本の取り方は履歴事項全部証明書(会社謄本)のアポスティーユで解説しています。このページでは定款と議事録を中心に説明します。

定款の写しを用意する

原始定款と現行定款の違い

原始定款現行定款
内容会社を設立したときの定款設立後の変更をすべて反映した、いまの定款
公証人の認証株式会社は設立時に公証人の認証を受ける(合同会社は不要)変更のたびに公証人の認証を受けることはない
写しのありか会社の保管分、認証した公証役場の保存分会社の保管分

設立後に商号・目的・本店・株式などを変えていれば、原始定款はいまの会社の姿と違います。海外の提出先が求めるのは、ふつうは現行定款です。どちらが必要かを確認してください。

どこで写しを取るか

  • 会社の保管分を使う:最も一般的です。現行定款を印刷し、代表者が「原本と相違ない」と宣言する形で認証を受けます
  • 公証役場の保存分を使う:原始定款は、認証した公証役場に原則20年保存されています。書面の定款なら謄本を、電子定款なら「同一の情報の提供」(書面での交付も選べます)を請求できます。請求できる人や手数料は、認証を受けた公証役場に確認してください
  • 法務局:登記の申請に付けた書類は、利害関係のある人が閲覧を請求できるだけで(商業登記法11条の2)、写しの交付は受けられません。保存期間を過ぎると閲覧もできないことがあります

公証役場での認証の流れ

  1. 提出先の指示を確認する:現行定款か原始定款か、どの議事録か、英訳を付けるか、アポスティーユが必要か
  2. 写しを用意する:定款・議事録を印刷し、ページの順に綴じる
  3. 宣言書を作る:代表者が「添付の書類は当社の現行定款(または○年○月○日の取締役会議事録)の原本の写しと相違ない」と書いた宣言書(Declaration)を作り、写しと一緒に綴じる。英訳を付けるときは、英訳も綴じ、「英訳は正確である」ことも宣言する
  4. 公証役場で認証を受ける:代表者が公証人の面前で署名・押印するか、署名・押印が本人のものであると認める
  5. 法務局・外務省の証明を受ける:公証人が所属する法務局で押印証明を受け、外務省でアポスティーユを受ける(ワンストップの地域では公証役場で一度に済む)

公証人が証明するのは、宣言書に署名した代表者の署名が本物であることで、定款や議事録の内容が正しいことまでは証明しません。写しが原本と同じであることも、代表者の宣言によるもので、公証人が保証するものではありません。

代表者が行く場合に必要なもの

日本公証人連合会の案内では、会社の代表者が肩書きを付けて署名する場合、次のものを持っていきます(証明書は発行から3か月以内)。

  • 代表者の資格証明書、または会社の登記事項証明書(会社謄本)
  • 代表者印(会社の実印)
  • 代表者印の印鑑証明書(法務局が発行する会社の印鑑証明書。代表者個人の市区町村の印鑑証明書ではありません)

代理人が行く場合

代表者が行けない場合は、代理人が手続きできます。資格証明書か登記事項証明書、代表者印を押した委任状、代表者印の印鑑証明書、代理人の本人確認書類が必要です。委任状のひな形は公証役場にあります。ただし、提出先によっては代理人による認証を認めず、代表者本人の面前での署名を求めることがあるため、事前に確認してください。

公証人の手数料

認証の対象手数料(公証人手数料令34条)
私署証書の認証(基本)11,000円。公正証書にした場合の手数料の半額が11,000円より低ければその額
金額の記載がない書面6,500円(日本公証人連合会の案内)
外国語の書面上の額に6,000円を加算
議事録そのものを認証する場合23,000円(34条5項。宣言書方式で当てはまるかは公証役場に確認)

英文の宣言書を付けた定款の写しなら、6,500円または11,000円に外国語の加算6,000円を足した、12,500円〜17,000円程度が考えられます。定款に資本金などの金額が書かれていることや、議事録の扱いによって、手数料が公証役場によって違う可能性があります。書類を送って事前に見積もってもらってください。法務局の押印証明と外務省のアポスティーユに手数料はかかりません。

英訳で気をつけること

  • 書類名:定款は Articles of Incorporation(Articles of Association とも)、株主総会議事録は Minutes of General Meeting of Shareholders、取締役会議事録は Minutes of Board of Directors Meeting と訳すのが一般的です
  • 英訳の付け方:原本(写し)・英訳・宣言書を1組に綴じます。宣言書に署名するのは、翻訳者か会社の代表者です。法務局は登記事項証明書の外国語への翻訳をしていないため、会社謄本の英訳も同じように自分で用意します
  • 会社名:定款に英文の商号の定めがあれば、それに合わせます。なければ、会社が普段使っている英文名と統一します
  • 役職名:代表取締役(Representative Director)、取締役(Director)、監査役(Company Auditor または Audit & Supervisory Board Member)は、会社謄本・議事録・定款で同じ訳語を使います
  • 条文の番号:「第○条」は「Article ○」とし、章・条の構成を原文と合わせます
  • 金額・日付:資本金は「JPY 10,000,000」のように通貨を明示し、和暦は西暦に直します
  • 書類名の英訳は海外提出書類の日本語・英語名称辞典もご覧ください

海外での使われ方の例

ジェトロは、シンガポールで日本の会社が支店を設ける場合、日本の本社の最新の定款を公証(原本証明)したものと、翻訳証明書を付けた英訳が必要と案内しています。会社謄本は、英訳と翻訳証明書を付けたうえで、公証人の認証、弁護士などの原本証明、または原本のいずれかが必要とされています(2025年9月時点)。一般に、海外法人や支店の設立では、定款・会社謄本に加えて、議事録や委任状を求められることもあります。必要な書類と認証の形は国や手続きによって違うため、現地の専門家や提出先の指示に合わせてください。

決算書(貸借対照表など)も、海外法人の設立や銀行口座の開設で一緒に求められることがよくあります。決算書や法人の委任状は委任状・在職証明書など私文書のアポスティーユで解説しています。

よくある質問

定款の英語版を会社で作って、それだけにアポスティーユを付けられますか?

英文の定款も会社が作った私文書なので、外務省に直接は出せません。日本語の定款(写し)と英訳を一緒に綴じ、代表者が「英訳は原本を正確に訳したもの」と宣言する宣言書を付けて、公証役場で認証を受けるのが一般的です。英訳だけで認証を受けられるかは、公証役場と提出先に確認してください。

法務局で定款の写しをもらえますか?

もらえません。登記の申請に付けた定款は、利害関係のある人が閲覧できるだけです。会社の保管分を使うか、原始定款なら認証した公証役場に謄本(電子定款なら「同一の情報の提供」)を請求してください。

議事録に押した印鑑は、代表者印でなければいけませんか?

議事録に押す印鑑は、必ずしも代表者印である必要はありません。ただし、登記に使う議事録では、市区町村や法務局に届け出た印鑑での押印が必要な場合があります。宣言書方式で認証を受けるときに公証人が確認するのは、宣言書に署名・押印した代表者の署名と印なので、宣言書には代表者印を押し、その印鑑証明書を持っていきます。

合同会社の定款でも同じ手続きですか?

同じです。合同会社の定款は設立時に公証人の認証を受けないため、公証役場に原始定款の保存はありません。会社の保管分を使い、代表社員(代表社員が法人の場合はその職務執行者)が宣言書に署名します。

当事務所のサービス

当事務所(特定行政書士 佐藤大河)は、UAE・中国・韓国・インドなどでの海外法人の設立に伴う会社書類の認証を数多くお手伝いしています。なお、UAEはハーグ条約に加盟していないため、アポスティーユではなく、公証役場・法務局のあと外務省の公印確認を受け、駐日UAE大使館の領事認証を受けます(現地でさらにUAE外務省の認証を求められることがあります)。定款・議事録・会社謄本・印鑑証明書・委任状について、英訳、宣言書の作成、公証役場での認証、外務省のアポスティーユ、海外への発送までをお引き受けします。

サービス料金
アポスティーユ取得代行(公文書のみ/私文書を含む)17,600円(税込)
書類が2通以上の場合の加算2通目以降1通につき3,300円(税込)
翻訳(英語)A4サイズ1枚あたり3,850円(税込)〜
国内返送(レターパックライト)450円
海外発送(DHL・FedEx・EMS)3,300円(税込)+送料実費

日数の目安は、書類がそろってから、私文書で3営業日程度、翻訳を付ける場合は5〜6営業日程度です。定款は枚数が多くなりやすいため、翻訳料は書類を拝見してお見積りします。公証人の手数料・送料などの実費は別にかかります。当事務所は日本国内での認証の取得を代行するもので、提出先で書類が受け付けられることを保証するものではありません。

全体の流れはアポスティーユとは、翻訳の認証は翻訳を付けた書類のアポスティーユ、料金はご利用料金をご覧ください。

無料見積り・相談フォーム/お電話:03-6303-1664(平日9:00〜20:00〈日本時間〉/土日祝は事前予約制)


参考(一次情報・出典)

アポスティーユ・領事認証の取得代行はお気軽にご相談ください

提出先の国、書類の種類と通数、訳文の要否をお知らせいただければ、必要な手続きと費用、納期を無料でお見積りします(原則1営業日以内にご返信)。全国・海外からご依頼いただけます。

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