
カナダの永住権(Permanent Resident)は、英語(またはフランス語)・学歴・職歴を点数にして、点数の高い人から招待する仕組みが中心です。年齢の上限はありませんが、2026年の抽選はカナダ国内で働いた経験のある人と州の推薦を受けた人が明確に優先されており、日本から直接招待される道は狭くなっています。起業家向けのスタートアップビザは2025年12月31日で新規受付を終え、自営業者プログラムも停止中のため、投資額を条件に連邦の永住権を得るルートはありません。本記事では、カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)の公表情報にもとづき、次の項目を整理します。
- 永住権につながる主なルートの比較(条件・費用)
- Express Entry(FSW・CEC・FST)の条件と資金証明
- 点数(CRS)の仕組みと2026年8〜9月の抽選の最低点
- 州推薦(PNP)・配偶者スポンサー・受付停止中の制度と申請費用
- ワーキングホリデーから目指す場合
- 永住権の維持条件、市民権と日本国籍
※本記事は2026年10月1日時点の公表情報(カナダ移民・難民・市民権省、日本の法務省など)をもとにした一般的な解説です。ビザの条件・費用・為替は変わります。費用は政府の申請料で、英語試験・学歴評価・健康診断・翻訳などの費用は別にかかります。円換算は1カナダドル=110.96円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2026年10月1日 公表仲値)。個別の申請可否は、カナダの登録移民コンサルタント(RCIC)や弁護士にご確認ください。
目次
結論:点数で招待されるExpress Entryと州推薦が中心
| ルート | 主な条件 | 費用 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Express Entry(FSW・CEC・FST) | 語学・職歴・学歴などの条件を満たして登録し、点数(CRS)の高い順に抽選で招待される | 1,590カナダドル(約17.6万円) | 英語の点数が高く、専門職の職歴がある人。とくにカナダで1年以上働いた人 |
| 州推薦(PNP) | 州・準州が必要な人材を推薦。Express Entry連動型は推薦されると600点加算 | 1,590カナダドル(約17.6万円) | 特定の州で需要のある職業に就いている人 |
| ケベック州の選考(PSTQ・PEQ) | ケベック州の選考を受けてから連邦に永住権を申請。フランス語が重視される | 1,590カナダドル(約17.6万円)(別に州の手数料) | フランス語ができる人 |
| 配偶者・パートナーのスポンサー | 18歳以上のカナダ市民・永住者の配偶者・事実婚パートナー | 1,260カナダドル(約14.0万円) | パートナーがカナダ人・永住者の人 |
| 受付停止・終了 | 親・祖父母のスポンサー(停止中)、スタートアップビザ(2025年末で新規受付終了)、自営業者プログラム(停止中) | — | — |
カナダは年齢の上限がない代わりに、年齢・英語・学歴・職歴を点数にして上位から招待するため、40代以降は点数が伸びにくくなります。各国の永住権の費用を横並びで比べるには世界各国の永住権・長期滞在ビザの費用まとめを、同じく技能移民が中心の国としてオーストラリア移住と永住権の条件とニュージーランド永住権の条件と費用もあわせてご覧ください。
Express Entryの3つの制度と条件
カナダの経済移民の多くは、Express Entryというオンラインの登録者プールを通ります。①英語(またはフランス語)の試験を受け、海外の学歴なら学歴評価(ECA)を取る、②プロフィールを登録する、③カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)が定期的に行う抽選(ドロー)で招待される、④招待から60日以内に永住権を申請する、という流れです。登録できるのは次の3つの制度のいずれかの条件を満たす人です。
| 制度 | 職歴 | 語学 | その他 |
|---|---|---|---|
| 連邦熟練労働者(FSW) | 直近10年以内に、TEER 0〜3(管理職・専門職・技術職など)の職で継続1年(1,560時間)以上。日本での職歴も可 | 4技能すべてCLB 7以上 | 海外の学歴は学歴評価(ECA)が必要。選考点数(6項目)で67点以上。資金証明が必要 |
| カナダ経験クラス(CEC) | 直近3年以内に、カナダ国内でTEER 0〜3の職で1年(1,560時間)以上 | TEER 0・1はCLB 7、TEER 2・3はCLB 5 | 学歴の条件なし。資金証明は不要。フルタイムの学生として働いた期間と自営業は数えない |
| 連邦熟練職人(FST) | 直近5年以内に、熟練職人の職で2年(3,120時間)以上 | 話す・聞くCLB 5、読む・書くCLB 4 | カナダでの1年以上のフルタイムの内定、またはカナダの州の資格証明が必要。資金証明が必要 |
英語の試験は、IELTS General Training、CELPIP-General、PTE Coreが認められています。IELTS Academicは使えないので注意が必要です。結果は受験から2年未満のものが有効です。FSWとFSTで必要な資金証明は、家族の人数で決まります。カナダで働く許可と有効な内定の両方がある場合は不要です。
| 家族の人数 | 必要な資金 |
|---|---|
| 1人 | 15,263カナダドル(約169万円) |
| 2人 | 19,001カナダドル(約211万円) |
| 3人 | 23,360カナダドル(約259万円) |
| 4人 | 28,362カナダドル(約315万円) |
| 5人 | 32,168カナダドル(約357万円) |
| 1人増えるごと(8人目以降) | 4,112カナダドル(約45.6万円) |
点数(CRS)と最近の抽選の傾向
Express Entryの登録者は、総合ランキング制度(CRS)で最大1,200点の点数が付き、抽選ごとに決まる最低点以上の人が招待されます。点数は、年齢・学歴・語学・職歴などの人的資本(配偶者なしで最大500点)、それらの組み合わせ(最大100点)、加点で構成されます。加点で大きいのは州の推薦(600点)で、ほかにフランス語(最大50点)、カナダでの学歴(最大30点)、カナダに住む兄弟姉妹(15点)があります。2025年3月25日から、内定(雇用のオファー)による加点は廃止されました。
| 日付 | 対象 | 招待数 | 最低点 |
|---|---|---|---|
| 2026年9月29日 | カナダ経験クラス(CEC) | 2,000人 | 518点 |
| 2026年9月28日 | 州推薦(PNP) | 733人 | 725点 |
| 2026年9月16日 | カナダでの経験がある上級管理職 | 250人 | 389点 |
| 2026年9月15日 | カナダ経験クラス(CEC) | 2,000人 | 519点 |
| 2026年9月4日 | 医療・福祉の職業 | 3,500人 | 475点 |
| 2026年9月3日 | カナダでの経験がある医師 | 229人 | 198点 |
| 2026年8月19日 | フランス語 | 5,000人 | 382点 |
抽選は、カナダ経験クラス(CEC)と州推薦(PNP)が約2週間ごとに交互に行われ、そこに医療・福祉、フランス語、STEM、技能職、教育などの職業別・カテゴリー別の抽選が加わる形です。2026年8〜9月は、全制度を対象にした一般の抽選やFSWだけの抽選は行われていません。つまり、日本から直接FSWで招待されるのは難しく、カナダで1年以上働いてCECの対象になる、州の推薦を受ける、医療職など対象の職業に就いている、フランス語ができる、のいずれかが現実的な道です。
州推薦(PNP)は、各州・準州が自州で必要な人材を推薦する制度で、Express Entryと連動するもの(推薦されると600点加算)と、州に直接申請するものがあります。対象職業・条件・受付時期は州ごとに違い、枠が埋まると止まります(ブリティッシュコロンビア州の2026年の推薦枠は6,254件など)。ケベック州は独自の選考(PSTQ、ケベック経験プログラムPEQ)を行い、州の選考を受けてから連邦に永住権を申請します。
配偶者スポンサー・停止中の制度と申請費用
配偶者・事実婚パートナーは、18歳以上のカナダ市民・永住者がスポンサーになって永住権を申請できます。原則として所得の条件はありません。一方、親・祖父母のスポンサー(PGP)は2026年時点で新規の受付が止まっており、親を呼ぶには最長5年滞在できるスーパービザを使うのが一般的です。スタートアップビザは2025年12月31日で新規受付を終了し(2025年の推薦状を持つ人の経過措置も2026年6月30日まで)、自営業者プログラムも停止中です。カナダには2026年10月時点で、投資額を条件に連邦の永住権を得るルートはありません(ケベック州は州独自の投資家プログラムを設けていますが、受付の状況が変わりやすいため、ケベック州政府の最新の案内を確認してください)。
| 申請 | 費用 |
|---|---|
| 経済移民(Express Entry・州推薦など)の主申請者 | 1,590カナダドル(約17.6万円)(処理手数料990カナダドル+永住権取得手数料600カナダドル) |
| 同伴する配偶者 | 1,590カナダドル(約17.6万円) |
| 同伴する子(1人あたり) | 270カナダドル(約3.0万円)(永住権取得手数料はかからない) |
| 配偶者のスポンサー申請 | 1,260カナダドル(約14.0万円) |
| 生体情報(指紋・写真) | 1人85カナダドル(約9,432円)(家族は上限170カナダドル) |
| 市民権の申請(18歳以上) | 653カナダドル(約7.2万円) |
夫婦と子1人でExpress Entryを使う場合、政府手数料は1,590+1,590+270=3,450カナダドル(約38.3万円)に、生体情報170カナダドルが加わります。このほかに、英語試験、学歴評価(ECA)、健康診断、日本の警察の犯罪経歴証明書、戸籍謄本の英訳などの費用がかかります。
ワーキングホリデーから永住権を目指す場合
日本人はカナダのワーキングホリデー(国際経験カナダ・IEC)に18〜30歳で、1回だけ、最長12か月参加できます。ワーホリ中にカナダでTEER 0〜3の仕事を1年以上すれば、カナダ経験クラス(CEC)の職歴の条件に当てはまりえます。ただし12か月で職歴1年を満たすにはほぼ休みなく専門職で働く必要があり、ワーホリの後に雇用主の就労許可でつなぐケースが一般的です。ワーホリは30歳までなので、永住権を視野に入れるなら20代のうちに計画することが大切です。
永住権を取った後:維持の条件・市民権と日本国籍
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 永住権の維持 | 直近5年のうち730日以上カナダに滞在(連続でなくてよい)。永住者カード(PRカード)の期限が切れても永住権自体は失わない |
| 市民権 | 直近5年のうち1,095日以上の滞在、3年分の納税申告、18〜54歳は語学(CLB 4)と市民権テスト。申請料653カナダドル |
| 二重国籍 | カナダは二重国籍を認めている |
| 日本国籍 | 自分の意思でカナダ国籍を取ると日本国籍を失う(国籍法11条1項) |
| 日本との協定 | 租税条約と社会保障協定(年金加入期間の通算あり)がある |
永住権を取っても日本国籍はそのままです。日本国籍を失うのは、カナダの市民権(国籍)を自分の意思で取ったときです。日本の国籍の扱いは二重国籍を認めている国一覧で、日本を出国する前後の住民票・税金の手続きは海外移住の税金と住民票で解説しています。申請では日本の警察の犯罪経歴証明書や、出生・婚姻を示す戸籍謄本と英訳などを求められます(出生証明書の取り方、犯罪経歴証明書の取り方)。
よくある質問
カナダの永住権は何歳まで取れますか?
年齢の上限はありません。ただしExpress Entryの点数(CRS)は20代後半から30歳前後が最も高く、年齢が上がるほど下がります。40代以降は、州の推薦(600点加算)や、カナダでの職歴・フランス語などで点数を補うのが現実的です。
日本にいながらカナダの永住権を申請できますか?
制度上は、FSW(連邦熟練労働者)で日本からExpress Entryに登録できます。ただし2026年8〜9月の抽選はカナダ経験クラス(CEC)・州推薦・職業別が中心で、FSWだけを対象にした抽選は行われていません。医療職など対象の職業や州の推薦がない場合は、まずカナダで働いて職歴をつくる道が一般的です。
お金を払えばカナダの永住権を取れますか?
連邦のスタートアップビザが2025年12月31日で新規受付を終え、自営業者プログラムも停止中のため、投資額を条件にした連邦の永住権ルートは2026年10月時点でありません(ケベック州の州独自の投資家プログラムは、受付状況を州政府で確認する必要があります)。
IELTSはGeneralとAcademicのどちらを受ければよいですか?
Express EntryはIELTS General Trainingのみで、Academicは使えません。CELPIP-General、PTE Coreも使えます。結果は受験から2年未満のものが有効です。
カナダの永住権の費用はいくらですか?
経済移民(Express Entry・州推薦)の主申請者は1,590カナダドル(約17.6万円)、同伴する配偶者も同額、子は1人270カナダドル(約3.0万円)です。これに生体情報(1人85カナダドル)、英語試験、学歴評価、健康診断、翻訳などの費用が加わります。
永住権を取ったら日本国籍はどうなりますか?
永住権では日本国籍は失いません。カナダの市民権(国籍)を自分の意思で取ったときに、日本国籍を失います(国籍法11条1項)。
まとめ:カナダ国内の職歴と州の推薦が鍵
カナダの永住権は、Express Entryで高い点数を取るか、州の推薦を受けるか、カナダで1年以上働いてカナダ経験クラス(CEC)の対象になるかが分かれ目で、2026年はカナダ国内の職歴がある人が明確に優先されています。投資による連邦の永住権ルートは現在ありません。永住権では日本国籍は失いませんが、市民権を取れば日本国籍を失う点に注意してください。
当事務所は海外移住・永住権・市民権取得のご相談を承っています。カナダについては、ご自身とご家族に合うルートの整理と、日本側で用意する書類の準備についてご相談いただけます(カナダのビザ申請の代理は、登録移民コンサルタント・弁護士の業務のため行っていません)。申請で求められる戸籍謄本・犯罪経歴証明書などの英訳、アポスティーユ・公証などの認証手続き、海外からの戸籍謄本の取り寄せは当事務所で対応しています。
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参考(一次情報・出典)
- IRCC:Express Entry 連邦熟練労働者(FSW)の条件
- IRCC:Express Entry カナダ経験クラス(CEC)の条件
- IRCC:Express Entry 語学試験
- IRCC:Express Entry 資金証明
- IRCC:CRS(総合ランキング制度)の基準
- IRCC:Express Entry 抽選の結果
- IRCC:州推薦(PNP)の仕組み
- IRCC:手数料表(2026年9月21日更新)
- IRCC:永住権の手数料の引き上げ(2026年4月30日)
- IRCC:起業家向け措置(スタートアップビザの受付終了)
- IRCC:親・祖父母のスポンサー
- IRCC:永住者の地位(730日)
- IRCC:市民権の条件
- IRCC:国際経験カナダ(ワーキングホリデー)の国別条件
- IRCC:二重国籍
- WelcomeBC:BC州PNPのお知らせ
- 法務省:国籍の選択・喪失
- 日本年金機構:協定相手国別の期間通算の有無
- 財務省:租税条約一覧
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング:外国為替相場
本記事の条件・費用は2026年10月1日時点の公表情報にもとづきます。円換算は1カナダドル=110.96円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2026年10月1日 公表仲値)。


