業務委託契約書の英語|Service Agreementなど英文名称・条項の日英対訳と翻訳の注意点

最終更新日: 運営:ロイヤルパートナーズ行政書士事務所(特定行政書士 佐藤大河)

業務委託契約書は、英語で Service Agreement(または Services Agreement)と書くのが一般的です。委託の中身によっては Outsourcing Agreement、Consulting Agreement、Independent Contractor Agreement と呼ぶこともあります。委託者は Client、受託者は Contractor や Service Provider と書くことが多いです。

この記事では、業務委託契約書の英語の名称の使い分け、よく使う用語、主な条項の日英対訳の例、英文の業務委託契約書を翻訳するときの注意点をまとめます。

業務委託契約書の英語名の使い分け

英語 使われる場面
Service Agreement/Services Agreement 業務委託契約書の最も一般的な訳。業務の種類を問わず使える
Outsourcing Agreement 経理・システム運用・コールセンターなど、社内の業務をまとめて外部に任せる場合
Consulting Agreement コンサルティング・助言を委託する場合(コンサルティング契約書)
Independent Contractor Agreement 主に個人(フリーランス)に業務を委託する場合。雇用ではないことを明確にする呼び方
Master Services Agreement(MSA) 継続的な取引の基本契約(業務委託基本契約書)。個々の業務は Statement of Work(SOW)や個別契約で定める
Development Agreement ソフトウェアやシステムの開発を委託する場合(開発委託契約書)

表題は、原文の契約書の内容に合わせて選びます。日本語の「業務委託契約書」は、法律上は請負(民法第632条)か準委任(民法第656条)、またはその両方の性質を持つ契約であることが多く、どちらに当たるかで条項の書き方も変わります(翻訳するときの注意点で説明します)。

業務委託契約書でよく使う用語(日本語・英語・中国語)

日本語 英語 中国語(簡体字)
業務委託契約書 Service Agreement 业务委托合同
委託者 Client 委托方
受託者 Contractor/Service Provider 受托方
本業務 the Services 本业务
成果物 Deliverables 交付成果
委託料(報酬) Fees/Service Fees 委托费用
検収 Acceptance 验收
再委託 Subcontracting 转委托
知的財産権 Intellectual Property Rights 知识产权
契約不適合 Non-conformity 不符合约定
解除 Termination 解除
損害賠償 Damages/Indemnification 损害赔偿
請負 Contract for Work 承揽
準委任 Quasi-Mandate 准委任

請負・準委任の英語は、法務省の「日本法令外国語訳データベースシステム」の民法の訳(Contracts for Work、Quasi-Mandate)にならっています。英文契約書の本文では、これらの法律用語を使わずに、業務の内容と義務を具体的に書くのが一般的です。中国語の「准委任」は、日本法の用語をそのまま当てた訳です。

主な条項の日英対訳の例

一般的な業務委託契約書の条項を、日本語と英語で並べた例です。実際の契約書は委託する業務や取引の条件に合わせて変わるため、そのまま使うのではなく、訳語や言い回しの参考にしてください。

日本語 英語
(委託業務)委託者は、別紙に定める業務(以下「本業務」という。)を受託者に委託し、受託者はこれを受託する。 (Services) The Client hereby engages the Contractor to perform the services set forth in Exhibit A (the "Services"), and the Contractor hereby accepts such engagement.
(委託料)委託者は、本業務の対価として、受託者に対し月額〇円(消費税別)を支払う。 (Fees) In consideration of the Services, the Client shall pay the Contractor a monthly fee of JPY [___] (exclusive of consumption tax).
(支払方法)受託者は毎月末日締めで請求書を発行し、委託者は翌月末日までに受託者の指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は委託者の負担とする。 (Payment) The Contractor shall issue an invoice as of the last day of each month, and the Client shall pay the invoiced amount by bank transfer to the account designated by the Contractor no later than the last day of the following month. Bank transfer fees shall be borne by the Client.
(納入及び検収)委託者は、成果物の納入を受けた日から〇営業日以内に検査を行い、合格したときは受託者に書面で通知する。 (Delivery and Acceptance) The Client shall inspect the Deliverables within [__] business days after receipt and, if the Deliverables pass the inspection, shall notify the Contractor of its acceptance in writing.
(再委託)受託者は、委託者の事前の書面による承諾を得なければ、本業務の全部又は一部を第三者に再委託してはならない。 (Subcontracting) The Contractor shall not subcontract all or any part of the Services to any third party without the prior written consent of the Client.
(知的財産権)成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む。)は、委託料の支払が完了した時に、受託者から委託者に移転する。受託者は、委託者に対し、著作者人格権を行使しない。 (Intellectual Property) The copyright in the Deliverables (including the rights provided in Articles 27 and 28 of the Copyright Act of Japan) shall be transferred from the Contractor to the Client upon full payment of the Fees. The Contractor shall not exercise any moral rights of authors against the Client.
(独立当事者)受託者は独立した事業者として本業務を行うものとし、本契約は、委託者と受託者との間に雇用関係を生じさせるものではない。 (Independent Contractor) The Contractor shall perform the Services as an independent contractor, and nothing in this Agreement shall be construed to create an employment relationship between the Client and the Contractor.
(契約期間)本契約の有効期間は、〇年〇月〇日から1年間とする。ただし、期間満了の1か月前までにいずれの当事者からも書面による別段の申出がないときは、同一条件でさらに1年間更新され、以後も同様とする。 (Term) This Agreement shall remain in effect for one (1) year from [date]; provided, however, that unless either party gives written notice to the contrary at least one (1) month before the expiration of the term, this Agreement shall be automatically renewed for an additional one (1) year on the same terms and conditions, and the same shall apply thereafter.
(準拠法・合意管轄)本契約は日本法に準拠する。本契約に関する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。 (Governing Law and Jurisdiction) This Agreement shall be governed by the laws of Japan. The Tokyo District Court shall have exclusive jurisdiction in the first instance over any dispute arising out of or in connection with this Agreement.

英文の業務委託契約書を翻訳するときの注意点

請負か準委任かで、受託者の義務の書き方が変わる

成果物の完成を約束する請負型の契約では、Deliverables(成果物)、Delivery(納入)、Acceptance(検収)の条項が中心になります。一方、業務を行うこと自体を約束する準委任型の契約では、成果物の完成ではなく、業務をどのように行うかが中心になります。日本語の「善良な管理者の注意をもって」は、民法の英訳では with the due care of a prudent manager とされています(民法第644条)。英文契約書では with due care and skill や in a professional and workmanlike manner のように書くことも多く、原文の意味に合う表現を選びます。

委託者・受託者の呼び方を決めて統一する

日本語の「甲」「乙」は、英文では Client/Contractor のように役割で呼ぶか、会社名の略称(例:"ABC")で呼ぶのが一般的です。契約書の冒頭で決めた呼び方を最後まで使い、途中で the Company や the Provider などに変わらないようにします。

別紙・仕様書との対応を合わせる

業務の内容を「別紙」や「仕様書」で定める契約書では、本文の「別紙1」と別紙の表題が英訳でも一致している必要があります。Exhibit、Schedule、Appendix、Annex のどれを使うかを決め、本文と別紙で同じ語にそろえます。基本契約と個別契約に分かれている場合は、Master Services Agreement と Statement of Work(または Individual Agreement)のように、両方の書類の呼び方も合わせます。

金額・締め日・支払期日をあいまいにしない

「月末締め翌月末払い」「消費税別」「振込手数料は委託者負担」のような日本の商慣習の表現は、英語では省略せずに文章で書きます。通貨(JPY/円)、税込か税別か、支払期日の起算日がどこかが、訳文から一つの意味に読めるかを確認します。

どちらの言語の版を優先するかを決める

日本語版と英語版の両方に署名する場合は、食い違いがあったときにどちらを優先するかを契約書の中で定めておくのが一般的です。定義語の統一とあわせて契約書を翻訳するときの注意点で、shall と may の訳し分けは秘密保持契約書(NDA)の英語で説明しています。

英文のひな形を使うときに確認すること

インターネットで手に入る英文の業務委託契約書(Service Agreement、Independent Contractor Agreement)のひな形は、外国の法律を前提に書かれているものが少なくありません。日本の会社が使う場合は、少なくとも次の点を確認します。

  • 準拠法と管轄裁判所が、どの国・どの裁判所になっているか
  • 成果物の権利の条項が、日本の著作権法で意味を持つ書き方になっているか。たとえば米国の work made for hire(職務著作)の考え方は、そのままでは日本法の下で同じ効果になるとは限りません。日本の著作権法では、著作権を譲渡する契約で第27条・第28条の権利(翻訳・翻案の権利など)を特に記載しないと、譲渡した人に残ると推定されます(著作権法第61条第2項)
  • 相手方が個人(フリーランス)の場合に、フリーランス・事業者間取引適正化等法による取引条件の明示(業務の内容・報酬の額・支払期日など)が必要にならないか
  • 日本語版も作る場合に、日本語版と英語版のどちらを優先するか

条件の有利不利の判断や相手方との交渉が必要な場合は、弁護士にご相談ください。当事務所では、確定した契約書の翻訳を承っています。

よくあるご質問

業務委託契約書を英語で何といいますか?

Service Agreement(Services Agreement)と訳すのが一般的です。委託の中身に応じて、Outsourcing Agreement、Consulting Agreement、個人に委託する場合は Independent Contractor Agreement と呼ぶこともあります。

請負契約と準委任契約は英語でどう書き分けますか?

法令の英訳では、請負は Contract for Work、準委任は Quasi-Mandate と訳されています。ただし英文契約書の表題は Service Agreement や Development Agreement とすることが多く、請負か準委任かは、成果物と検収の条項があるか、業務の遂行を約束する内容かといった本文の書き方で区別します。

英文の業務委託契約書にも収入印紙は必要ですか?

印紙税がかかるかどうかは、英語か日本語かではなく、契約書の内容と作成された場所で決まります。国税庁は、外国の会社と取り交わす契約書で、最後の署名が外国で行われた場合は日本の印紙税はかからないという考え方を示しています。その場合は、契約書に作成場所を記載しておくなどの対応が必要とされています(国税庁「外国で作成される契約書」)。個別の契約書に印紙が必要かどうかは、税務署または税理士にご確認ください。

業務委託契約書だけの翻訳も依頼できますか?

当事務所の翻訳サービスは10ページ以上のご依頼を承っています。業務委託契約書だけでは10ページに満たない場合も、別紙・仕様書や基本契約・個別契約などとあわせて10ページ以上になる場合はご相談ください。

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